残酷な、繭



ゆらゆらゆらゆらゆらゆら。

揺れるは揺り篭?

暖かくて心地よい。

ちゃぷん。

水音?

ああ、ぬるま湯だ。

ぬるま湯に浸かっているのだ。





ふっと目が覚めた。
まだ、部屋の中は薄暗い。

すぐ目の前に瞼を閉じた美丈夫が居た。
顕わになった肩に毛布を掛けて腕に抱きこんでしまう。

甘い香りに顔を埋めてもう少し、眠ろう。

もう少し、このままで。




「・・・・リス」
「・・・・・・・・・・」
「アリス・・・」
「・・・・ん」
「アリス」
「・・むら・・?」


明るい陽の光が部屋を照らしてる。


「おはよう、アリス」
「はよ。なんや、ええ匂いがする」
ああ、フレンチトースト焼いたんだ、とまめな恋人が告げる。
「食う・・・・」
もそもそと起き上がると恋人が口付けをしてきた。
「おはようの、…」
なんちゅうやつや。いい年こいたおやじのくせに。気障もいいとこや。
まあ・・・・・ええけど。


朝起きたら優しいキス。
食卓には手作りの朝食。
目が覚める前に終わっている家事。
出かける用意をしてドライブ。
運転席にはそつない色男。
ランチはイタリアン。
完璧で厭味の無いエスコート。
買い物では荷物持ちまで。
夕食は手作りのご馳走。
夜は濃密な愛の営み。
眠る前のお休みのキス。



あほらしいほどの溢れかえった愛の形。
愛されてんね、オレ。


こんなに甘やかされたら、ふやけてしまうよ。


だから、お返し。


「なぁ、…愛してるよ、英生」
「・・・っ!」


まいったか。

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Author by emi