から揚げ、ハンバーグ、カレー、コロッケ、とんかつ、そして、餃子。
何のリストかって?
全部アリスの好きな食べ物、だ。
まるで子供の好きな食べ物ランキングのようなラインナップだが、アリス曰く。
白飯に最高に合う、おかずたちやないか!だと。
メインは白いご飯なのだそうだ。
その白いご飯をいかに美味しく食べられるか。
そこにおかずの持つ意味があるらしい。ゆえに炊き込んだご飯や混ぜたご飯は家では一切食べない。
休みの日、せっせと作ったそれらの“おかず”をそれは美味しそうに頬張る。
勿論、手には炊き立ての白いご飯。不器用な癖に箸の使い方だけは上手で先だけを使って綺麗に食べる。
それなのに…。外出先で好んで行くのは蕎麦屋、イタリアン、ラーメン、うどん。
定食屋と蕎麦屋が並びにあったときなど―。
「アリス、定食屋があるそ?いいのか、蕎麦で?」
「当たり前やん。いややん、白いご飯なんて…」
もう訳が分からない。
それは楽しそうに言い放つといそいそと暖簾を潜ってしまった。
目の前でてんぷら、てんぷらっ!そば、そばぁ…などと鼻歌を唄いつつ汁にねぎを入れるアリスを眺めてため息すら出る。天蕎麦の付け合せにアリスの頼んだもの、それは炊き込みご飯。…白くない。
「なぁ、アリス」
「なんやぁ…?」
のんきな顔をして箸で掬った麺を汁へとつけたところで話しかけられ少々むっとした声でアリスが答えるので、目で続きを促すと軽く微笑んで一気にすすった。
「なんで、白いご飯じゃないんだ?お前、一番好きなんだろう、白飯が」
口いっぱいに頬張ったアリスはもぐもぐと咀嚼しつつ、ちょっとだけ首をかしげて俺を見つめる。
はてな?という無言の主張に箸を割りながら返した。
「いや、外食するときに白いご飯を食べているところを見たことがねぇから…」
こくん、と口の中の蕎麦を嚥下してしまうとアリスは不思議そうに笑って俺を見たんだ。
「白いご飯が一番好きやで?好きやから美味しいおかずと一緒じゃなきゃ、嫌やねん」
今度は俺の口の中に蕎麦が入っていて同じように顎で疑問を呈すると、アリスは笑って答えたんだ。嬉しそうに。
「キミが作ってくれるおかずが一番美味しいからな!それ以外で食べる気がせんのや」
そう言って目の前の恋人は笑った。
Author by emi