待つ人


そこは密室で巣。

静謐が支配する聖域。

一歩、足を踏み入れれば支配される。

何処までも深く囚われて。

愛を感じる。



「光彦、後で書斎に来るように」


はい、としおらしく頷くも、心は嬉しさを隠しきれない。
ドアをノックするまでの時間をどうしても落ち着いて過ごすことが出来なくて
急く気持ちを抑えてじりじりと時が過ぎ行くのを待っている。


ひとたび扉を閉じれば其処は不可侵領域。

支配され、愛を紡いで包んでくれるのだ。

温かく大きな掌に撫ぜられて、逞しく優しい胸に抱かれて。


どうか其の侭で。
時が止まってしまえばいいのに。


触れる指先が躰に熱を促して、名を呼ぶ声が心を打ち震わせる。

その身に縋り付いて、愛を独占するのだ。

その部屋の中でのみ許される行為が喩え背徳であろうとも。


絶つことが出来ない。

鎖で絡み取られて抜け出せない、絆。

其処で待つ貴方は何を想うのだろう。
何時まで此処に居られるのだろう。

支配されるが去れるもの。


深呼吸をして扉の前に立つ。

「・・・兄さん、光彦です」

いつもと同じ。変わらずに扉は開かれて導かれる。

待つ人が居る、貴方が居る。
ああ、此処が僕の還る処なのだ。


こちらにあげるのはどうしようかと迷ったのですが、裏にあげるのも分かり難いかと思いましたので続きで一緒にあげました。この後、補足的な感じで続きますがR18です。大丈夫な方のみ下[ next ]よりどうぞ。

Author by emi