モノのは弾み-3-




―お前が俺を慰めてくれるのか…、アリス?

耳朶に吹き込まれた火村の慾に濡れた甘い言葉が
まるで毒のようにアリスの精神を蝕んでいく。

少しずつ、捲る様にして思考力を添いで行くのだ。
寄せられた口唇は甘く、密やかな吐息を漏らして震えるアリスの唇を塞ぐ。


「…んっ、ふ…ぁ」

じん、と頭の片隅から痺れが全身を駆け回り、
気がつけば貪る様にして合わせられる口付けに夢中で応えていた。

その腕を、火村の肩に回して。


「…アリス」

名を呼ばれ、腰を抱かれて落とされる口付けに
うっとりと身を任せているアリスのシャツの裾を捲り上げると、
滑らかな曲線を描く腰骨から脇腹へ指を這わせる。


「ぁ…、や、ん…」

煙草を吸った後だからであろうか、
それとも私の躰が火照っているからであろうか、
素肌に触れた火村の指先の冷たさに思わず身を竦め、
漏れた声に自分でも驚いた。


なんて、なんて…。

いやらしい、濡れた声なんだろう!
「アリス、その声、イイ…。もっと、聞かせろ」











「ふ、ぁ・・・・・・」
「ああ、ココがいいのか?」


ぐり、と内奥を直接刺激される指の動きに
耐え難い排泄感を超えた快感が
まるでうねる嵐のようにオレを襲う。

「ひぁ・・・、あっ・・・・」

中を探る火村の指に勝手に腰が揺らめいて、
さぞかし妙な動きをしているのだろう。

涙が滲む視界の端で火村が苦しそうに顔を歪めているのが見えたから・・・。
冗談やろ?と笑い飛ばせたらよかったのかもしれない。

それでも、決壊した想いはあっけなく陥落して
口付けを受けた躰は拒むどころか火村を引き寄せさえしたのだ。

きっと呆れている、いや。
浅ましく腰を動かすオレを見て幻滅しているのかもしれない。


「・・・アリス、こんなにして。後ろもひくひく吸い付いてくるぞ?」
「やぁ・・・、やだぁ・・・・」


ぬるぬると先走りを滴らせた中心は呆れるくらいに屹立して、
それを軽く弾かれただけで弾けてしまいそうな位の快感が沸き起こり
同時に擦られる後腔への刺激に、アリスの限界は近かった。


「あっ・・・、も、イぁ・・・、むらぁ・・・」

浅ましくてもイイ、
幻滅されていてもイイから、
この熱を何とかして欲しい―――。

縋る思いで火村の逞しい首に手を回して強請ると、
軽い舌打ちと共に後ろから指が引き抜かれ
その喪失感に身を震わせたオレに
覆いかぶさった火村の熱く猛った肉塊が宛がわれる。

「アリス・・・・」
「んっ・・・、ええ、よ・・・・、挿れて・・・」

合わせた瞳がどこまでも澄んでいて、まるでソレが現実味の無い夢のようだと思った。 手繰り寄せた躰は確かに熱いのに、心が添わない、 そんな冷たさすら覚えて、早く早くと訳もなく焦りを感じる。

夢じゃない、夢なんかじゃないと感じさせて欲しい―――!
キミが、欲しいんだ・・・。

火村。

「っ・・・・・ア、あああっ・・・・!」

ぐう、っと押し込められるように挿入された質量に
生理的な涙が溢れて悲鳴に近い声が漏れるのを
火村の逞しい掌が押さえ込むようにして隠すと、
更に腰が進められて隙間の無い位に下肢が触れ合っていく。
限界まで開かれた下肢が引き攣るように痛みを伴うけれど、
それよりも遥かに満たされていく、そんな感じが嬉しいとすら思った。

齎される苦しみが、間違いなく全身で火村を感じていると言っているのだから。

「ふ・・・・ぅ・・・」
「・・・っ、アリス・・・、動いてイイ、か?」

ぎちりと音がしそうなくらい、受け入れた部分は限界だったが
辛うじて頷くと火村は押し込んだ腰を動かしはじめた。
その内臓までも引きずり出されそうなほどの圧迫感に
上げかけた声すら引き攣るような息にしかならない。

「っ・・・・・・!」

しっかりと押さえられた掌によって悲鳴がはっきりとした音として漏れる事はなかったが、
それでも直接受け入れた後腔のありえないくらいの揺さぶりに涙が溢れて仕方ない。
ただただ、必死にソレに耐えて火村の首に回した腕に意識を飛ばしていると、
ふいに優しい唇がオレの瞼に口付けを落としていった。

「アリス・・・、アリス・・・・」
「んっ・・・・、ぅ、あ・・・・?」

優しく口付けられるのと耳元に囁かれた火村の声に、
一気に躰に熱を感じてそれまで苦痛でしかなかった奥への刺激が
痛みとは違う、じんと痺れるような感覚に変わりアリスは戸惑いを覚えた。

なんだ・・・?


躰の奥から知らない感覚が引きずり出される・・・。


そうしているオレに再度優しく頬に口付けた火村が
一際大きく腰を動かして抉るような打ちつけに、
最早隠し様の無いくらい大きな快感が波となって押し寄せて―――。

「ぁ、ふ・・・っ、あっ・・・・・」

何時の間に外されたのか口元を覆っていた掌は、
優しく熱い唇へと替わっていて、
そこから漏れる吐息の様な声に自分でも驚いたくらいの艶が滲んでいた。

「やぁ・・・、なんかっ・・・、へんやぁ・・・・」
「ああ、アリス・・・、気持ちイイんだろ?」

「ひぁっ・・・・・、あっ・・・・んっ」

ぐいっと穿つ動きに躰の奥からどろどろと溶けてしまいそうだ。
壮絶な痛みに先ほどまで力なく萎えていた自身も
あっという間に頭を擡げて震えている。

今は痛みなど微塵も感じない。

ただ、快感のみを拾ってはその身を震わせる。

「やぁっ・・・・、も、イくっ・・・て、ひむ、らぁ・・・・!」
「おらっ・・・、いいぜ・・・、アリス!」

腹で擦れる屹立も、
限界まで拡がった後腔も、
汗で湿った背中も・・・。
全てが淫らに脳内までも刺激して―――。

「・・・むらっ、ひむらぁ・・・、あああっ・・・・・!」


一気に奥まで貫かれて唇に火村の温もりを感じ オレは吐精しそのまま意識を飛ばしていた。




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Author by emi