指輪 ---映画・原作・DVDなどひっくるめて日々考えたこと。ネタバレありです。


2004/03/11
二回目に行ってきました --「王の帰還」

ああ今回もやっぱり泣かなかったな、と思っていたら、
最後の最後「My dear Sam・・」でぐぐっと来てしまいました。
ほんでエンドロールで感極まって・・べそべそ。あー胸が、むねがいたい・・

やはりみなさんおっしゃる通り、1回目は期待が大きすぎて原作と比べすぎて全然集中して観てなかったんだなあというのが良く分かりました。あれこんな場面あったのか・・と間抜けな事を考えたり。いわば脳みそ五感がうわずった状態だったのでした。
んでもって、もう、やっぱり良かった!最高っす。もうアラゴルンがヘタレてるとかサムがフロドより主役みたいとかそんな事はどうでもいいです。そして一部と二部と三部ではどっちがどれが良かったとか、そんなんもないです。
これは通しで見て1本の映画なので別々の評価なんてお門違いってもんです。アカデミー賞も3作通しでの評価のハズ!
三部ではゴラムがもう葛藤する事も無くふたりを陥れることしか考えないのが「ウーム?」だったのですが、それはもう二部で随分やっていて三本続けて見るとこれでいい仕上がりなのだと思いました。

フロドの旅立ちの場面で「・・故郷は救ったが、僕は旅立たねば」と言うところ、
さいご「・・But not for me」と言うのが聞き取れて、突然フロドの痛み、哀しみがぐおっと胸に来ました。
唐突に「旅立たねば」じゃないですよね?だからなんて訳すのかって分かりませんけど、
とにかく結果として自分は良いようには終われなかった、払った犠牲の大きさ、癒されない傷の重みがひしひしと伝わってくる not for me なのでした。
これはまるで、戦争に行って酷い思いをして帰ってきたひとが、いつまでも癒されない悲しさのようです。


2004/03/10
ハマへ --「二つの塔」

ローハンの近衛隊長ハマの事は原作を読んでから好きになりました。
以下ハマへ捧ぐ。

ガンダルフの杖をしぶしぶ了承したけど、ほんとは分かってらっしゃったんでしょう?
ガンダルフがセオデン王の呪縛を解く時、止めに入ろうとする分かっちゃいないギャムリングを
はしっと止めるハマ、あなたは分かってらっしゃったわね。
復活セオデン王に剣を手渡すハマ、うれしかったわね。映って無いけどちょっと涙ぐんでなかったかしら?
グリマを階段からポーイっ!のハマ。ずっとこれがやりたかったんでしょう?ね?

「食糧だけ持って逃げろ」と民衆に声をかけるハマ、悲しかったのね。分かっているわ。
聞けばあなたは原作ではヘルム渓谷の戦いでに戦死されたというのに
映画では原作にも無いワーグの襲来を発見&悲鳴役、即さよならハマ。
あなたの遺志は全然似てない細おもての息子に引き継がれます。ゴンドールの王たるアラゴルン卿のお声掛けもあるのですよ。よかったねハマ。
ああハマハマ。


2004/03/09
映画で一番好きなシーン --「旅の仲間」 DVD

一番好きで何回も見てしまう場面は、第一部の最後、フロドがガンダルフの言葉を回想しつつ
一人で指輪を捨てに行くと決心し小船を出す前後のシーンです。

フロド;
I wish the Ring had never come to me.
指輪が私のもとへ来なければ
I wish none of this had happened.
こんな事にならなかった

ガンダルフ;
So do all who live to see such times... but that is not for them to decide.
つらい目に遭うと誰もがそう思うが 思ったところでどうにもならん
All you have to decide...is what to do with the time that is given to you.
それより大切なのは 今 自分が何をすべきかを考えることだ

特別新鮮な励ましの言葉ではありませんが、私はしんどい気分の時にこのシーンを観ると随分励まされます。
ここはフロドの泣き顔がどんどん寄って来て、この世のものとも思えぬ美しく大きな瞳に吸込まれる様に見入ってしまう映像的ツボでもあります。<結局それか

辛いとか落ちこんでるヒマがあったら今どうすべきか考えて行動しろ、というのは口で言うのはたやすいですが、なかなか出来ることではありません。少なくとも私は。
で、ヘンに励まされても「分かってるよそんな事」と思ってしまいますが
物語を通して聞くと、素直に心に響いて来るものですね。


2004/03/04
言い訳 --「二つの塔」のオーディオコメンタリー 監督&脚本

アラゴルンが崖から落ちて死にそうになる事や、ファラミアを葛藤が多い人にしたことを、やっぱりかなり原作ファンに叩かれているらしく、オーディオコメンタリーではだいぶ言い訳をがんばってます。

ヒーローの死がひとつの見せ場になること、アラゴルンがより能動的な動きをする為、ファラミアが全然指輪に執着しないと指輪の力の印象が弱くなる・・等など
反対に「ファンの批判なんかほっとけ」とばかりにヘルム渓谷にエルフの援軍を送り込んだりエオメルがガンダルフと共に駆けつけたりという部分は好評のようで、私も好きな場面です。
こうすることで映画としてドラマの盛り上がり方が全然違う、という事を繰り返し述べています。

原作ファンでありながらお話におぼれず、あくまでドラマティックに作り上げる事に力をそそぐ芸術家&エンタメ根性を見る思いがしました。
誰がどんな風に作っても原作ファンを100%満足させる事なんて出来ない作品を、批判を恐れず子供から大人まで、そして原作未読の人も楽しませるように作り上げた事に感服するばかりです。

それにしても、ウルク・ハイの生首は見せられても
「エントが焼け死ぬところは子供には見せられない」というのだから
つくづくおちゃめなヒトですね。<PJ


2004/03/01
ホビット的分別×ボロミア --更に個人的なひとりごと

「タイムトンネル」の風太さんはづきさん親子が展開している「LOTR・旅の仲間〜を語り尽くせ!」のコーナーを楽しみに見ています。
先日その中で「ボロミアは自分の器を見誤ったひと」という言葉が出てきてなるほどなあと思うと同時にちょっとズキっときました。
自分の中で、ホビット的に家庭と暮らしを大事に、自分の器量をこのへんまで、と区切りをつけてしまうのが、諦めのような悲しいような、でもそれが一番大事なのかも・とかちょっとだけ葛藤がある今日この頃だからです。

原作の中にサムが指輪に誘惑され・・なかった場面を読んで、ボロミアとの対比のような部分だなあと感じました。
サムが一度だけ指輪を手にした時、庭師の彼らしくゴルゴロスの谷間を広大な庭にしてその支配者になる・・ような幻惑・誘惑を感じます。でもすぐに主人への愛と共に「ホビット的分別」を取り戻し、自分には自分だけでめんどうみれるだけの庭があればいいのだ、と気づきます。
これは「自分はそんな器じゃないのだ」と分かっていて見誤ってない状態だなと。

しかし、これは彼がホビット庄のバギンズ家代々の庭師だったからこそなんでしょう。
ゴンドールの執政の長男、では多少器を見誤っちゃってもしょうがないというか、立場上それ(指輪を手に入れ武器にする)は他人にとってどれほど愚昧でも、本人には「民を守る自分の義務・前向きな夢」という事であり、「分別」は言い変えれば「諦め」と同義だったかもしれません。
サムはサムで素晴らしいけれど、このボロミアの悲しさはどこか共感してしまうものがあります。

よく世間一般が喧伝する「夢をみろ、叶えろ」というキャッチフレーズは、確かに大事なことだけどあまりそればかり言い過ぎるのも無責任だなあと思ってしまいます。


2004/02/27
サウンドトラック

なんでうちのテレビは小さいんだ!
荒野を駆けるアラゴルン様が2センチしかないじゃないか!(イヤ測った訳では・・)

ところで、1〜3部、全てサントラを買ってしまいました。
私がこの映画を好きな重要なポイントのひとつは音楽!なのです。
一番好きなのは1部「旅の仲間」で、「ホビット庄の社会秩序」を聞くとニコニコと幸せな気持ちになるし、「指輪は南へ」の一番勇ましい曲ではむくむくとやる気が湧いてきます。うれしい気分の時は思わず歌っています。チャーンチャーンチャカチャーン♪<あほ
特に最後の「一行の離散」〜「In Dreams」〜「My It Be」は終盤の名場面を思い出し、何回聞いてもいいなあーと。厭きません。ワシが死んだら葬式でかけとくれ。

サントラと映画DVDではエドワード・ロス少年の「イン・ドリームス」の順番と長さが違います。
DVDのほうが長めにコーラスが入っていて、演奏がすばらしくファンタジー。歌詞のあるものではこれが一番好きです。
とくに最後の「And back again〜♪」には、そう、ふたたびね、戻るのよね、そーなのよね!とホビットたちの苛酷な旅を思ってじんわり感動してしまうのです。
「二つの塔」は戦いが多かったせいかメリハリが少ないのですが、ローハンのテーマ曲「黄金館の王(The King Of Golden Hall)」が素晴らしい。

「王の帰還」はまた平和的な曲もまざりバランスが良くなってます。ゴンドールの曲「ミナス・ティリス」も勇ましい!ゴンドールのというよりボロミアのテーマ曲みたいな気がしてしまう。
しかし映画の吹替え版ではビリー・ボイド(ピピン)の美声は聞けないらしく、そんなトコまで吹き変えるのはちょっとどうかと思う・・。

ところでLotrのサントラはテレビでよく使われてます。
スマスマの罰ゲーム登山「指輪は南へ」、女サスケで水野裕子があと一歩で制覇ならずの時「黒門不通」、雨宮塔子女史が古代ギリシャコスプレした特別番組とかトリビアでベン・ジョンソンが走る前とか鉄腕ダッシュでマグロが釣れた時とかetc
時代モノの戦闘シーンとかには使い易いみたいです。あーどんどん使っとくれ。


2004/02/25
集団自殺!? --「王の帰還」

原作読んでない人にあの最後のフロドの船出はどう説明したらよいのでしょう。
夫に「さいごフロドはどこに旅立ったの?」と訊かれて
「うーーーん。エルフがね、この世に倦んだら行くところで・・えーとエート」
思わず「隠居みたいなもんだ」と言ってしまいました。
そしたら彼の脳内でどう変換されたのか 「ま、集団自殺みたいなもんだな」
--- ちがくて!


日本語訳にボヤキ --「二つの塔」のオーディオコメンタリー 監督&脚本

監督&脚本家に日本語訳のことをぼやかれてました。
ヘルム渓谷の戦い前、ガンダルフが厩舎でアラゴルンに「5日後の朝東の方をを見よ云々」
のセリフで、どうやって知ったのか
脚本家「ここ、最初の日本語訳は"エオメルと戻る"って・・
監督「ばらしちゃったのか。ぼかして言った意図が伝わらなかったんだね」
・・・なんか悲しいす。自分はさてちっとも覚えてやしませんが、
確かにエオメル呼びに行ったんだなと最初から分かってたような気がします。
そう言われると、単なる「呼びに行くお使い」になるか「魔法使いが何かやってくれると期待させる」かの違いが出て、脚本家にとってはおおいに問題ですね。

 


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