-花とコトバ-
寺田寅彦 『柿の種』より


いつまでも花を咲かせないで

適当に貧乏しながら 適当に働く。


平凡なようであるが


長生きの道はやはりこれ以外にはないようである。
ヘチマ



ほおづき

  植物が花を咲かせ実を結ぶ時は

  やがて枯死する時である―

 


 

棄てた一粒の柿の種
小さい菊
柿

  生えるも生えぬも

  甘いも渋いも



  畑の土のよしあし





今現在、特に長生きしたいわけではないけれど、著者のように植物を観察しつつ
老境に至ると、このような心境になるのだろうか。
「実を結ぶ」事が人生の一大事、と消耗するよりも
まあ焦らずおやりなさいよ、と言われているようで安心する。

生えるも生えぬも・・・という『柿の種』は、意味深くリズムも良くてとても好き。

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『柿の種』岩波文庫
物理学者で随筆家、俳人でもある寺田寅彦の随筆集
植物や風景、人間観察の視点と味のある文章が面白い。

2004.9〜10

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