テーマの小部屋 > 思わず食べたくなるたべものが出てくる本

たべものの描写がうまいと、ほんとに参ってしまいます。皆さまのオススメも教えて下さい。

  1. 『呑々草紙』杉浦日向子
  2. 『花の下にて春死なむ』北森 鴻
  3. 『神様』 川上弘美

『呑々草紙』 杉浦日向子/講談社

めろん(花日和vol.2より)
エッセイ集です。
旅に出て、おいしいものを食べて、おいしいお酒が飲みたいと思わせてくれる本。文章を説明するイラストや、”ポちゃん日記”という4コマ漫画のようなものが、一段とおもしろくしています。
特に、お蕎麦と日本酒(あまり呑まないわたしでも日本酒に魅力を感じました。)が好きな人には、たまらない一冊になることと思います。

『花の下にて春死なむ』 北森 鴻/講談社文庫

スウ(2002/03/29)
●推理小説でおなかがすいてくる
三軒茶屋にあるビア・バー「香菜里屋(かなりや)」では、ヨークシャーテリアにそっくりの笑顔のマスターが、とびきりおいしいお料理で皆様をおもてなしします。
--プロレスラーの掌を、さらに拡大したような帆たての貝柱を、生きたまま貝殻ごと使い、その縁まで澄んだスープを満たし・・・味は酒と醤油のみ、バターを仕上げに少しだけ。
わずかに赤味のかかった身を口に入れると、それまでの繊維質の歯ざわりとは別に、今度はねっとりとしたペースト感が、それ自体の旨みを主張する。
・・・なんて!おいしそーっなお料理の数々がいたるところに登場して、どうしても「香菜里屋」に行きたくなってしまいます。
が、残念ながらこれはフィクションで、「香菜里屋」に集う常連たちの、6つの短編からなる「推理小説」なのです。
推理のほうは、大事件ではないけれど人の心に引っかかった小骨をひとつひとつ丁寧にとってくれるような謎解きで、短編だけれど長編にもなりそうな深いエピソードにもほろりとされられます。

『神様』 川上弘美/中公文庫

スウ(2002/11/7)

以下は感想ではないです。この本はふつうの感想も書いたのですが、このテーマの中に入れたく思い、気がつくと書き出しておりました。必ず飲み食いする場面があって、それが何かを伝えてくれるように感じます。

『神様』
・くまと散歩に行ったとき
 くまが川から獲って、荒塩をふって干物にしてくれた

 お弁当。くまは、フランスパンのところどころに切れ目を入れて
 パテとラディッシュをはさんだもの、私は
梅干入りのおむすび、食後にオレンジを一個ずつ。
『夏休み』
・原田さんが選んでくれた出荷用の特に大きくて汁のたっぷりありそうな

『花野』
・叔父さんがくれた饅頭。
 「古くなった葬式饅頭は、焼いて食べるとまたひとしおなんだなあ」

・叔父さんの好物
 あわびと海鼠(なまこ)と葛切りとざくろと
そら豆
 「そら豆がいちばんだったな、やはり」


『河童玉』
・ウテナさんと食べた精進料理とビール、
 その後に河童が供するご馳走。
 白身の刺身がひらりひらりとうつくしく盛ってある、
 色もつややかな
や緑や白の野菜の炊いたのが大皿に置かれてある、
 酢の物や揚げ物が小鉢や平皿に載せてある、
 大きいのから小さいのまで、みずみずしい
胡瓜が、
 うすみどりの釉(ゆう)のかかった中鉢に盛り上げられ、
 手塩皿にたっぷりの味噌が添えてある。


『クリスマス』
・大根が煮えてから、かつぶしの粉と味噌を溶き入れ、
 中に解凍したご飯を入れてから
を落とした。
・コスミスミコはハムきざんで卵と海老も入れたチャーハンをつくった。
・コスミスミコは桃色のくちびるに、味噌の雑炊を、
 ひらりひらりと匙を使って、優雅に食べた。
・コスミスミコが作った白ワインに合う料理。
 貝のスパゲティーと
トマトのサラダと山羊の乳のチーズを盛った皿―。
・お酒が無くなった時、壺から垂らした何やら透明な液体。


『星の光は昔の光』
・えび男くんが食べたみかん
 丁寧に、皮を均等に剥き、筋をいっぽんいっぽん取り、
 小房に分けたものを口に持っていき、ちゅうと吸う。
・えび男くんのお母さんの
ハンバーグ
 それは薄くかりりとして、噛めば中からじゅっとおいしい汁が出てくる。
 えび男くんのお父さんはハンバーグより
えびの料理が好き。

・えび男くんが「ああ、ほかほかだ」と言って飲んだ牛乳と、
 何枚かいっぺんにつまんだ
チョコウエハース
・木の枝に
桃色緑色の丸い餅を刺して焚き火で焼くどんど焼き。
・「
みかんって、ひやひやするね」と言って半分に割り筋ごと食べたみかん。
・ちいさなお重につめたお節料理。


『春立つ』
・カナエさんの漬けたとその梅酢を入れたお湯割りの焼酎(夏ならばサワー)。
・ひりひりする
草色ののど飴、甘く喉にじわじわとしみるカリン酒。

『離さない』
・エノモトさんがいれてくれる「おいしい」コーヒーは、
 手動のミルで豆を挽き、布で漉す。
 あたためたコーヒーカップにゆっくりと注ぐ。
 香りも味もたいへんよろしきものなのである。
・人魚は、
を、ハーモニカを吹くような様子で
 なんとも優雅に食べる。


『草上の昼食』
・くまとの最後の散歩。
 バスケットから取り出したのは
のソテーオランデーズソースかけ。
 なすとズッキーニのフライ。
いんげんのアンチョビあえ。
 
赤ピーマンのロースト。ニョッキ。ペンネのカリフラワーソース。
 いちごのバルサミコ酢かけ。ラム酒のケーキ。オープンアップルパイ。
 「
赤ワインもあります。バルバレスコです」
・くまが手づかみでつかみ取り口に放り込んだいんげん。
・いっしょに草原に寝ころんで、ゆっくりかじる
魚の皮


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