たべものの描写がうまいと、ほんとに参ってしまいます。皆さまのオススメも教えて下さい。
以下は感想ではないです。この本はふつうの感想も書いたのですが、このテーマの中に入れたく思い、気がつくと書き出しておりました。必ず飲み食いする場面があって、それが何かを伝えてくれるように感じます。
『神様』
・くまと散歩に行ったとき
くまが川から獲って、荒塩をふって干物にしてくれた魚。
お弁当。くまは、フランスパンのところどころに切れ目を入れて
パテとラディッシュをはさんだもの、私は梅干入りのおむすび、食後にオレンジを一個ずつ。
『夏休み』
・原田さんが選んでくれた出荷用の特に大きくて汁のたっぷりありそうな梨。
『花野』
・叔父さんがくれた饅頭。
「古くなった葬式饅頭は、焼いて食べるとまたひとしおなんだなあ」
・叔父さんの好物
あわびと海鼠(なまこ)と葛切りとざくろとそら豆。
「そら豆がいちばんだったな、やはり」
『河童玉』
・ウテナさんと食べた精進料理とビール、
その後に河童が供するご馳走。
白身の刺身がひらりひらりとうつくしく盛ってある、
色もつややかな赤や緑や白の野菜の炊いたのが大皿に置かれてある、
酢の物や揚げ物が小鉢や平皿に載せてある、
大きいのから小さいのまで、みずみずしい胡瓜が、
うすみどりの釉(ゆう)のかかった中鉢に盛り上げられ、
手塩皿にたっぷりの味噌が添えてある。
『クリスマス』
・大根が煮えてから、かつぶしの粉と味噌を溶き入れ、
中に解凍したご飯を入れてから卵を落とした。
・コスミスミコはハムきざんで卵と海老も入れたチャーハンをつくった。
・コスミスミコは桃色のくちびるに、味噌の雑炊を、
ひらりひらりと匙を使って、優雅に食べた。
・コスミスミコが作った白ワインに合う料理。
貝のスパゲティーとトマトのサラダと山羊の乳のチーズを盛った皿―。
・お酒が無くなった時、壺から垂らした何やら透明な液体。
『星の光は昔の光』
・えび男くんが食べたみかん。
丁寧に、皮を均等に剥き、筋をいっぽんいっぽん取り、
小房に分けたものを口に持っていき、ちゅうと吸う。
・えび男くんのお母さんのハンバーグ。
それは薄くかりりとして、噛めば中からじゅっとおいしい汁が出てくる。
えび男くんのお父さんはハンバーグよりえびの料理が好き。
・えび男くんが「ああ、ほかほかだ」と言って飲んだ牛乳と、
何枚かいっぺんにつまんだチョコウエハース。
・木の枝に桃色や緑色の丸い餅を刺して焚き火で焼くどんど焼き。
・「みかんって、ひやひやするね」と言って半分に割り筋ごと食べたみかん。
・ちいさなお重につめたお節料理。
『春立つ』
・カナエさんの漬けた梅とその梅酢を入れたお湯割りの焼酎(夏ならばサワー)。
・ひりひりする草色ののど飴、甘く喉にじわじわとしみるカリン酒。
『離さない』
・エノモトさんがいれてくれる「おいしい」コーヒーは、
手動のミルで豆を挽き、布で漉す。
あたためたコーヒーカップにゆっくりと注ぐ。
香りも味もたいへんよろしきものなのである。
・人魚は、鰺を、ハーモニカを吹くような様子で
なんとも優雅に食べる。
『草上の昼食』
・くまとの最後の散歩。
バスケットから取り出したのは鮭のソテーオランデーズソースかけ。
なすとズッキーニのフライ。いんげんのアンチョビあえ。
赤ピーマンのロースト。ニョッキ。ペンネのカリフラワーソース。
いちごのバルサミコ酢かけ。ラム酒のケーキ。オープンアップルパイ。
「赤ワインもあります。バルバレスコです」
・くまが手づかみでつかみ取り口に放り込んだいんげん。
・いっしょに草原に寝ころんで、ゆっくりかじる魚の皮。