機械設計技術者試験
「そんなものあったの?」というのが、首題の文字を見た時の感想だ。早速しらべてみた。(社)日本機械設計工業会が主宰する資格だ。すでに過去10回行なわれていて、今年は11月に実施されるという。
技術士の第一次試験やCAD利用技術者試験については、学生から受験について相談された事が何度かあるが、これについてはない。
こんなサイトを見つけた。
実務経験が無くても受験が可能な、3級を受験するについての相談だが、専門学校の先生という回答(1)の内容が、多くの情報を与えてくれる。ここへ来てやっと認知度が上がってきた事。10年経って、設問は出尽くした感があって、過去問を丁寧にやれば何とかなりそうな事。学部の3〜4年生が受験するのに、ちょうど良いレベルとの事等だ。
しかし、学生にとって勉強にはなるが、工学系の資格で、直ちに役に立つものは無いと言っていいだろう。就職に関しては、国家資格でないものを企業がどこまで認識しているかも疑問だ。
ただ、最近は力学をすべて履修しなくても、機械の工学士を得られるそうで、そんな学生が設計エンジニアを目指すならば、この資格取得のために勉強する事は大変有効だ。又先述のサイトの相談者のように、他分野からの参入者にとっては、資格は唯一の客観的な証明になる。
学生がこの資格に関心を持つとしたら、機械設計に従事するものとしてはうれしい事だが、一方で、特にこの資格がというわけでは無いが、資格を主宰する団体が受験料、講習会、書籍の販売で、最も恩恵を享受している気がしてならない。
3級はともかく、1級2級というのはどんな価値があるのだろうか。機械設計のスキルで転職した経験がある私としては、資格よりも何をやってきたかという、経歴・実績の方が能力を適切に評価出来るという気持が強い。
一部の工作機械メーカーでは、CMfgEを取得した社員が優遇されている。CMfgE(Certified Manufacturing Engineer)はSMEが主宰する資格で、アメリカではそれなりに認知されているため、社外に対して宣伝効果がある。同様に機械設計技術者試験が社会的に認知された場合、何人1級2級のエンジニアをかかえているというのは、派遣会社では宣伝になるだろう。
企業の設計部門でこの資格が評価されれば面白いと思う。中堅ベテランになると、知識が業務中心に片寄ってしまう傾向が強い。仕事の合間に設計全般について勉強し直すと、視野も広がるかもしれない。
他人事のように書いてきたが、私の場合はと言うと、実務経験は問題ないが、1級に達するまでに最低4年を要する。定年までに到達できるだろうか。定年後のボケ防止用では実務経験が絶たれてしまう。とりあえず過去問には目を通してみたいと思うが…。 (2007/9/13)
2008/1/23追記
昨日、合格発表があって、学生が合格を報告に来た。製図室に出入りするその学生に、この資格について話をしたのが昨年の9月半ばで、受験願書締切り直前だった。わずか2ヶ月の準備期間でよくぞ達成できたと思う。その学生は受験後に、機械工学全般について復習する良い機会だったと語っていた。3級の試験科目は機構学・機械要素設計、機械力学、流体工学、制御工学、工業材料、工作法、材料力学、熱工学そして機械製図だ。機械設計技術の資格試験に、CADなどではなく、これだけの学力試験を課す事については、全く同感である。
10月に入って、2年生の製図講義でも、この資格について紹介したので、今年は多くの学生に受験の輪が広がるだろう。
戻る
Home
|