親愛なるサーやマダム
主題は最近日本語訳を終えたスペイン語副読本Distinguidos Señoresの日本語訳名である。この訳はwebで見つけたものだが、Señoresは普通「〜夫妻」といった訳をすると思っていたから不思議だった。しかし読み終えてやっとわかった。夫婦など1組も出てこなかった。
スペイン語センターで接続法の授業を選択した時、この副読本もやると分かって大変な事になったと思った。接続法の復習をするクラスに入って、新たに学ぼうというのだから仕方がないのだが。
私には難しく、コンマは元より;や:が多くて訳そうにもどこから手を付ければよいか分からない文章が多かった。止む無く自動翻訳に手を出さざるを得なかった。その訳でなんとなく雰囲気がつかめる事もあるが、正確さには程遠く、文章が繋がらない事が多かった。1つの単語に様々な意味があるから、間違った選択になると意味が通じない。しかし、こちらは複数の単語の意味や熟語を知らないので教えてもらう事も多かった。語彙を増やすにはよい経験だった。
それに芸術的な表現が多くて意味を理解するのがたいへんだったが、話が殺人事件と分かってからは、興味を持って読み進んだ。分からない文章はどんどん飛ばして、飛ばしすぎて中抜きで犯人逮捕のシーンまで行ってしまった。何度も繰り返して読むと少しづつ訳せなかったところが埋まっていく。今回やっと飛ばしたところを読み終えたという分けだ。
時間をおいて読み直すと不思議に理解できる。その分上達したとは思わないが嬉しい。
副読本というと、50年前に授業で「幸福な王子」を使った事を思い出した。単語訳が付いた参考書や全文日本語訳が出回っていたが、それでも学生たちには負担だった。私は偶然本屋で逐語訳の参考書を見つけて重宝した。これが皆に伝わり授業の前日は引っ張りだこだった。コピー機が無い時代の話だ。講師の趣味だろうが、B・ラッセルの「怠惰への賛歌」なんていうのも砂を噛むような思いでやっていた。
今から思えば、もっとしっかりやっていれば力が付いたと思うが、一方でおとぎ話や哲学書でなく、もっと学生が興味を持ちやすい教材が無かったのかと思う。私はスヌーピーをもっと積極的に読んでみたかった。
授業はまだ物語の半分くらいしか進んでいない。授業が進めば、これまでと同様に多くの手直しが出るだろう。一方でクラスにはテキストをもらうとパラパラと拾い読みして有閑階級の話だと教えてくれる人もいる。
自動翻訳を使うようでは本来の学習ではないが、私にとっては勉強というより、興味がある約8000文字の小説を力ずくで読んだという印象だ。推理小説が趣味という分けではないが、興味深い小説に出会えて良かった。 (2017/5/1)
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