放射能汚染とどう向き合っていくのか




◇ 放射線による影響 ◇

放射性物質が放つ放射線(いわば電磁波なようなもの)には、α線、β線、γ線、x線、中性子線といった種類があります。これらの放射線には、紙一枚で遮蔽されるものから、薄いアルミニウムなどの金属板、コンクリートを透過するものまで、それぞれの核種によって性質が異なります。
Haginokai 2012 Miyagi Japan.
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原発事故で今一番問題視されている放射性物質は、γ(ガンマ)線を発するセシウムです。セシウムの半減期はおよそ30年と
されていますが、海外の学者はセシウムが消滅するまでには100年近くかかるとの研究結果を出しています。

では、これらの放射線が危険とされる理由について具体的に述べたいと思います。 簡単に説明すると、放射線は電磁波の
ようなものですが、人間が放射線を絶えず浴び続けた場合、体内の細胞や遺伝子が傷つけられ続けることによって正常な
細胞を維持できなくなり、やがてガンや白血病など、様々な病気を発症する危険性が高いのです。

この、放射線を浴びることを「被曝(ひばく)」と言います。 過去に、広島・長崎で原子爆弾が落とされた際(広島長崎の場合
は「被爆」と表記)大勢の市民が非常に強い放射線を浴び、大勢の犠牲者が出ました。
強い放射線を大量に浴びてしまうと、人体を形成する細胞が壊死し修復不可能な状態に陥ります。

今回の原発事故では、広島・長崎の数十倍以上の放射性物質が放出されたと算出されていますが、原発事故の直前、半径
数キロ圏内の周辺住民たちは、国からの避難指示を受けたために、事故当時は強い放射線に曝された住民は僅かだったか
も知れません。 しかし地震と津波により、ライフラインが途絶えた最中の出来事だったこともあり、原発近くの病院スタッフや
入院患者、行政職員など現場で復旧作業を行っていた多くの人間が、大量の放射線を浴びてしまったのです。

このほか、絶えず放射線を放ち続ける放射性物質が広範囲にわたって拡散したことから、原発から遠く離れた大勢の人々も、
被曝させられてしまったのです。 低線量被曝は、今も続いています。