しっかり温まったところでお皿のご飯にかけると、うーん、これはまたやけに黄色いカレーだなあ。無印版の
獰猛そうな焦げ茶色に対し、プレミアム版は意表をついてまっ黄色。見た感じでは無印版とは完全に別物で
すね。とにかく一口頂いてみましょう。
ほほう、成程こうきたか・・・。具材の野菜のジューシーさとフルーティーさ、そして単純かつストレートな辛味。
なんというか、一種の懐かしさを感じさせる美味しさであります。滅茶苦茶美味しいボンカレー、とでも言えば
いいのかなあ、この味わいは。
黄色い見た目の割にははっきりとした辛味がありますが、カレーに溶け込んだ野菜の旨味がその鋭さを上
手い具合に包み込み、その分少しもったりとした口当たりながらも、不思議に懐かしい味わいになっています。
濃厚なのにサラリとしていて、この辺りのバランスもいい感じだなあ。
具は一口大のジャガイモにとろける寸前のニンジンとタマネギ。あと、10×10×6(o)大の牛肉が3切れ混じ
っています。この価格帯にしてはやや牛肉のボリュームが寂しい気がしますが、このカレーのキモは野菜の甘
味とジューシーさです。牛肉は野菜の旨味を邪魔しない最小限に抑えて、あくまで裏方のダシに徹している・・・
と、好意的に解釈してもいい気がしますね。実際、野菜カレーと称しても全然問題のない味です。
それにしても、この、ぴらぴらしている黒いのは何なんだろう・・・ああ、もしかしてこれが福神漬なのかな?紙
箱の原材料表示を確認すると、カレー自体の材料として『ふくじん漬』が書いてありました。てっきり別の小袋に
入っているのかと思いましたが、うーん、最初から中に混ぜてあったのか。
確かにパッケージには“福神漬入り”と書いてあります。別袋入りなら、“福神漬付き”になるわな・・・。海上自
衛隊のHPで発表されている海自カレーには、福神漬の汁をカレーの隠し味にしているレシピがありますが、福
神漬そのものをカレーに入れるというのはどうなんだろう。私個人的には、やっぱり別に白ご飯の横に添えたい
様な気がしますが。
全体的には柔らかで植物的な優しい味ですが、それでも要所である辛味はきちんと押さえてある、昭和の家
庭のカレーをすごく丁寧に作った様な一品、実に満足のいく味わいでした。
しかし重箱の隅をつつくが如き突っ込みを入れるとすれば、これをプレミアムと呼ぶのはどうなんでしょう。む
しろ無印版をプレミアムと言った様が、しっくりくる様な気がするなあ。この辺りは私個人のいい加減な感想に
過ぎませんので、一度他の人の試食レビューを見てみたい気がします。
あと今回は、無印版とプレミアム版を半分ずつ並べて食べ比べてみました。画像手前の黄色いのがプレミア
ム版で、奥の焦げ茶色が無印版です。
なるほど二つ並べて食べ比べて見ると、この2つが同じシリーズでありながらも全く別の方向性を持ったカレ
ーだという事がよく分かりますね。無印版は果実の甘酸っぱいフルーティーさとスパイスのザラザラした刺々し
い風味が素晴らしくよくマッチしていますし、プレミアム版は野菜の甘さとジューシーさがシンプルな辛味を優し
く包み込んでいます。
言わば、商売のプロであるコックさんと家庭料理のプロである台所のお母さんが、お互いの誇りをかけてぶ
つかり合っている様な感じですね。片方にこそプレミアム版と名付けられてはいますが、どちらもそれぞれの方
向に突き抜けた、十分美味しいカレーであります。どっちが美味しいかを比べるのは、野暮というものでしょう。
スーパーに並ぶにしてはちょい高めの価格ではありますが、旧日本海軍を始まりとして日本中に広まり、今
や家庭とレストランのそれぞれで独自の発展を遂げたカレーの源流を遡る・・・という意味で、どちらも存在意義
に溢れた実に個性的なカレーでありました。
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