ウインナーカレー




    さて今回は『ウインナーカレー』です。自衛隊戦闘糧食の看板メニューと言うか、ある意味日本人の国民食と言って
   も過言ではないメニューなので、入手して以来試食が非常に楽しみな糧食でした。前のU型で採用されたビーフカレ
   ーは実に伝統的なニッポンのカレーライスだったのですが、果たして改良版のカレーはどの様な出来なのでしょうか?
   ワクワクしながらパッケージを開封です。
    ちなみにこのメニューには、メインのウインナーカレーの他にサイドディッシュとして炭焼きチキンも封入されていて、
   これはボリュームも期待できそう。自衛隊のカレーにかける情熱と言うか心意気が伝わってくる様です。







    しっかりと温めたウインナーカレーのレトルトを開封すると、おお、いかにもなカレーの香りが食欲を強烈に刺激しま
   す。
見た目は真っ茶色のカレーそのもので、賽の目にカットされた野菜とともに、太いソーセージが2本入っていまし
   た。ソーセージは直径20o、長さ40oと言うサイズで、なかなか存在感がありますね。まずは一口。
    ほほう、前のU型ビーフカレーの流れをくんだ、スタンダードな味ですね。野菜の甘さと香辛料の香りが程良いバラ
   ンスで、ルーの濃厚さがU型ビーフカレーよりもやや強めなのは、今風に合わせたのでしょうか。マイルドな味わいの
   中にも意外なほどしっかりした辛味が効いていて、うん、かなり美味しいカレーです。
    ソーセージは加熱の所為か一本だけ裂けてしまっていますが、そのおかげで肉汁の旨みがカレーに加わり、より濃
   厚で複雑な味わいになっている感じですね。

    しかしその一方で、カレー全体にソーセージのスモーキーフレーバーが広がっているのがちょっと微妙だなあ。恐ら
   く燻製風の香料がソーセージに添加されていたのだと思いますが、このわざとらしいスモーク臭が、トラディショナルな
   カレーと今ひとつ合ってない様な気が…。


    賽の目切りの野菜はニンジンタマネギ。レトルトの原材料表記を見ると、着色料としてココアが入っていたのが意外
   でした。
コクを出すためにインスタントコーヒーを少量入れる…というのは私もよくやるのですが、着色料としてココアを
   使うと言う発想は無かったなあ。MREの粉末ココアが沢山あるので、今度カレーを作る時に試してみたいですね。


    一方の炭焼きチキン。これは以前の別メニューで試食済みですが、美味しかったんですよね。もも肉自体はややパ
   サついた口当りですが、皮目のプルプルした食感と熱で溶けだした脂肪の風味が、きつい塩味にちょうどいい具合で
   す。
味はやや化学調味料っぽいですが、はっきりしたシンプルな塩味が、鶏肉の旨みをしっかりと引き出しています。
    またこの、いかにも肉を噛みしめている、という満足感もいいですね。カレー自体も250gと十分な量があり、白飯パ
   ック2つと合わせると、かなりの食べ応えがありました。


    この微妙なスモーキーフレーバーで、評価が大きく分かれるカレーでしたね。私個人的には、無かった方が良かった
   様な気がしないでもない様な…と思います。もっとクセの無い安っぽいソーセージを使った方が、より具材とルーとの
   融合が深まったんじゃないのかなあ。『もっと美味しいカレーを、隊員達に食べさせたい!』という作る側の入れ込みと
   気合が、ちょっと前に出過ぎてしまった
様な気がします。


    しかし、来たるべき自衛隊戦闘糧食V型のカレーに向けての繋ぎというか、過渡期的な位置づけとして考えると、こ
   の微妙なカレーの評価もまた違ったものになるのかもしれません。
    ある意味、V型のカレーが出来てからが、このU型改良版ウインナーカレーの本当の評価が問われる…と言っても
   過言ではないでしょう。




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