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缶を開けると、内部にはまっ茶色に染まった鶏肉がぎっちりと詰まっていて、甘辛醤油の食欲をそそる香りがぷんと漂
います。これは皮つきのモモ肉、この大きいのはレバーかな？こっちのは砂ギモでしょうか。なんだか戦闘糧食と言うよ
りも、立ち飲み屋でつまむ缶詰といった感じですね。鶏肉と鶏モツはかなり沢山入っていて、一缶でも十分食べ応えがあ
りそう。全体が甘辛醤油の照りと脂肪のギタギタ感でつやつやと光っているのも、実に美味しそうです。
肉の下からは、拍子切りのコンニャクとタケノコが出て来ました。うーん、全てがまるで居直ったかのようにまっ茶色。
しかしよく考えたら、野菜はタケノコだけなんですね。コンニャクは野菜と言っていいのかどうか微妙ですし。
缶の中身を皿に空けてみると、さながら場末の食堂の片隅で忘れられたまますっかり煮詰まってしまった煮物のよう
なビジュアルですが、これはこれで美味しそう。さっそく頂いてみましょう。
うん、もう見た目そのまんまの濃厚な味ですが、甘辛のバランスが良く唐辛子の風味も僅かに効いていて、ホテイの焼
鳥缶をぐっと下品にした様な美味しさがあります。鶏肉はほろほろと崩れるほど煮込まれていて繊維が歯のすき間に食
い込みますが、なかなかおつな味であります。
コンニャクは水分がかなり飛んでいて、まるで炒ったような歯応え。醤油の濃い味が強烈に浸み込んでいて、これもな
かなかイケます。
タケノコもかなり柔らかくなるまで煮込まれていて、鶏肉のダシと脂っ気をたっぷり吸いこんで、まるでメンマの様な味に
なってます。
砂ギモはあのザリザリした独特の歯応えは無く、固い繊維がびっちりと固まったような口当り。柔らかいビーフジャーキ
−の塊みたいです。
レバーはかなりパサついていますが、クセのある旨みが濃い甘辛醤油味にぴったり合っていて、これはレバー好きに
は嬉しい味だなあ。このレバーだけを集めた缶詰があったら、是非買いたいぐらいです。
しかしこの缶詰、美味しい事は美味しいのですが、余りの味の濃さに正直途中からはしんどくなってきました。自衛隊
戦闘糧食にしては例外的に脂肪分も多く、これ一缶でどんぶりめし３杯はかるくイケそうです。
戦闘糧食本来の食べ方からは逸脱してしまいますが、味自体はすき焼きっぽいので、しっかりと加熱して溶き卵にくぐ
らせて食べるのが一番美味しく頂けそうです。あ、薄めのかつおダシでサッと煮て、溶き卵でとじる・・・と言うのも美味し
そうですね。
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