タイ王国軍戦闘糧食
เสขึยงอาหารสำเร็อรูปธุค แกงเขียวหวานไก่



       さて今回は、タイ王国軍戦闘糧食二つ目となるเสขึยงอาหารสำเร็อรูปธุค แกงเขียวหวานไก่
      す。どうやらこれがメニュー名の様ですが、翻訳サイトにかけても意味不明な単語の羅列にしかならず、中身
      がさっぱり分かりません。
       とは言え、よく分からないものをそのまま食べるのが海外モノ戦闘糧食の醍醐味です。素性がまるで分から
      ない相手と野試合を行う様なこの緊張感・・・毎度の事ながらたまンないものがありますね(笑)。
       まずは外観から見てみましょう。パッケージは以前試食したものと同様に半透明のくすんだモスグリーンで、
      正方形に近いビニール樹脂製。が、よく見ると表面の印刷がシールになっています。以前試食したものはパ
      ッケージに直接印刷してありましたが、複数の業者から納入しているのでこの辺はバラバラなのか、それとも
      途中で仕様が変わったのか。

       中に入っていた小さなレトルトにはแกงเขียวหวานไก่  น้ำหนักと書いてあり、これを翻訳すると
      量カレー
と出ました。重量カレー?それだけの食べ応えを誇るという意味かな?前回に引き続きタイ料理食材
      店のタイ人の店員さんに見てもらおうかなあ・・・と思いましたが、折角なのでここは得体の知れないものを
      得体の知れないまま食べる
としましょう!なあに、カレー味にして食べられないものはないから大丈夫!

       ちなみに前回のタイ軍戦闘糧食の試食は、寒風吹きすさぶ12月末の河川敷・・・というタイ軍と全く関係
      なさそうな季節状況下
で行ってしまったので、タイ軍戦闘糧食の本領を発揮できないままだったんですよね。
      流石にそれではきちんとした評価が出来なかったので、今回は真夏の蒸し暑い時期に山中に入って食べよう
      
思っていたのですが、今年の夏(試食は2014年に行いました)は雨にたたられる事が多く、試食の段取り
      をつける事が出来た頃には9月になってしまいました。
       しかも例年の残暑はどこへやら、すっかり秋の様な気候です。うーん、天候に翻弄されるのはイベントも野
      外試食も一緒か・・・。

       とりあえず当日は大阪と奈良の国境付近の山中に分け入り、眼下に交野市内を見下ろせる高台に到着。さほ
      ど暑くはないものの、ここまで急斜面の登りが続いたお陰ですっかり汗だくになってしまいました。これで
      ぬほど蒸し暑ければコンディション的に完璧
だったのになあ・・・等と妙な事を残念がりながら、さっそく試
      食の準備に取り掛かります。






【内容】
1:ข้าวสวยหอมมะลิ น้ำหนัก(ジャスミン米)
2:แกงเขียวหวานไก่  น้ำหนัก(?内容はグリーンカレー)
3:パイナップルの砂糖漬け(・・・と思われる)
4:荒挽き赤唐辛子    5:ナンプラー
6:レンゲ




       主食副食の2つのレトルトを自衛隊の加熱剤で温めている間に、腰を下ろして一休み。空は明るく陽ざし
      も穏やかで、吹きわたる風が気持ちいいなあ。そこらじゅうから鳴り響いているセミの鳴き声も柔らかで、9月
      半ばだというのにすっかり秋の気配を感じさせます。

       レトルトが十分温まったのを確認し、火傷に気をつけつつ開封。まずはแกงเขียวหวานไก่  น้ำหนัก
      からですが、果たしてどんなカレーなのか・・・あれ?といい香りといい、これはグリーンカレーではない
      ですか!
いやあ私大好物なんですよね、グリーンカレー!表面を黄緑色のオイルがたっぷりと覆っていて、な
      かなか美味しそうですよ。胃袋から湧き上がる興奮を抑えつつ、まずは一口。
       おお、これぞ本場のグリーンカレー!優しく豊かで実に刺激的な味わいです。濃厚なココナッツミルク
      モングラス
パクチー青唐辛子の香りと辛さが効いていて、ナンプラーの塩味が全体を軽く引き締めている
      感じ。具はたっぷりのタケノコ鶏肉で、小さなレトルトなのに見た目以上の食べ応えがあります。

       この緑色のぴらぴらしたものは、バイカパオ(ホーリーバジル)かな?いやはや、これはかなり美味しいグ
      リーンカレーですよ。私はタイ料理が好きなので、ヤマモリのレトルトを買ってきたり市販のペーストを使っ
      て自作しているのですが、この戦闘糧食のグリーンカレーが今までで一番美味しいかも。自分で作ると、つい
      砂糖の量をケチってしまうんですよね、中性脂肪というかカロリー的に(笑)。やっぱりこれ位思い切って甘
      くした方が、断然美味しくなるんだよなあ・・・。
       もう一つの大きいレトルト、ข้าวสวยหอมมะลิ น้ำหนัก(ジャスミン米)を開封です。自衛隊戦
      闘糧食の様に厚みが均一なタイル状ではないので、柔らかくなった部分とまだ少し硬い部分が入り混じってい
      ます。これは温める前に軽く揉みほぐした方がよかったのか。長粒種なので甘味が少なくパラパラで、香り米
      独特
の芳香は正直あまり感じられませんが、なんだかんだで主食がお米なのは日本人にとっては有難いなあ。

       このジャスミン米にカレーをかけると、こんな感じ。うーん、鶏肉が完全に煮潰れてゴロゴロ感がないので、
      た目は正直微妙・・・。なんというか、ドッグフードがまだ一般的ではなかった時代のわんこのディナー
      いう感じです。
       とは言えグリーンカレーとの相性は素晴らしく、旨味の少ない米がグリーンカレーの濃厚な甘味と旨味を纏
      い、パラついた食感もたっぷりオイルのお陰で程良い口当たりになっています。甘くてもっちりした日本米も
      いいですが、やっぱりタイ米で食べるグリーンカレーはひと味違いますね
       ・・・と、ここまで我ながら絶賛に次ぐ絶賛ですが、これはある程度辛味慣れ、ナンプラー慣れしたタイ料
      理好きの私の舌による感想
です。グリーンカレーどころかタイ料理すら初めてという人にとっては、これはか
      なり凶悪というか異様というか、身も蓋も無く言ってしまえばくさい料理だと思うんですよねえ(タイの人ゴ
      メンナサイ)。慣れてしまうとこのクセが病みつきというか、誰か冷たいチャーンビール持ってきて!という
      気分になりますが、初めて食べる人が10人いたら、最後まで完食出来るのは5人位かもしれません。

       半分ほど食べ進んだところで、同封されていたナンプラーの小袋を開封。この袋入りナンプラーも強烈な香
      り
で、市販のものよりもエグイ気がします。ちなみにこの糧食は賞味期限を3年オーバーしているので、余計
      に匂いもクセもキツくなっているんだと思いますが。
       小袋の1/4程をグリーンカレーにかけただけで、強烈なニオイが辺り一面に漂いました。この臭気はなか
      なか的確に表現しづらいのですが、真夏に5日位風呂に入らずクーラー無しで過ごすと、体のある部分がこん
      なニオイになりそう・・・
という感じかなあ。またタイの人に回し蹴りされそうな事を書いてしまいましたが、
      決して悪く言っている訳ではないんです!そういうのを含めてタイ料理が大好きなんです!なんなら我が国の
      納豆についてボロクソに貶してくれても構いません!ニヤニヤしながら拝聴します(笑)!
       まあくさい事はくさいのですが、甘くてオイリーなグリーンカレーの味わいが独特のクセと塩気でぐっと引
      き締まり、一層美味しくなった気がします。

       さらに同封されていた赤唐辛子の小袋も開封。以前試食した時は少量でもかなり辛かったので、1/3だけ
      かけてみます。おお、さらに全体の味が引き締まるというか、甘さと旨味を際立たせる辛さ。額に汗がどっと
      浮きますが、そよ吹く風のお陰で逆に涼しく感じます。いやあ、やっぱり暑い国の食べ物は合理的に出来てい
      ますねえ。
       くさい、でも美味しい、でもくさい、でもやっぱり美味しい、ああああああもうアタシたまンない・・・
      いう感じで、結局一気に食べきってしまいました。唯一文句をつけるとすれば、300gの白米に130gの
      グリーンカレーは、一食分のボリュームとしてかなり淋しいものがある気がします。グリーンカレーも半分以
      上が液体だったので、体感的にはお茶わん軽く一杯半位の食べ応えでしたし。
       同じカレーでも(全然同じじゃないけど)自衛隊戦闘糧食の場合は、白飯400gにカレー200g、さら
      にもう一品おかずがつくのですから、重量感の差は歴然としています。とは言え、食べた後にすぐ体を動かす
      なら腹七分目の方がいいと聞きますし、そもそもタイの人は小柄なので、これ位の量で丁度いいのかも。オイ
      ル分も多かったですし、カロリー的にも問題はないのでしょう。

       おっと、食後のデザートを忘れていました。タラコを輪切りにしたみたいなのがころころと出てきましたが、
      何だこりゃ。赤緑黄と妙にカラフルなのがタイらしいなあ。とりあえず一口。
       うん?これは・・・ドライパイナップル・・・いや、パイナップルの砂糖漬けかな?ホタテ貝柱をぎゅっと
      圧縮した様な、メンマから水分を抜いた様な食感で、爽やかな甘味がなかなかいい塩梅。方向性としては、日
      本の干し柿とか甘納豆に近いものがあります。
       ねっちりもっちり&シャリシャリという不思議な食感ですが、グリーンカレーの濃厚な旨味と刺激的な辛さ
      で疲労した舌を、すっきりリフレッシュしてくれるのがいい感じ。赤緑黄の味の違いはなかったので、ただの
      着色
と思われますが、変なキャンディなんかよりもよっぽど美味しいと思いました。

       いやあ美味かった!ほんと美味しかったです!汗をかきかき山道を登ってきた疲労感も、より一層美味しさ
      を増してくれた気がしますが、タイ料理好き、グリーンカレー好きとしては狂喜乱舞の味わいでした。体を使
      い汗をかき、飛び交う蚊を払いのけながらの試食となりましたが、これこそが戦闘糧食の醍醐味でしょう。た
      まにはこうして、屋外で食べなきゃなあ。
       すっかり空になったクッカーとレトルトパックに
       「コップンクラップ(御馳走様でした)!」
       と合掌し、荷物をまとめて下山。ささやかながらも楽しい夏の終わりの昼下がりでありました。




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