タコライス
さて今回は、自衛隊非常用糧食『タコライス』です。おおおお、戦闘糧食にタコライスが採用されるとは!
私大好きなんですよタコライス!イヤッホウ!
・・・と、初っ端からテンションが急上昇してしまいましたが、タコライスとは沖縄の名物料理のひとつで、
タコスに挟むタコミートをご飯にのせて、フレッシュレタスやトマト、チーズをトッピングしてサルサをかけ
たシロモノです。いわば、タコスの中身をそのまんまご飯に乗せてしまった様なものですね。
私も普段から市販のタコスシーズニングと挽肉で自作したり、お手軽な沖ハムのレトルトで華麗なるタコラ
イスライフを満喫しているのですが、これがまたライト系のビールとよく合うんですよねえ。まさかこんなマ
イナーな料理を、自衛隊の戦闘糧食でお目にかかれるとは思いませんでした。いやあ、最近の自衛隊はほんと
冴えてるなあ。入手して以来、試食が楽しみで仕方ありませんでした。
これまでにないレベルのこのワクワク感が、あからさまな死亡フラグでは無い事を祈りつつ、しっかりと温
めたパッケージを開封して試食に移りましょう。
まずは白飯です。うーん、こうしてOD色の平べったいレトルトから出て来ると、ずいぶん前に試食したシ
ンガポール軍戦闘糧食のライスを思い出します。あのレトルトのライスがなかなかのお味で、U型無印版のプ
ラスチック臭い白飯よりもよっぽど美味しかった記憶がありますが、今回から改めて採用された非常用糧食の
白ご飯は、それをさらに上回るお味になっています。
ジャポニカ米らしくべたつき加減ではありますが、レトルトの内側がサラサラ加工になっていて、ひっつい
た米粒も簡単にかき出せるのがポイント高いです。
もう一方の主食パックは山菜飯。こちらも安定した実力を誇るあっさり醤油味で、具はワラビ、たけのこ、
ニンジン、しいたけの4種類。どれもペラペラの薄切りな上に干からびたような見た目なので、野外だと具な
のか枯葉の欠片なのか分かりなくなりそう。
考えようによっては少々枯葉が混じっても美味しく頂けるという、微妙な意味での迷彩効果を発揮している
とも言えますね。もち米独特の食べ応えのある重量感のお陰で、腹もちもよさそう。
さて、タコミートのレトルトを開封してみましょう。おお、これは間違う事なきタコミートの香り!刺激的
なスパイスとトマトの甘酸っぱい香りが、ふわりと鼻をくすぐるのがたまらないなあ。
まずは別皿にあけてみますが、うーん、これはまたえらく水分が多いな・・・というかこれ、油分ですね。
モロモロした挽肉の上を分厚い脂肪の層が覆っているところは、以前試食したリトアニア軍戦闘糧食の『ポッ
トローストと粥』を思い出させますが、とにかく一口いってみましょう。
ほほう・・・なるほど、これは確かにタコミート。トマトの風味が強く前に出ていて、辛さもけっこう効い
ています。スパイシーチリトマト・・・いや、アラビアータ?いや、辛口ミートソースと言うのが一番近いか
な?じわっと効いてくる辛味の後方にはトマトのしっかりとした甘味と爽やかな酸味が感じられ、これは正直
かなり上質なタコミートだと言えるでしょう。
トレーの白飯にのせてみると(山菜飯は別皿に避難)、こんな感じ。ご飯が200g、タコミートが160g
なので、ちょっとバランスが悪いかな?主食は2つとも白飯にしても良かったかもしれません。白飯が1つだ
けだと油分が多く、かなりツユだくなタコライスになっています。
一口食べてみると、おおおお、これはご飯に合うなあ。トルティーヤにのせるタコミートではなく、最初か
らご飯に照準を合わせて作った様なタコミートなので相性の良さが素晴らしい!
タコライス?なんじゃそりゃ?な人にとっては、トマトの効いたキーマカレーみたいに感じるかも知れませ
ん。いや、中華とテクスメクスのテイストの違いこそありますが、豆腐抜きの麻婆豆腐を白飯にかけたらこん
な感じかな・・・と読んだ所で「あ、それ美味しそう・・・」と思った人には、どストライクの味だと思いま
す。
いやあ、これにレタスとトマト、チーズをトッピングしたら凄い事になりますよ。想像しただけでもバドワ
イザーが止まりそうにありません(笑)。
それにしても、ご飯を貫通して皿の上にたぷんたぷんに溜まっているこの真っ赤な油が恐ろしいなあ。中性
脂肪やカロリー、体重計の数字が気になるお年頃の私にとっては、まるで悪魔が啜る生き血のように見えます
が、現場で汗を流す隊員さん達にとってはこれも貴重なカロリー源。怖れる事なく全部頂いちゃいましょう。
あと、流石にタコミートとは合わないだろうと別皿に移ってもらった山菜飯ですが、刺激的なタコライスを
オカズに山菜飯を食べると考えると、意外と合う気がします。
沖縄から転校して来た暴れん坊だけどどこか憎めないタコライス君を、醤油味の山菜飯君が和の精神をもっ
て受け入れている感じ。タコライスのスパイシーなはっちゃけっぷりが、逆に山菜飯の懐の深さを際立たせて
いる様に見えました。
それにしても、自衛隊の戦闘糧食でここまではっきりと油辛いのは初めてですね。私が辛いもの好きなので、
どうしても下駄を履かせた評価になってしまうのは十分承知していますが、それでも自衛隊戦闘糧食では現時
点での最高評価を与えたいメニューでありました。
いやー、ほんと美味しかったので、途中からは試食を忘れて一気に食べきってしまったのがちょっと勿体な
かったなあ。次回はもう少し心に余裕をもって、ゆっくり味わいながら食べたいと思いました(笑)。
日系の米軍兵士と陸自隊員が、泥まみれ汗まみれになりながらがっしりと握手している様な、現時点での文
句なしのベストメニューでありました。
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