スウェーデン軍戦闘糧食 24HMEAL G4
Tre rätters meny 6



       さて今回は、スウェーデン軍戦闘糧食『24HMEAL G4 Tre rätters meny 6』
      です。スウェーデンは北欧スカンジナビア半島に位置する王国で、平和で社会保障制度が充実した極めて寒い
      国・・・
という印象がありますね。
       ただその理想郷の様な福祉の充実っぷりを巡っては、近年様々な歪みや軋轢を生じつつあり、2013年に
      は政府の移民政策に対する国民の怒りが爆発し、首都ストックホルムを揺るがす大暴動にまで発展した事を考
      えると、大きな成功例でもあり同時に失敗例でもあると言えるでしょう。
       その一方で冷戦終結以降も強大な軍事力を維持しており、現在も国の基幹産業分野における軍需産業の占め
      るウェイトが非常に大きい事も特徴です。2010年までは徴兵制も敷かれていて、まさに重武装防衛による
      中立の維持
とでも言うべき様相を呈しています。
       陸海空軍の総兵力は19万人、さらに30万人を超える予備役を有していますが、人口が900万人程度
      ある事を考えると、その気合いの入りっぷりがよく分かります。
       食文化に関しては、冬が長く年間を通して日照時間に恵まれないため、新鮮な野菜が少ない(あっても輸入
      品で高価)保存食文化がメインになっています。ちなみにこれは、女性の社会進出率が極めて高いというスウ
      ェーデンのお国柄の影響でもあります。夫婦共働き世帯が殆どなので、どうしても買い物や食事の用意にかけ
      る時間が限られ、家庭では保存食にちょっと手を加えた程度の食事になってしまう様です。
       料理の味付けはあっさりとした控えめな味が好まれ、他国の料理文化を簡単に取り入れてしまう柔軟性(ピ
      ザがスウェーデン料理だと思っている子供がかなり多いとか・・・)があるという点で、妙に日本に似ていま
      す。
       あとスウェーデンと言えば、忘れてはならないのがシュールストレミングですね(笑)。ニシンの塩漬けを
      発酵させた、世界で一番臭いと恐れられる缶詰です。これが糧食に入ってたらどうしよう・・・。それはそれ
      でちょっと面白そうではありますが(笑)。


       さて前置きはこれ位にして、糧食を見てみましょう。パッケージはぺらぺらのビニール袋製で、中身はほぼ
      丸見え。小学校の理科準備室にあった人体模型を彷彿とさせますね。上部にはチャックが付いていて、パッケ
      ージングという点ではかなり頼りない印象です。輸送途中で中身を抜こうと思えば簡単にできますし。
       内容物は民生品を多用している様で、外から見てもかなりカラフル。包装の簡易さも相まって、まるで町内
      会の盆踊りのあとに配られる子供用のお菓子詰め合わせセット
みたい。うーん、戦闘糧食ならではのマッチョ
      で力強い雰囲気には程遠いなあ。
       正面のラベルには、朝昼夕のメインディッシュが記載されています。それ以外の食品はひとまとめにして記
      入されているので、指定されたメインディッシュを中心に、あとは各自好きな組み合わせで食べればいいのか
      な。賞味期限を1年ほど過ぎていますが、見たところフリーズドライ食品が中心の様ですし、現地の寒冷な環
      境で保管されていた事を考えても問題ないでしょう。


       ちなみにこの糧食、3食一日分で実に3800kcalもの熱量を誇ります。米軍のMRE3つぶんよりも
      まだ多い位。やはり寒い国の糧食だけあって高カロリーなんだなあ。パッと見がチャチなので、そうは見えな
      いのですが。
       そして各食品を並べてみるとすごくカラフル。まるで無料試供品お試しセットの如き趣です。


 



【内容】
1:Hallonyoghurt med Flingor(穀物とラズベリーヨーグルト)
2:Potatismos med nötkött och grönsaker(牛肉と野菜のマッシュ
ポテト
)
3:Krämig pasta med kyckling(鶏肉とクリーミーパスタ)
4:オーツ麦クッキー×2   5:ピーナッツバター
6:チェダーチーズ   7:粉末ドリンク   
8:ナッツ&フルーツ   9:粒ガム×3   10:チョコバー
11:キャンディー   12:粉末コーヒー×3   
13:ウェットティッシュ×3


 



       まずはFrukost(朝食)。指定されたHallonyoghurt med Flingor(穀物
      とラズベリーヨーグルト)のパッケージを開封し、300mlの冷水を注いでよくかき混ぜ、10分間待ちま
      す。パッケージの底の部分は立体加工ですし、裏面には折り畳んだ開封口を止める為のシールもついていて、
      なかなかの新設設計ですね。


       ちなみに朝昼夕のメインとなるフリーズドライ食品のパッケージには、スウェーデン語以外にも2ヶ国語
      説明書きがあり、うち一つが英語なのが有難いなあ。とは言え、見知らぬ言語で書かれた説明書きを四苦八苦
      しつつ調べるのも、他国戦闘糧食試食の醍醐味
であります。
       おっと、付属のDISINFECTION SWAB(消毒用ナプキン)で手を拭くのを忘れいていました。
      このお手拭きが消毒用アルコールそのもので、まるで採血される気分。ちょっとした傷口の消毒にも便利です
      し、余計な香料が添加されたものよりもよっぽど便利ですね。
       メインが出来上がるまでに、他の食品を見て行きます。LOADEXと書かれた鮮やかなスウェデッシュカ
      ラーのパッケージには、Vätskeersättning(水分補給)と印刷されています。特に何味とも書かれていません
      が、どうやら粉末飲料の模様。果たしてどんな味なんだろう・・・と期待しつつ説明書きの通り1Lの冷水
      溶かすと、まるでバルト海の冷たい海水を思わせる薄いブルーの飲み物が出来上がり。


       さっそく一口飲んでみますが、ほほう、甘味も酸味もごく控えめな、ラムネを薄めたスポーツドリンクっぽ
      いテイスト
です。後味もスッキリ爽やかで、なかなかイケますね。水分吸収を高める為のほんの少しの塩分に、
      ブドウ糖
クエン酸を足した感じで、人工っぽさこそありますが戦闘糧食の粉末飲料の中ではかなり美味しい
      部類
に入ります。
       続いてはSqueeze Cheese Cheddar、チェダーチーズスプレッドです。室温に戻した
      マーガリンっぽい柔らかな食感で、チェダーらしい味わいもありますが、このとろりとした口当たりキツイ
      酸味
・・・むしろマヨネーズという方がしっくりします。マヨ6、ホイップクリーム3、チェダーチーズ1の
      割合で混ぜると、こんな感じになりそう。


       ポップで軽い味わいは決して悪くありませんが、特にマヨラーでもない私としては、マヨネーズをそのまま
      オカズにしている様な妙な気分。
うーん、これはこのままではなく、ビスケットと合わせて食べるべきであっ
      たか・・・。
       次はSWEBAR。チョコミント味のエナジーバーです。開封すると、チョコでコーティングされた拳銃の
      弾倉
みたいなずっしり重いチョコバーが出てきました。一口かじってみると、みっしりとした強い歯ごたえと
      ともに、ミントがほんのりと効いた上品なカカオの香りが口いっぱいに広がります。
       齧り始めが随分固く、中身はキャラメル生地の様ににっちゃりしているのでかなりの回数を噛む事になる為、
      これ一本だけでかなりの満腹感が得られそう。


       さて、そろそろ10分経ちました。ワクワクしつつパッケージを開封すると、おお、フルーチェのイチゴ味
      をぐっと濃厚にした様なもの
が、どろどろでろでろと出て参りましたよ。さっそく一口食べてみると、うわあ、
      これ、本当にヨーグルトだ。
さっきまではただの粉末だったのに(笑)。
       クランベリー風味でかなり酸味が強く、甘さは必死で探さないと見つからない程度。離乳食の様な見た目と
      は裏腹に、かなり大人の味のヨーグルトですね。口当たりも濃厚で、お粥に近い食感であります。押し麦も入
      っているので相当な回数を噛む必要があり、お陰で朝からぱっちり目が覚めそう。


       しかしこのヨーグルト、出来上がりで440gとかなりのボリュームがあるせいか、食べていると酸味がだ
      んだんきつく感じられます。そこにCOLOMBIANと書かれたインスタントコーヒーを一口含むと、熱さ
      とホロ苦さが舌をリセットしてくれる
のがいい感じだなあ。最初はヨーグルトをこんなに食べるの?と驚いて
      しまいましたが、なんだかんだで最後まで美味しく頂く事が出来ました。
       またこのクランベリーの淡いピンク色と粉末ドリンクの海氷の様な薄いブルーが、何とも言えず美しい色彩
      
です。原色のポスターカラーを溶かした様なMREの粉末ドリンクとは正反対の、食べていて心がほっと落ち
      着く感じ
。まるで和食の様な、目でも楽しめる味わいがありました。


       最後はV6と書かれた粒ガム。至って普通のミントフレーバーで、あっという間に味が抜けてしまう安物で
      はありますが、まあコスト優先の戦闘糧食のガムだからなあ。食後の歯磨き代わりになれば十分でしょう。
       私は普段は和風の朝食なので、これまでの食卓になかった非常に珍しいタイプの朝ごはんになりました。ど
      れもお味はなかなかのものでしたし、美味しく頂く事が出来ました。


       なんというか、スウェーデンに留学した日本人生活習慣や文化の違いに翻弄され、初日から目を白黒させ
      られる事の連続でしたが、寮のみんなは個性派ながらもいい人達っぽいですし、前途多難ですが何とかやって
      いけるかな?
時々お米の朝食が恋しくなるかもしれないけど、僕のスウェーデン生活はここから始まるんだ!
      と、寮の部屋のを開けて晴れた青空を見上げたところで、第一話のOPスタッフロールが重なる・・・そ
      んな朝食でありました。




       続いてはLunch(昼食)です。先ずはメインのPotatismos med nötkött och grönsaker(牛肉と野菜
      のマッシュポテト)を開封し、400mlの熱湯を注いでしっかりかき混ぜます。折り畳んだ開封口をテープ
      で固定して、そのまま10分間置いておきましょう。


       その間に、HAVREKJEKSを開封。私の手に渡るまでに相当な物理的衝撃に襲われたのか、中に入っ
      
ていたオーツ麦クッキーは砕け散っていましたが、どうやら直径6cmのものが4枚入っていた模様。ひと欠
      片つまんで口に入れてみると、ほんのり甘い穀物の風味がとてもいい感じです。
       全粒粉独特のざらついた口当たりで、特にこれといった味付けはありませんが、飽きの来なさそうな素朴な
      味わい
。主食として十分通用するクッキーであります。
       しかし戦闘糧食に採用された割にはかなり脆く、ちょっと歯を当てただけで口の中でぼろぼろと崩れてしま
      います。最初は粉々になった中身を見て、あちゃーハズレを引いてしまったか・・・と思いましたが、むしろ
      この脆いクッキーがよくこの程度の破損で済んだと感心するぐらい。
       また、水分の殆ど無い口当たりなので、食べているうちに口の中の水分をどんどん持って行かれますが、こ
      こでもスッキリした味わいのドリンクに助けられました。どちらもあっさりとした素朴な優しい味わいで、ま
      るでお互いが水と空気のような存在になった老夫婦の様な、デートで一日中図書館にいる地味系カップルの様
      な、実に味わい深い組み合わせであります。


       続いてはParrotsという商品名の、ナッツ&フルーツ。これがもう市販品そのもののカラフルなパッ
      ケージで、なんだか空港の売店に置いてあるスナック菓子みたい。中からは結構な量のナッツとドライフルー
      ツが出てきました。
       カシューナッツ、ピーナッツ、ドライクランベリー、あとこの小さな四角いのは何でしょう。味的にはリン
      ゴっぽい
ですが、この繊維感はドライパイナップルかな?
       よくあるドライフルーツ入りのミックスナッツではありますが、ドライクランベリーが塩っぱいのが意外で
      した。甘酸っぱいクランベリーは珍しくありませんが、この不思議な塩味はなんなんだろう。しかもこれ、ど
      こかで食べたような不思議に懐かしい味わいだなあ・・・と思ったら、甘口の梅干しにそっくりでした。
       ナッツ特有の濃厚かつさらりとした植物性脂肪のコクに、ドライパイナップルのすっきりした甘みが加わっ
      た所にクランベリーらしい酸味不思議な塩味が入り混じり、正直言って滅茶苦茶美味しいです。一つまみ口
      に入れるたびに舌の上に広がる旨味、酸味、甘味、塩味の割合が刻一刻と変化し、もう一口、ついもう一口と、
      とめどなく食べ続けてしまいそう。


       ちなみにこれひとパックで、実に480kcalものカロリーを摂取できます。小腹がすいた時の軽い一食
      としても十分なレベルですね。それにしてもこれ、バーボンにもすごく合うだろうなあ。フガフガと全部食べ
      てしまいそうになりましたが、断腸の思いで1/3だけ残して今夜のお楽しみに取っておきます。
       さて、いよいよPotatismos med nötkött och grönsaker(牛肉と野菜のマッシュポテト)が出来上がりま
      した。さっそくメストレーにあけると、なんというか猛烈に不穏な見た目の物体がボトボトとこぼれ落ちてき
      ます。えーと、何これ?
       肉と野菜が入った炒りおから風のマッシュポテトを想像していたのですが、出てきたものは、
       「お、落ち着いて話し合おう、話せば分かる」
       とでも言いたくなるような、只者ではない雰囲気を纏った茶色いブツ不機嫌そうな面持ちでメストレーに
      座り込んだまま
一言も発しないので(当たり前だ)、もしかしてこの人、滅茶苦茶怒ってるのかな・・・と、
      なんとも不安な気分に駆られます。


       恐る恐る一口だけ食べてみると、あれ?これってもしかして醤油味?口当たりは水分の多いマッシュポテト
      そのものですが、この妙に舌に馴染む不思議な風味、やっぱり醤油味・・・だよなあ。マッシュポテトを醤油
      とバター
で味付けしたら、こんな感じ?いや、すき焼きの残り汁をマッシュポテトに吸わせた方が近い気がし
      
ます。
       しかし不思議にホッとする味だなぁ。何かに似ている様な・・・あ、あれです、肉じゃが!男爵いもを使っ
      てどろどろに煮崩れた肉じゃが。あれにそっくり!
パッケージの原材料表示を見ると、ポテト、ニンジン、タ
      マネギ、パースニップ、植物性脂肪、牛肉
。パースニップとは初耳ですが、調べてみるとヨーロッパでは煮込
      み料理でよく使われる、ニンジンに似た白い根菜との事。これに糸こんにゃくを入れれば、まんま肉じゃが
      すね。
       全体の色合いにまぎれてあまり目立ちませんが、牛肉もたくさん入っています。かなりボリュームがあるの
      で最初はキツそうだなあと思いましたが、このおふくろの味テイストのお陰でパクパクいけますね。いやこれ、
      普通に美味しいですよ。なんだかんだで一気に食べきってしまいました。


       それにしても、この肉じゃがそのものな甘辛醤油味は何だったんでしょう。原材料表示にはsyouyu
      soysauceもありませんし、不思議だなあ。もっとも、年間を通して新鮮な野菜が不足しがちなスウェ
      ーデンですから、日本と同じ様な保存のきく植物性発酵食品があってもおかしくありません。あまり馴染みの
      なかったスウェーデンの食文化ですが、意外と日本に近いものもあるのかも。
       あ、いま思い出しましたが、以前オランダ軍の戦闘糧食ROEKの中にあったスウェーデン風ビーフシチュ
      ー
も醤油っぽい和風テイストでしたね。うーん、これは面白い。スウェーデンの食文化について、急に興味が
      湧いてきました。
       最後はインスタントコーヒーで締め。いやあ、お腹いっぱいになりました。とは言えどれも消化吸収のよい
      食品だったので、いつまでも満腹感が続いて動きづらいという事はなさそうですね。
       それにしても、梅干しの様なドライクランベリーといい肉じゃがの様なマッシュポテトといい、非常に興味
      深い昼食でありました。これを食べた私が不思議な既食感を憶えたという事は、日本にいるスウェーデン人留
      学生の人達も、肉じゃがを食べて故郷を思い出したりしているんでしょうか。
一度聞いてみたいなあ。


       なんというか、どうにかスウェーデン生活に慣れたものの、ホームシックにかかって元気のない日本人留学
      生を励まそうと寮母のおばさんが見よう見まねで作ってくれた、心づくしの肉じゃがの様な味わいでした。
      ーん、似てない事もないけど微妙に違う・・・
。とは言え、そのじんわりと染みる様な心づかいがとても嬉し
      い昼食でありました。




       さて夕食の前に、おやつを頂きましょう。Patronerと書かれた小袋に入っているこれは、キャンデ
      ィー
かな?薄緑の2種類がありますが、まずは黒い方から頂きます。
       ううっ、な、なんじゃこりゃ・・・。てっきりコーヒー味かと思いきや、口の中いっぱいにおばあちゃんの
      化粧品みたいなニオイ
が広がります。甘さもかなり強烈で、タイガーバームに砂糖を混ぜたらこんな感じかも。
      なんとも得体の知れない味わいです。
       とは言え、もしかしたら慣れるとヤミツキになる味なのかも・・・と期待しつつ必死に味わい続けますが、
      2分を過ぎたところでギブアップ。ダメだこりゃ。静かにゴミ箱に吐き出しました。
       こっちもアテになりそうにないなあ・・・と訝しがりつつ、今度は薄緑の方を口に入れてみます。うん?
      ロン味のかき氷に練乳をかけた様な、滑らかでクリーミーな味わい
ですよ。甘さそのものはかなりキツイです
      が、先程の黒いのがあまりに酷い味だったので、驚くような美味に感じます。クタクタに疲れ切った時なんか
      は普通に美味しく頂けるんじゃないでしょうか。


       それにしても、このキャンディー5つで390kcalもあるのか・・・そりゃ甘い筈です。そう言えばロ
      シア軍戦闘糧食に入っていた甘味も狂気の味でしたし、やっぱり寒い国の甘味は気合い入ってるなあ・・・と、
      妙に納得してしまいました。




       さて、最後はMiddag(夕食)です。まずはメインのKrämig pasta med kyckling(鶏肉とクリー
      ミーパスタ)を開封。400mlの熱湯を注いで、底からしっかりとかき混ぜておきます。


       続いてはSqueese Peanut Butter。あ、これって、以前試食したデンマーク軍戦闘糧
      食に入っていたピーナッツバターと全く同じ
ですね。米軍MREのものよりも口当たりが滑らかで、こちらの
      方が食べやすいなあ。
       口の中でべたつく食感は同じですが、意外と効いている塩味が唾液の分泌を促してくれるので、それほど気
      にはなりません。


       粉末飲料コーヒー、ビスケットは、昼に食べたのと同じです。天然素材そのもののビスケットと人工の極
      致
の様な粉末スポーツドリンクが、まるでお互いに寄り添うように調和しているのが興味深い。
       さて、メインのKrämig pasta med kyckling(鶏肉とクリーミーパスタ)が出来上がった模様です。メ
      ストレーにあけてみると、細切れになった大量の平打ちパスタがどばどばと出てきました。念を入れて途中で
      もう一度かき混ぜたのですが、それでも所々にダマが残ってるなあ。山盛りのボリュームに圧倒されながら、
      まずは一口。
       ほほう、濃厚でどっしりしたクリームソースながら、はっきりした塩味が全体の輪郭を引き締めています。
      チキンの風味も全体に奥行きを与えていて、濃厚なのにさっぱりしているというか、頭の中に完璧な立方体が
      浮かんでいる様な、実に調和のとれた味わい
。フリーズドライのパスタは他国の戦闘糧食でもしばしば採用さ
      れていますが、その中でもこれはかなりレベルが高い一品です。


       鶏肉は6~7mm角のものが沢山入っていますが、どれも鶏肉らしい食感と風味を残していて、改めてフリ
      ーズドライ食品の凄さを思い知らされます。
       どっしりしているのにほんわりと優しいこの味わい・・・なるほど、これを夕食に指定しているのは納得で
      す。昼がこれだとテンションが下がるというか、眠たくなりそうですし。
       パスタに沢山纏わりついている緑色のものはパセリの様ですが、独特の清涼感は感じられず、むしろ青ノリ
      みたいな香り
があるのが実に不思議。期限切れの怪しい戦闘糧食の食べ過ぎで、私の舌がどうにかなってしま
      ったのか?とは言え、クリームソースのパスタに青ノリって、意外と合うかも。今度試してみるか・・・。
       具は鶏肉だけというシンプルさですが、ダマの中に含まれている戻り切っていないパスタがパリパリした食
      感を残していて、もう一つ別の具みたいな存在感を発揮しています。


       途中で味に変化をつける調味料類もないので、これだけの量を食べるのはちと辛い様な・・・と思いました
      が、その溶け残りのダマが時折スプーンの中に混じった時に、同じ味なのに一口ごとの濃淡が味わえるという
      怪我の功名的なオマケがあります。もしかしたら、完璧にかき混ぜない方が美味しいのかもしれませんね。う
      ーん、フリーズドライ食品って面白いです。
       平打ちパスタですが、戻した状態で幅は約5mm程。縮れた部分はソースとの絡みもよろしく、ピロピロし
      た口当たり
がパスタというよりもきしめんみたい。短くカットされているのでクスクスを食べているみたいな
      感じですが、これはフリーズドライで小型軽量化を図っている都合上、致し方ないでしょう。


       いやあ、実に美味かった!全体的な品目数が少なさが最初は少し心配ではありましたが、3食それぞれでメ
      インを張ったフリーズドライ食品が素晴らしく、全体的な満足度はかなり高かったと言えますね。
       その一方で、カラフルな民生品を多用している所為か、兵隊さんのマッチョなイメージというかミリタリー
      っぽさが殆ど無かった
点が、不満と言えば不満でしょうか。本質的には同じようなものですが、スウェーデン
      軍戦闘糧食というよりも、よく出来た非常食詰め合わせセットみたいだったんですよね。
       ただこれは、あくまでも趣味で食べている私の様な道楽者の偏った視点からの印象であり、現場の兵隊さん
      達にとっては、軽量で簡単で栄養価があって美味しければ何でもいいんですよね。陸上自衛隊でも、正規の戦
      闘糧食が不足した際に配られる民生品の方が、隊員さんからは評判がいいらしいですし。
       そういう意味では、遊びで食べている私の試食レポートと、現場の隊員さんの食後の感想とのギャップみた
      いなものにも興味が湧いてきました。もしこのHPをご覧になっている方の中に隊員さんがいらっしゃったら、
      現場で喫食する戦闘糧食の印象について、お手すきの時にでもトップページのメールボックスからお聞かせ頂
      ければ幸いです(笑)。
       最後はいささか脱線気味(いつもの事だろ)となりましたが、その実力、味については太鼓判を押せるスウ
      ェーデン軍戦闘糧食
でありました。




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