スペイン軍戦闘糧食
FUERZAS ARMADAS RACION
INDIVIDUAL DE COMBATE LD A−4



       さて今回はスペイン軍戦闘糧食『FUERZAS ARMADAS RACION INDIVIDUAL 
      DE COMBATE LD A−4』
です。スペインはEU南西部のイベリア半島に位置し、サッカーやモ
      ータースポーツ、ロードレース等で日本でもよく名前を知られている国ですね。16世紀半ばに日本にキリ
      スト教を持ち込んだフランシスコ・ザビエルがスペイン人ですし、南蛮文化等で中世期の日本に大きな影響を
      及ぼした国
でもあります。
       国民の圧倒的多数をラテン系が占めていますが、少数民族やイスラム文化の影響もあり、各地方ごとの文化
      や習慣の違いは様々。一般的なスペイン人像から連想される明るく情熱的でノリがよく、芸術とお祭りが好き
      
というイメージは地中海に面した南部の雰囲気が反映されている様で、山間部や大西洋側はもっと落ち着いた
      雰囲気だとか。そのあたりは、同じ半島国家であるイタリアと似ていますね。
       食文化に関しては、イベリア半島の山の幸、地中海と大西洋からの海の幸等、温暖な気候ならではの新鮮で
      質の高い食材
が揃う事が特徴です。贅を尽くした御馳走よりも地方色豊かな庶民の料理、民衆の料理が発達し、
      刺激物や香辛料の少ない素材重視の味付けは、日本人旅行者にも馴染みやすいとか。
       ちなみにスペイン人は一日に5回食事をとると言われていて、朝昼夕の合間に様々な軽食を挟むそうです。
      また上質なオリーブ油を生産している事でも有名で、スペインの流通網はオリーブ油によって築かれた・・・
      
といっても過言ではないとか。
       スペイン軍については、陸海空と治安警察の4軍で総勢15万人。つい10年前まで徴兵制を敷いていたの
      で32万人もの予備役を抱えており、厳しい予算ながらもイージス艦空母まで保有しているあたりは、さす
      が無敵艦隊の末裔
と言えますね。


       さて、肝心の戦闘糧食です。18×11×7pとコンパクトサイズながらも、OD色のパッケージスペイ
      ン王家の紋章
ロイヤルかつマッチョかつスパルタンで、実に頼もしくカッコイイなあ。ずっしりとした重量
      感もそうですが、食べているだけでその兵隊さんが強く見えそう。赤と黄色のスパニッシュカラーもさりげな
      くあしらわれ、見た目のカッコよさは台湾軍戦闘糧食に匹敵します。
       ちなみにこのスペイン軍戦闘糧食ですが、朝食用昼食用A・Bに分かれており、それぞれ5種類のメニュ
      ーがあるので全部で15種類。昼食用はAが軽めで、Bがややヘビーな内容になっています。スペイン人は昼
      食を一日のメインにしているので、ボリュームのあるBパックを昼食用軽めのAパックは夕食用として何回
      かに分けて食べる模様です。
       ちなみにこの糧食には主食は含まれておらず、別に小さなブレッドパックが一日3パック支給ますが、この
      ブレッドパックが滅多に出回らず、先に入手した副食パックはずいぶんと塩漬け状態にしてしまいました。今
      回はさる方のご厚意により希少なブレッドパックを入手する事が出来たので、ようやく試食の運びと相成った
      訳です。


       OD色のパッケージを開封すると、茶色い段ボール箱が出てきました。2つの缶詰を中心に様々な食品が詰
      め込まれていますが・・・あれ?箱の内部にシミがあり、缶詰がぬるんぬるんに濡れています。うああ、久し
      ぶりに事故モノを引いてしまったか?


       恐る恐る匂いを嗅いでみますが、これといった異臭はなし。相当大きな衝撃に見舞われたのか、丈夫な缶詰
      が大きく凹んでいますが、缶そのものに異常は無さそうですね。慎重に食品類の検品を行いますが、あれ?
      の食品も無事
なんですが・・・。
       あっ、これだ!恐らくジャムの類でしょうか、生産過程でパッケージの縁の部分にジャムが混入していて、
      機械で裁断されたところから染みだしています。造りの粗さには閉口しますが、肝心の中身は無事の様でホッ
      としました。


       余分なジャムでべたべたになった食品を拭きながら、一つ一つをチェック。折り畳みストーブまで封入され
      ていて、豊富なタブレット類のどれかが固形燃料の模様ですが、なんというか中身まで凄く強そう
      鮮やかな色合いの市販品は一つも無く、この武骨極まる雰囲気はカラフルだったスウェーデン軍の戦闘糧食と
      は正反対。
       ただ、平べったいタブレット類がやけに多く、見た目がなんだかアレっぽくてちょっとエッチな雰囲気を醸
      し出しているのがなんともはや(笑)。エロい糧食って初めて見たかも・・・。まあこれはこれで、享楽的で
      官能的なスペインのイメージ
にぴったりかもしれません。



 




【内容】
1:JUDIAS CON CHORIZO(ソーセージと豆)
2:SARDINAS EN ACEITE VEGETAL
(オイルサーディン)  3:SOPA DE POLLO CON 
PASTA
(パスタとチキンのスープ)  4:アプリコットジャム
5:エネルギータブレット×2  6:ビタミンCタブレット
7:固形燃料×3  8:マッチ  9:消毒剤
10:塩分タブレット×2  11:ガム  12:浄水剤×2
13:紙ナプキン  14:折り畳みストーブ







       それでは試食に移ります。通常、戦闘糧食の野外試食は晴れた日を選ぶのですが、よく考えたら今まで雨の
      日に試食した事って一度もなかった
なあ・・・。と言う訳で、今回はわざわざ雨の日を選んで試食してみまし
      た!晴
れた日では気付かなかった、新たな発見があるかもしれません。


       場所はいつもの大和川中流の岩場。雨そのものはぱらぱらと降っている程度ですが、山肌にまとわりついて
      いるガスがいい雰囲気。ロープ伝いに竹藪の中を降りて行き、岩場に落ち着きます。頭上の橋桁が雨よけにな
      るかと思いきや、けっこう横風があるので雨は避けられません。缶詰類は少々濡れても問題ないですが、火種
      になるマッチは濡らさない様にしないと


       まずは火を熾すところから。封入された金属板を切り欠きに沿って交互に折り曲げると、見た目は単純なが
      らも意外としっかりしたストーブが完成です。さっそく固形燃料にマッチで点火しますが、このマッチが実に
      使いづらく、先端部に火がついても軸に燃え移る前にあっという間に消えてしまいます。なんだこりゃ。頭の
      リンの部分しか燃えない作りになっているんでしょうか?
       仕方ないので、別に持参した木軸のマッチで点火。シエラカップに入れたスープ用の水を温めますが、こう
      いった岩場で水平を取るのは結構難しいなあ。曇り空の上に、岩の表面が黒く濡れて細かい凹凸が分かりにく
      い
のも原因の一つですが、なるほどこれも雨の日の試食ならでは。ちなみにお湯の量は20cl(センチリッ
      トル)、200mlと指定されていました。


       それにしても、火種のマッチを封入した戦闘糧食は多いですが、肝心な時に役に立たない場合もあるんだな
      あ。現場の兵隊さんは、予備のマッチやライターを個人携帯するのが普通なのかもしれません。
       ちなみに同封の説明書には、固形燃料ひとつで250mlの水を70℃まで温める事が出来ると書いてあり
      ました。固形燃料は3つしかなく、でかい缶詰を温めるのに2つは使いそうなので、スープ用のお湯を作るた
      めに使えるのは1つだけ
。効率よく燃焼させたいところです。


       あれ?いつの間にかが消えていますよ。固形燃料は半分以上残っているので酸素不足かな?折り畳みスト
      ーブは説明書通りにきっちり作らず、空気が通る様に適度に隙間をあけて組み立てる方がいいみたいですね。
       再着火の後は、様子を見守りながら時折フーフーして酸素を送り込みます。面倒と言えば面倒ですが、野外
      で火を使って食事の用意をしている雰囲気が、これはこれで悪くないなあ。
       一つ目の固形燃料が燃焼終了。スープにするにはちょっとヌルイかな?という温度ですが、続いて開封した
      メインの缶詰を温めにかかります。


       そしてお湯が冷めないうちにSOPA DE POLLO CON PASTA(パスタとチキンのスープ)
      のパッケージを開封し、中の粉末をお湯の中に溶かします。素早くかき混ぜると、薄茶色に濁ったスープの出
      来上がり。ドライパセリ等の浮き実もなく、しばらく置いていると濁りの部分が沈殿してしまうので、なんだ
      か具のない味噌汁みたいな実に殺風景なスープだなあ。
       一口飲むと確かにチキンベースの風味を感じますが、これってやっぱり味噌汁じゃないの?インスタントの
      味噌汁を薄いチキンガラスープで作った様な、実に珍妙な味わい
。味的には正直ちょっと微妙ですが(笑)、
      不思議な懐かしさがあってこれはこれで面白いかも。


       入っているパスタは、6mmBB弾を割った様なごく小さなコンキリエ(貝殻型のパスタ)。ぬるいお湯につ
      けただけなので、随分硬い口当たりだなあ。これは煮込んで柔らかくしないとダメなんじゃ・・・。でも、パ
      ッケージには『沸かしたお湯に入れてかき混ぜろ』としか書いてないし。
       とは言えコンキリエ自体は薄くて小さいので、普通にこのまま食べる事が出来ます。むしろこのパキパキ割
      れる食感
が面白く、凹んだ部分に溜まっていた溶け残りの粉末スープが一口ごとの味の濃淡が演出し、これは
      これで悪くありません。


       続いてはPAN GALLETA(ビスケットパン)と書かれたブレッドパックを開封。中からは紙に包ま
      れた大ぶりなビスケットが8枚
出てきました。こちらはパッケージが薄い上に賞味期限を4年過ぎていたので
      少し心配でしたが、中のビスケットがちょっと割れている程度で、異臭も変質も全く無くホッとしました。
       ほほう、穀物の素朴な風味を生かしたほの甘いビスケットで、なかなかイケますよ。マリービスケットとソ
      バボウロを足して甘味を抜いた感じ
で、どんな料理にも合いそう。歯応えはサクサクとカリカリの真ん中あた
      りで、飽きの来なさそうな味わいがいいなあ。
       もう一つの缶詰、SARDINAS EN ACEITE VEGETAL(オイルサーディン)を開封し
      ます。丸々と太ったイワシが4匹、黄金色の植物油にまみれて堂々たるボリューム。一口齧ると、青魚の旨味
      がそのまま生きた実に美味しいオイルサーディンでした。

       普通のオイルサーディンはもう少しスマートですが、このイワシは地中海の豊富なプランクトンを食べてす
      くすく育ったのか、まるでマグロの如き堂々たる体型。うーん、個人的に親しみを感じるなあ(笑)。地中海
      に沿った石畳の道路脇で洗濯物を干しているスパニッシュマダムを連想させる豊満っぷりです。


       二匹目はビスケットに乗せて食べてみましょう。ほほう、穏やかで大人しい味わいのビスケットが意外な程
      の母性を発揮
して、オイルサーディンのストレートで野太い旨味をしっかりと受け止めている感じ。これは白
      ワインが欲しくなるなあ。
       この頃には2つ目の固形燃料が燃焼終了。最後の3つ目に点火します。薄ピンク色のインゲン豆白い脂肪
      
が柔らかく蕩け始め、缶の底からは真っ赤なスープがポコポコと噴き出しています。缶をひっくり返さない様
      に慎重にかき混ぜ、さらに加熱を続けます。


       CREMA DE ALBARICOQUE(アプリコットクリーム)を開封。クリームと言うか、いわゆ
      るジャムですね。こいつの所為で他の食品類がヌルヌルのべたべたになってしまったのですが、本人はいたっ
      て涼しい顔をしている
のがふてぶてしいなあ。
       一口食べてみると、アプリコットの甘酸っぱい香りが豊かで甘さも程々。水分が少なくゼリーっぽい固さな
      ので食べやすく、ビスケットとの相性もなかなか。その素行には若干問題があるものの、手堅く主食らしいい
      い仕事
をしてくれました。


       あとはメイン缶が温まるのを待つだけ。それにしても、こうしてそぼ降る雨を避けながら人気のない岩場で
      食事が出来るのを待っていると、なんだか放浪中のスナフキンにでもなった気分です。あー、小さい頃はスナ
      フキンみたいになりたい
って、憧れてたんだっけなあ・・・。
       結局理想とは随分かけ離れたおっさんになってしまいましたが(泣)、こうして河原で趣味の戦闘糧食の試
      食
を楽しんだり、あちこちの自衛隊イベントに出歩いたり、ひねもすいやらしい事を考えてはニヤニヤしたり
      ・・・。これはこれで、そう悪くもないか。
       っていうか、スナフキンってエロい事は全然言わないよなあ。どこで私はスナフキンになり損ねたのか。そ
      れを考えると小学生位までさかのぼる必要がありそうなので、思考を中断します。


       そんな事をぼんやりと考えていたら、いつの間にか最後の固形燃料が燃焼終了。ぐつぐつと全体が煮え滾る
      まではいきませんでしたが、さて、さっそくメインのJUDIAS CON CHORIZO(ソーセージと
      豆)を頂きましょう!


       うーん、なんというか・・・豆、だなあ。真っ赤な脂肪がたっぷりと浮いている割には意外と味は大人しく、
      よく言えばまろやかな脂肪の味わい、悪く言えば脂くさくはっきりしない味です。柔らかく煮込まれた白いん
      げん豆がたっぷりで、豆料理好きな私はとても嬉しいのですが、なんかこう、ダシは効いているのに味つけが
      足りない
というか。味付けを忘れて食卓に出してしまったわオホホホホホホという、スパニッシュうっかり母
      さんの朗らかな笑い声
が聞こえてきそうな一品です。
       ソーセージは直径20mm、長さ30mm程のものが一切れだけ。辛味の効いた本格チョリソを期待してい
      たのですが、旨味も辛味も全て脂肪分に吸い取られて分解されたみたいで、ただの出汁ガラになってしまって
      います。あとこの、四角いこれはベーコンかな?とは言え赤身部分は殆ど無く、真っ白い脂肪の塊でしかあり
      ません。


       真っ赤な脂肪分はチョリソのエキスかと思いましたが、辛味らしい辛味は殆ど感じられず。かといってトマ
      トっぽい風味
もないよなあ。なんというか、もう一味が全然足りないこの感じ・・・あれです、イギリス軍戦
      闘糧食のメインミールにそっくり
。塩胡椒やレッドペッパーの小袋でもあれば、缶の中にぱっと花が咲いた様
      なメリハリの効いた味になると思うのですが・・・。決して不味くは無いものの、捉えどころのない非常に地
      味な味
なんですよねえ。
       とは言え脂肪分も白いんげん豆もたっぷりですし、何とも太ましいオイルサーディンとビスケットもあり、
      食べごたえは十分すぎるくらい。確かに肉的な満足度には欠けますが、体を動かす為の燃料としてはかなり上
      質な食品揃い
でした。


       この後は、豊富なタブレット類を試食してみます。まずは食後に相応しいCHICLE HIGIENE 
      DENTAL
(歯科衛生ガム)から。ボタン電池を重ねた様な青白いタブレットからは、磨き粉そのものの
      匂い
が漂っています。噛んでみるとこれがかなり甘く、歯磨き粉と砂糖を同量混ぜ合わせたらこんな感じにな
      りそう。むしろすごく歯に悪そうな味わいです。


       続いてはVITAMINA“C”CAMU−CRACK(ビタミンCタブレット)。開封した途端に藁みたい
      な匂い
がして面食らいますが、口の中に放り込むと強烈な酸っぱさが舌に襲い掛かります。柑橘系の酸味なの
      で嫌味はないものの、これはむしろ粉末ドリンクにしてほしかった様な・・・。他の食品類がぼんやりとした
      凹凸の少ない味だったので、折角のはっきりした酸味を勿体ない使い方で終わらせてしまった気がするなあ。
       とは言えお味の方はなかなかで、脂肪分でぬるんぬるんになった口の中をすっきり洗い流してくれる感じで
      す。口の中で徐々に小さくなっていく溶け残りが、なんとも惜しい気分でした。


       もう一つのタブレットはSPORT−CRACK。パッケージに印刷されたcomplejo salin
      o hidratante
(保湿塩複合体)とやらがピンときませんが、紙の説明書きには非常に疲れた時や
      暑い時、湿度の高い時に十分な水で飲む事
、と書いてあるので、塩分補給タブレットでしょうか。
       開封して恐る恐るなめてみると、思った通り塩の塊みたいなタブレットでした。かなりキツイ塩味です。と
      いうか、そもそもこれは味わって舐めるものではなく、水と一緒にそのまま飲み込むものなんでしょうね。
       しかし単純な塩味だけではない荒塩の様な複雑で厚みのある旨味があり、むしろ粉々に砕いて豆缶に振りか
      けて食べたかった
かも。


       とは言え今日は大して汗もかいていませんし、私も血圧や塩分を気にせざるを得ないお年頃になってしまっ
      たので、味だけを確認してすぐにペッしてしまいました。
       ちなみにこの塩分タブレット、見た目がDEPURADOR DE AGUA CRACK(浄水剤)にそ
      っくり
なので、服用する際はくれぐれも間違わない様に気をつける必要があります。誤飲したら大変な事にな
      りそうですし。
       あ、しまった!最初にDesinfectante instantaneo para manos(簡
      易手消毒剤)で手を消毒するのを忘れていました。小さなパッケージを開封すると、中からはローション状の
      消毒液
が出てきました。普通はウェットティッシュが多いのに、これは珍しいなあ。思わず
       「俺・・・最低だ・・・」
       と呟いてしまい、ちょっと微妙な気分です(笑)。


       まあそんな事はいいとして、台所用洗剤の香りがする消毒液を両手に伸ばす様にすり込むと、あっという間
      に揮発して手のひらはサラサラになりました。液状なら深い傷口の消毒にも便利そうですし、ウェットティッ
      シュよりも使いやすいのかな。
       あと自宅に帰ってから気がついたのですが、DESFATIGANTES GLUCOENERGIC(エ
      ネルギータブレット)を試食するのを忘れていました。ぶ厚い500円玉大のでかいタブレットで、説明書に
      は説明書に『糖分多し、糖尿病の場合は服用を推奨しない』とありました。どれぐらい甘いんだろう・・・と
      身構えながら口に入れますが、粒ラムネ風味というか塩分を抜いたスポーツドリンク風味で、予想外にさっぱ
      りと美味しい爽やかタブレット
でありました。


       しかし食感はかなり悪く、すぐに崩れてザリザリになり、口の中が砂だらけになった様なストレスに苛まれ
      ます。味はともかく、この不愉快な食感を何とかしてもらいたいなあ。
       以上でスペイン軍戦闘糧食FUERZAS ARMADAS RACION INDIVIDUAL DE 
      COMBATE LDA−4
の試食を終わります。全15種類あるメニューの中で、とりあえずこのA−4だ
      けを食べた感想ではありますが、決して不味くはないが驚くほど美味でもないというか、盛り上がりや凹凸に
      欠ける平坦な印象
のメニューでした。
       食べやすいと言えば食べやすいですが、カナダ軍とイギリス軍の戦闘糧食を足して2で割った様な、味的に
      少し物足りない印象
が残りました。


       とは言え、庶民が日常的に食べている食事って、どの国もだいたいこんなもんですよねえ。日本人だって毎
      日スシやテンプラ、スキヤキを食べている訳ではありませんし。そう考えると、今回試食した豆とソーセージ
      は五目豆、オイルサーディンはさば水煮缶みたいなもので、その国の人の体と健康、嗜好にぴったりとマッチ
      した内容だった
のではないでしょうか。
       自衛隊非常用糧食の『鶏肉と大豆煮』は実にホッとする優しい味わいですが、海外の糧食マニアがあれを食
      べて、
       「ナンデスカコレハー!スキヤキデモテンプラデモスシデモアリマセーン!」
       と怒りだしても、こちらとしては困り笑いをするしかありませんからね。
       ちなみにブレッドパックはもう一つあるので、また次に別のメニューを入手する機会を待とうと思います。


       試食を終える頃には、雨はすっかり上がってしまいました。明るさを取り戻した空の下、スナフキンになり
      損ねた私
はそんな事を考えつつ、駅に向かって歩いて帰りました。




トップページに戻る
戦闘糧食試食レポート目次に戻る