さて、まずは昼食から。GREEN BEAN DESSERTとCOMPRESSED BISCUIT
を選びます。随分と物足りなさそうなボリュームですが、この組み合わせしか思いつかないんですよねえ。デ
ザートとシチューにすると、夕食はご飯&大量のビスケットという悲惨な組み合わせになりますし、デザート
&ご飯という組み合わせもちょっと勘弁ですし・・・。
先ずはGREEN BEAN DESSERTのレトルトを開封。中からは粒あんを水煮にした様なものが、
どばっと出てきました。あれ?グリーンビーンズって言うから、てっきりえんどう豆みたいなのを予想してい
たのですが。
私は甘味が苦手なタチで、中でもアンコは特にイヤーンな部類。食べた後に胸やけするんですよねえ・・・
豆料理は大好きなんですけど。これはいきなり気の重い食事になってしまいました。
豆はアズキっぽいですがかなり小粒で、大きめのもやしの頭みたいです。ため息をついて、勇気を出して一
口。あれ?思ったよりもさっぱりしてますね。もっとドロドロザラザラの口当たりかと思いましたが、甘めの
スポーツドリンクみたいなさっぱりした風味です。これ、冷蔵庫できりっと冷やせばもっと美味しくなりそう
ですよ。覚悟完了していただけに、余計に美味しく感じます。
続いてCOMPRESSED BISCUIT。いわゆる圧縮ビスケットです。固いレトルトを開封すると、
薄いビニールに包まれた80×40×15mmサイズの四角いビスケットが2枚出て来ました。それにしても
これ、サイズは小さいのにけっこうな重さがあります。さすが圧縮ビスケット。
妙な臭いが気になりますが、まずは一口。まるでプラスチックの塊の様な手触りとは裏腹に、意外にも口の
中でポロポロとほどけて行きます。うん、味もそれほど悪くありません。穀物の素朴な風味があって、余計な
味付けをしていないのがいい感じ。飽きのこなさそうな味ですね。意外と塩味が効いているのも、食べ易さの
一因かもしれません。
しかしこのビスケット、一口食べるたびに口の中の水分を根こそぎ持って行かれるのがちょっと辛いかも。
十分な量の水がないと、これを2つ平らげるのはかなり難しそう。味そのものは冷たい緑茶とよく合う気がし
ます。
デザートとビスケットだけという一見して頼りなげな昼食でしたが、これ2つでかなりの満腹感がありまし
た。腹もちはあまり期待できそうにないですが、消化吸収とエネルギー効率の良さという意味では、なかなか
優秀な戦闘糧食だと思いました。
海外の戦闘糧食に入っているビスケットはどれも美味しいものが多いのですが(特にイギリス軍とイタリア
軍)、市販品っぽいので戦闘糧食としてはやや興ざめでもあるんですよね。その点、このシンガポール軍戦闘
糧食のビスケットは素朴極まりないのに美味しいところが実に戦闘糧食らしいなあ。おしゃれな輸入食材店の
お菓子コーナーでは決して味わえない、“軍隊の香り”がプンプンしているのが面白いと思いました。
夕食メニューは3品、MUTTON STEWとJAPANESE RICE、あとBISCUITです。
まずは湯煎でしっかり温めたMUTTON STEWからいってみましょう。
皿にあけると、あれ?随分色の薄いシチューです。もっとビーフシチューっぽいものを想像していたのです
が、味の薄そうな見た目が離乳食を彷彿とさせます。たっぷりのスープの表面には羊の脂肪らしき白いモロモ
ロしたものが浮いていて、今ひとつ美味しそうに見えないところは米軍のMREそっくりだなあ。
ちょっと警戒しつつニオイを嗅いでみると、なるほど羊肉特有の乳くさいケモノ臭の様なものが感じられま
す。とりあえず一口食べてみますが・・・あれ?これ、けっこう美味しいですよ?
見た目は薄ぼんやりな感じですが、はっきりした塩味に羊肉とジャガイモ、ニンジンの旨みが溶け込んで、
まるで薄口しょうゆの様な旨味を感じます。シンプルな中にも奥行きを感じさせるこの風味・・・いつかどこ
かで食べた気がするなあと思ったら、サッポロ一番塩ラーメンに似ていました。
レトルト臭がちょっと気になり、羊肉独特のケモノっぽい味も賛否が分かれそうですが、私は結構好きです
ね。スープの分量がかなりあるので具は隠れがちですが、フレーク状になった羊肉はけっこう沢山入っていて、
食べ応えもなかなか。
もう一つのレトルトであるJAPANESE RICEを開封すると、やや黄色っぽくなった白米がどさっ
と出て来ました。見たところ1合強はありそうですね。SP1に封入されていたPLAIN RICEとどう
違うのか気になっていましたが、味も見た目も殆ど同じ。ふやけているのかパサついているのかビミョーなご
飯ですが、ビニール臭が無い分だけ自衛隊の戦闘糧食U型(旧タイプ)よりも食べ易いかも。
そしてこのご飯が、メインの羊肉のシチューによく合っています。思い切ってご飯にどばっとかけても結構
いけそうですね。シチュー自体はトロミの無いしゃばしゃばしたスープですが、暑い国だとサラサラしている
方が食べ易そう。
BISCUITは、SP1に入っていたものと全く同じビスケット。ミルクっぽい甘味を効かせたマリービ
スケット風のテイストで、僅かに乳酸菌飲料っぽい風味もあってなかなか美味しいです。メインである羊肉の
シチューとの相性はあまりよくないですが、食後のおやつ的な位置づけでボリボリ齧るには丁度いい味でした。
ちなにみこのパックには塩と胡椒の小袋がついていましたが、シチュー自体の味はこれで完成だと思うので、
今回は使用せず。まあこのあたりは、気温と発汗状態にあわせて使えばいいでしょう。
以上、シンガポール軍戦闘糧食SP2の試食を終わります。SP1同様に、日本人にも非常に馴染みやすい
味だったのが印象的でした。白米レトルトのお陰で自衛隊戦闘糧食に近い感覚で食べる事が出来ましたし、素
材や調理法、味付けも特に奇抜なものでなく、どこかホッとさせる懐かしさを感じました。
あえてケチを付けるなら、そのあたりにやや物足りなさと言うかネタ的な個性、面白味の弱さを感じました
が、ある意味それは『食べやすい』という長所と表裏一体ですね。機会があれば、是非他のメニューも試して
みたいと思いました。
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