まずは2つあるレトルトパックを湯煎で温めますが、PLAIN RICEのレトルトの中に空気が入って
います。普通レトルトパックって中に空気は入ってないものですが、大丈夫なのかな?この糧食には賞味期限
や製造年月日の表示が全くないので、ちょっと不安。
その間に粉末ドリンクから。開封すると、MREの粉末オレンジビバレッジそのもののニオイがします。し
かしこれ、溶かす水の量とか全然書いてないなあ。とりあえずあてずっぽうで250ml位の冷水で溶かして
みると、おお、結構イケますよ。ちょっとわざとらしいオレンジ風味が鼻につきますが、戦闘糧食の粉末ドリ
ンクにしては美味しい部類に入りますね。しかしこれ、随分昔に飲んだ事がある様な味だなあ・・・と思った
ら、米屋で売っていたプラッシーにそっくりでした。
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紅茶の小袋を開けると、中からはリプトンのティーパックがぽとりと出て来ました。今日は暑いので、冷水
で水出しします。
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CHOCOLATE BISCUITも硬いレトルトパックに封入されていて、こちらは完全に空気を抜い
て密封されています。開封すると甘いバターの香りがぷんと漂ってきて、なかなか美味しそう。中からはカー
ドを一回り大きくしたサイズのビスケットが4枚、一片も欠けずに出て来ました。
一口齧ってみると、うん、美味しいビスケットですね。チョコレートの風味は薄いものの口当たりはさっく
りと軽く、その後にじわっとした上品な甘さが舌の上に広がります。それにしても、これも以前どこかで食べ
た味だなあ。ビスコのクッキーの部分・・・?いや、これは・・・あ、あれです!森永のマリービスケット!
あれにそっくりの味ですね。
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さて、そろそろレトルトのBAKED BEANS WITH BEEFが温まって来ました。開封して皿
にあけると、白いんげん豆と牛肉の角切りが粘度の高いソースにまみれて出て来ました。うーん、何だか見た
目がMREっぽいなあ。いや、この白いんげん豆は、むしろイギリス軍戦闘糧食っぽくもあります。という事
は味に期待してはいけないんでしょうか?ちょっと怯みつつ、スプーンを突っ込んで一口。
ん?結構美味しいですよ。中華スープをベースに醤油と砂糖で味付けしたような風味で、見た目よりもずっ
と食べ易い味になっています。白いんげん豆は十分に柔らかく、牛肉は脂肪感が無くパサついていますが、ス
ープにしっかりとしたとろみがついているので食べにくさはありません。
そのとろみも片栗粉でつけたっぽいとろみなので日本人が普段から食べ慣れている食感に近く、全然違和感
がありません。日本以外の甘辛醤油系の糧食と言えば米軍MREのビーフテリヤキが思い浮かびますが、甘辛
のバランスの良さではこちらの方が断然美味しいなあ。
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もう一方のレトルトであるPLAIN RICEは、すっかり柔らかくなっています。恐る恐る開封すると、
おお、前の自衛隊戦闘糧食U型のパック白飯そっくりの香りが!白い紙皿にあけると微妙に黄色い白ご飯です
が、完全におかしくなっている訳ではなさそう。とりあえず一口食べてみましょう
うん、味も前のU型白飯に似てますね。若干のレトルト臭がありますが、前のU型白飯ほどベタついた感じ
がないのは、米の種類が違うせいかな?水分が多くふやけたような食感ですが、意外と違和感ないですね。は
っきり言って、前のU型白飯よりも美味しいかもしれません。あっちはモロにプラスチック臭というかビニー
ル臭がありましたし。
もっとも、現在のU型改良版からはサトウのごはん式のトレータイプになっているので、主食の質に関して
は自衛隊も一気に進化させたと言えますが。
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しかしこのご飯、副食のBAKED BEANS WITH BEEFととてもよく合いますね。やっぱり
米の飯には醤油味!という事でしょうか。どちらもすごく美味しい!という訳ではないですが、組合せに違和
感が無いので抵抗なくスルリと食べてしまう味です。
最後は水出しした紅茶で締めます。まあコスト最優先の当たり障りのないティーパックですが、全体的にき
つい味がなく、のんびりまったりとした味わいの最後にはちょうどいい感じでした。
![](sp18.jpg)
今回初めてとなるシンガポール軍戦闘糧食でしたが、異国の戦闘糧食とは思えないほど食べ易い味でした。
一応塩胡椒の小袋もついていましたが、この懐かしくも愛しい味を変えたくないという感じで、つい使いそび
れてしまいました。
とにかくどれもがホッとさせる味なので、食べているとどんどん心が優しくなりそうな、世界屈指の癒し系
の戦闘糧食と言えますね。しかしそれって、戦闘糧食としてはどうなんだろう・・・という疑問もありますが、
いいじゃないですか、こんな戦闘糧食が一つ位あっても!気分がささくれ立ったりくたびれたりしている時に
食べると、ちょっと元気が出る気がします。
戦闘糧食界の西岸良平と言っても過言ではない、ある意味非常に個性的な戦闘糧食でした。
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