関ヶ原鍾乳洞
2016.01.17
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岐阜県に所在する、関ヶ原鍾乳洞に行ってきました。この鍾乳洞の周囲には、大正時代に造られた陸軍関
ヶ原弾薬庫の遺構が数多く残っていて、今回はそれを目当てに岐阜県を訪れたのですが、残念な事に肝心
の弾薬庫内部は立ち入り禁止。せっかくここまで来たのに、幾つかの立哨台と弾薬庫の正面入口をぺろっと
見ただけという残念な内容となってしまいました。
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このまま帰るのもなあ・・・という訳で、すぐそばにある関ヶ原鍾乳洞に立ち寄ってみる事に。シーズンオフの
せいかガランと空いた駐車場に車を停め、0900の開洞を待って受付に向かいます。お土産屋と休憩処を兼
ねた建物はいい塩梅に古く、結構な味わいを醸し出しています。ここはあとから寄るとしましょう。
500円払って鍾乳洞へ向かいます。入口の脇には大きな洞内地図が掲示してあり、地下空間をぐるっと回
って518m、所要時間約20分のコースとの事。昨年見に行った山口県の秋芳洞に比べるとごく小規模です
が、面白いものがあるでしょうか。
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入口からしばらくは、周囲を四角四面なコンクリで固めた殺風景な通路が続きます。うーん、何だか地下シ
ェルターみたいで、鍾乳洞の雰囲気じゃないなあ。しかもこの入口通路、天井が異様に低くて圧迫感が凄い
です。背が高い人は腰を傷めそう。
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しばらく歩くと右手に小さな穴ぼこがあり、岩盤がむき出しになっていました。『伏竜水』と書かれた小さなプ
レートがありますが、んん~、なんじゃこれは。岩盤の隙間に湿った地面があるだけ。雨季はそれなりに地下
水が湧いているのかもしれませんが、これで伏竜水と名乗るのはちょっと図々しい気が(笑)。
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その後もコンクリ造りの天井の低い通路が続いた後、ふいに岩盤むき出しの地下空間に出ました。おお、
ようやくそれっぽくなって来ましたよ。
続いては『不老泉』。説明書きによると、
『年中枯れる事わなく(原文ママ)洞奥から湧き出る霊水といわれている』
らしく、先程の伏竜水とは違って確かにこんこんと水が湧き出しています。何を根拠に霊水と言ったのかは
ともかく、この不老泉の横にあるバルブ付きの配管はなんなんだろう・・・。
この赤いバルブを閉鎖すると、霊水の流れがピタッと止まったりしないだろうなあ。それはないと思いたいで
すが、ならこんなところに何故バルブが。これは突っ込まない方がよさそうだな・・・(笑)。
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その後はしばらく、何もない地下空間が続きます。昨年見に行った和歌山県の小原洞窟のぎらんぎらん具
合とは違い、蛍光灯だけの殺風景な照明設備が実にいい感じ。足元がコンクリでキレイに舗装されているの
はやや興冷めですが、ここ関ヶ原鍾乳洞は車椅子どころかベビーカーまで持ち込めるバリアフリーの行き届
行いた鍾乳洞なので、むしろ有難く思う人の方が多いでしょうね。しかしこんな所に小さな子供を連れて来た
ら、一発でトラウマになりそう・・・。
こういう狭くて暗い洞窟にいると、子供の頃によく見た夢を思い出します。真っ暗な狭い洞窟内にぬるい水
が満たされていて、その中をずーっと泳いでいく夢。何故か風邪をひいて寝込んだ時に限ってその夢を見た
のですが、夢の中では何とも思わなかったのに、目が覚めたあとはいつも凄い恐怖感に襲われたっけなあ。
もしかしてあれは、小さい頃に鍾乳洞かどこかに無理矢理連れて行かれた時のトラウマだったのかも。
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そう考えると、小さな子供をあまり変なところに連れて行くのは控えた方がいい気がしますね(笑)。どうせ子
供だから分からないだろうと思っても、シンプルな恐怖感は年齢に関わらず精神の奥底に深く刻み込まれる
ものなのかも。もっとも、そんな私が今や喜んで地底世界に浸っているのですから、トラウマもあまりアテには
なりません(笑)。
大雨や長雨の後は地下水が滝状に流れるという『玉垂れの滝』も、残念ながら今は枯れた状態で、ただの
壁でした。
と、ここでいきなり2匹のコウモリがばたばたと飛び出してきてびっくり。八つ墓村かここは(笑)。基本コウモ
リは人間を恐れて逃げて行くだけなので、それほど怖がる事もないのですが、流石に肝をつぶしました。
あれ?前方が明るくなってきたぞ・・・と思ったら、本洞窟を掘削中に発見されたウミユリの化石がライトアッ
プされていました。へー、こんなところが昔は海の底だったのか。それが地盤の隆起で山になり、さらに流れ
る地下水に浸食されて洞窟ができ、今こうして私の目の前にウミユリが姿を見せているのですから、大自然
のスケールの凄さが感じられます。
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ちなみにこのウミユリの化石、直接触れる事が出来ない様に大きなアクリル板で仕切られていますが、地
下水に含まれる石灰成分の影響なのか照明の熱の影響なのか、アクリル板が薄ぼんやりと濁っていて肝心
の化石がよく見えないのが残念。
微かにサンダルの蹴り跡のようなものが確認できましたが、もう少し見易ければよかったのになあ。もっと
も化石の保護を考えると、これも仕方ない事かも。またこの鍾乳洞内では、他に巻貝の化石なんかも発見さ
れているそうです。
それにしてもこの鍾乳洞、狭いだけに湿気が凄いですね。ちょっと油断するとカメラのレンズが曇ってしまう
ので、頻繁にハンカチでぬぐいながらの撮影になります。かといって気を効かせて換気設備を充実されても、
それはそれで違うんですよね(笑)。帰宅後はせいぜいカメラの手入れを念入りに行うとしましょう。
その後は岩盤むき出しエリアとコンクリ固めエリアが交互に続き、洞窟最奥部まで到達。ここから先は、い
よいよ鍾乳洞エリアです。
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なるほど、確かに洞内天井部にはいくつもの鍾乳石がありますが、手を伸ばせば簡単に届く高さなので、鍾
乳石保護の為に目の細かい緑色の金属ネットで覆われています。お陰で鍾乳石そのものが非常に見えづら
く、撮影も困難。うーん、手が届かない位天井が高ければ、何の邪魔もなく鍾乳石を見る事ができるのに。
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あとこの鍾乳洞、狭い所為で内部の反響が非常によく、
「鍾乳石って言うけど、これおっぱいっていうよりもどちらかと言うと○○○○の方が似てるよね。これを最初に
鍾乳石って名付けた人は、何を見てもおっぱいに見える奇病にかかっていたのかな?」
などという私の独り言が狭い洞内で伝声管の様に反響し、後方からやってくる人達に探知された揚句、
「前方にバカ発見。総員戦闘配置」
とか言われてしまいそう。ボイスレコーダーによる音声メモがやりづらくて仕方ありません。
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しばらく歩くと、『玉華殿』に差し掛かりました。全長2mにも及ぶ、洞内最大の鍾乳石がある場所です。何も
なかった場所から石灰質を多く含んだ水滴が垂れ、数万年かけてこれだけの鍾乳石になったのか・・・。この
僅か2mの鍾乳石ですら気の遠くなる様な話なんですから、山口県の秋芳洞や岩手県の龍泉洞のスケール
はとんでもないな・・・。
その向かい側には、上から垂れさがる鍾乳石と真下から延びた石筍が繋がって出来た『巨人の足』が。丸
く滑らかな曲線が、巨人の足というよりもフライドチキンを連想させ、見ているとお腹が減ってきます。
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そしてすぐ傍には、小さな鍾乳石が天井に密集して出来た『鬼子母の間』が。説明板には、
『鬼女が、お釈迦様の教をうけ改心、子供の守護神となった』
とありますが、この場所が鬼子母神とどう関係あるのか、さっぱり分かりません。
まあ洞内の名称なんて、これぐらい中2病テイストが入ってる方がしっくり来るんだろうなあ。『飲み過ぎのお
っさんの荒れた胃粘膜』の方がはるかに見た目に則している気がしますが、やっぱり鍾乳洞的には『鬼子母
の間』とか『龍の顎』の方が似合います。
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次に現れたのは『昇竜の間』。その名の通り縦方向に伸びた天井の高い空間で、高さは約10mとの事。こ
こまでずっと天井の低い区間が続いたので、なるほどその名に相応しい。この関ヶ原鍾乳洞で、唯一開放感
を覚える場所です。
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昇竜の間を過ぎると、通路の右手に川・・・というか水路が見えてきました。洞内から湧き出した水が流れて
いて、姿は見えませんがニジマスなんかも放流しているとか。うーん、本来鍾乳洞にいる生き物ではないので
こういうのは無い方がいい気がしますが、小さな子供は喜ぶかもしれませんね。
この関ヶ原鍾乳洞はベビーカーでも安全に入れる足場の良さが売りなのですから、例え不自然であっても
子供向けの演出としては十分アリでしょう。まずは安全で見学し易い関ヶ原鍾乳洞で洞窟探索の楽しさを知
ってもらい、その後は成長に合わせながら少しずつ本格的な鍾乳洞にステップアップすればいいのですから。
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続いては『霊亀の渕』。これまた中2病テイスト満点な名前です。説明書きには
『奥深い渕には太古の霊亀が住んでいる様に思わせる』
とありましたが、そんな気がするだけかよ(笑)!名付けた人のムリヤリなイマジネーションの豊かさには脱
帽です。それなら『三輪明宏の渕』でも『野々村竜太郎兵庫県議会議員の渕』でも何でもアリな気がしますが、
ののちゃんの渕はやかましそうだなあ・・・。
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あと、何故か水底に沢山の小銭が投げ込まれていますが、これも違和感ありますね。極論かもしれません
が、本来ここにある筈のないものを見学者が残して行くという事は、ゴミを投げ捨てているのと変わらない気
がします・・・。
まあ、足元をコンクリで固め照明設備がある時点で何をか況やという気もしますが、管理人のオジサンはこ
の小銭を全部拾い集めて、運営資金にでも当てて欲しいものです。
ちなみにこの『霊亀の渕』にはもう一つの説明書きがあり、
『出口より探検を進めていた時冷気を感じ右へ進めと知』
と書いてありました。地中深くへと向かった探査隊からの通信が突然途中で途絶した様な、何とも言えない
不安な気分にさせられますが、よく見ると『知』の字の下にごく小さく『る』と書いてありますね。ちゃんと文面と
フォントのサイズを考えて書けばいいのに・・・。あと、もしかしてこの『霊亀』は『冷気』にかけてあるんでしょう
か。
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また広い空間に出ました。ここは『昇天洞』というそうです。その先にあったのは『哄笑窟』。岩肌にぽっかり
空いた穴ぼこが、大きな口をあけて笑ってる風に見えるから・・・との事。これまた無理矢理くさい命名ですが、
この鍾乳洞を発見された人が出口方向から探索した際、この場所で最初の鍾乳石を見つけて思わず微笑ん
でしまった事も、その由来の一つだとか。
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そしてここでも最後の『む』が小さな手書き文字。テキストの字数もフォントのサイズも何も考えず、ぶっつけ
本番でこの説明書きを作った大ざっぱさが微笑ましいなあ。
さて、間もなく出口です。前方に真っ白い外の明かりが見えますが、ボコボコの洞窟内からのっぺりした四
角い出口通路に出る瞬間の、この変なコントラストが面白い。
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ちなみにこの出口、何故か足元の水平が微妙に傾いています。なんだか地底探索に酔った気分。遅い午
前の陽射しも目に痛い位で、洞内にいた小一時間あまりで一気に目が退化してしまった様。
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広大な駐車場には、私の車と管理人さんのものと思われる軽トラが2台だけ。いくらシーズンオフとは言え、
日曜日にこれは寂し過ぎるなあ。朝来て鍾乳洞を開けて周囲を掃除して、その後はひねもす人気のないこの
のお土産屋で店番をして時間を過ごし、夕方締めて帰る。うん、老後はこんな仕事も悪くないかも。
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だだっ広いお土産屋の半分近くは食堂スペースですが、もうずいぶん前から食堂は閉めてしまっている模
様。あー、ここで食べてみたかったなあ。
お土産売り場はいかにも鍾乳洞らしく天然鉱石の類が充実していて、八角形の蛍石や紫外線を浴びると光
る蛍光鉱石、その他様々な化石には自然科学好きとして心を惹かれましたが、残念ながら全て別の場所で
採掘されたもの。産地を偽らない誠実な姿勢には好感が持てました。
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最後は鮎の甘露煮をお土産に購入し、なかなか面白かった関ヶ原洞窟を後にしました。時刻は10時過ぎ。
関ヶ原弾薬庫跡が少々期待外れだったので、随分時間が余ったなあ。折角岐阜まで来たのにもう帰るのは
ちょっと勿体ないですし、何か他に見どころはないものか・・・とカーナビの地図を拡大してみると、すぐ近くに
『関ヶ原ウォーランド』なるテーマパークを発見。それにしてもウォーランドって・・・関ヶ原の合戦にちなんだ展
示内容なのかなあ。
私はあまり歴史の知識がなく、戦国時代とか武将とか何が何やらさっぱりですが、まあ何か面白いもので
もあればいいなあ・・・と、ごく軽い気持ちで立ち寄った『関ヶ原ウォーランド』。私の想像を絶する強烈な物件
でありました(笑)。ここについては、後日また詳細にレポートしたいと思います。
関ヶ原ウォーランドに続く
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