さんまピリ辛煮


       さて、今回は『さんまピリ辛煮』です。OD色のパッケージを開封すると、中からレトルトのメインとコー
      ンスープ、白飯が2つ出て来ました。それにしてもさんまピリ辛煮とコーンスープって・・・。一体どういう
      組み合わせなんでしょう。
どう考えても全く合わない気がするなあ。一抹どころではない不安が脳裏をよぎり
      ます。

       メインのレトルトにはさんまのイラストが描かれ、なんだか民生品みたい。コーンスープのレトルトは底部
      が立体的になっていて、開封してそのままテーブルに立てる事が出来ました。これはなかなかの親切設計です。

       とりあえず温めたレトルトと白飯パックを開封しますが、うわっ!しまった!レトルトを立て損なってコー
      ンスープを半分ぐらい溢してしまいました・・・orz。

       がっくりしつつさんまピリ辛煮を皿にあけます。ほほう、以前試食したさば味噌煮と同様、フレーク状なん
      ですね味噌煮の様な甘辛いいい香りが漂い、これは期待できそうですよ。まずは一口頂いてみます。
       おおっ!これは美味い!市販の缶詰のさんま味噌煮そっくりですが、唐辛子が効いていて缶詰臭やレトルト
      臭が無く、
白ご飯にはピッタリの味です。辛味は結構大胆な辛さで、食べていると額の生え際あたりにじわっ
      と汗が浮かびます。寒い地方の部隊だと体が温まり、暑い地方では発汗で体温が下がるという、なかなかのス
      グレモノと言えるでしょう。
       しかしこれ、味は唐辛子を効かせた味噌煮そのものなのに、原材料表示には味噌も唐辛子も記載されてませ
      ん
。何でだろう?これが山椒だけの辛さとは思えませんし、煮汁に沢山浮いている赤い小片は唐辛子そのもの
      だと思うんですけど・・・。

       半分こぼしてしまったコーンスープですが、うん、ちゃんとちゃんとのコーンスープですね。さすがにホテ
      ルのコーンスープ並とは行きませんが、市販のレトルトものにひけを取らないレベルで、美味しく飲む事が出
      来ます。

       それにしてもコーンスープの濃厚な甘味が、さんまのピリ辛な味わいとよく合う・・・訳ないだろ!
      自衛隊戦闘糧食はかなり美味しいものが多いのですが、流石にこの組み合わせはどう贔屓目に見ても頂けない
      もの
があります。何だか栄養とカロリーの事しか考えていなかった、一昔前の学校給食みたいな献立思想だな
      あ。どうしても汁物を付けたかったのなら、豚汁のレトルトなんかもあるんですからそっちにして欲しかった
      ですね。
       さんまピリ辛煮は白ご飯との相性も素晴らしく、コーンスープも従来の自衛隊戦闘糧食のカラを破る思い切
      ったメニューだと思います。が、この組み合わせは幾らなんでもちょっと・・・。なんと言うか、さんまピリ
      辛煮とコーンスープが家庭内別居しているような状態
なんですよね。間で板挟みになっている白ご飯君の心中
      を察するに余りある
のですが、これ、誰か反対しなかったのかなあ・・・。

       ヤケクソになって提出した企画が何故か通ってしまいましたがどうしましょう?的な雰囲気がプンプンです。
      もちろんこれは試食している私の主観に過ぎない訳で、この組み合わせがサイコー!イエ―!という人が居て
      もおかしくはない
と思います。もしかしたら、企画段階でこの糧食を採用した人にとっての『おふくろの味』
      が、これ
だったのかもしれません。
       また、試食係の人達がいやー、いくらなんでもこれはねーわ(笑)と感じたのに、エライさんがおお、これ
      は美味い!いけるよキミィ!
と絶賛してしまったので誰も逆らえなかった・・・という可能性もありますね。
       一つ一つの味は素晴らしいのに、何でこれを組み合わせたんだろう。全くもって何じゃこりゃあ!と言わざ
      るを得ませんが、その一方でいいぞ!もっとやれ!と感じている自分が居る事も否定できません。なんと言う
      か、妙に嬉しいんですよね。上島竜兵的と言うか、酷い目にあってるのに実は喜んでいる感じ・・・。

       戦闘糧食という冥府魔道ジャンルに足を踏み入れてしまった人なら御理解いただけると思いますが、レーシ
      ョン脳
とでも言えばいいのかなあ・・・こういうヨロコビって。
       「私をこんなカラダにしたのはあなたなのよッ!!」
       
カラテ地獄変風に言いたいですが、一体誰に言えばいいのか分かりません。
       いい意味でも悪い意味でも、一言では言い表し難い強烈なメニューでした。うーん・・・。




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