熱々になったレトルトを開封してご飯にかけると、思ったよりも黄色いカレーです。濃厚でスパイシーな香りが漂い、これ
はなかなか美味しそう。先ずは一口です。
おお、これはかなり美味しい!黄色っぽい見た目なのでちょっと侮っていましたが、深く重く実に強い味わいのあるカレー
です。一応中辛と銘打ってはいますが、辛味はけっこうキツイですね。辛いもの好きな人にとっての中辛、という感じで、苦
手な方にはちょっとハードかもしれません。
牛肉は30×40×15(o)程の塊が2つ入っていて、製作元がステーキハウスらしくなかなかの食べ応え。国産黒毛和牛を
使用しているとの事ですが、これだけカットが大きいと、十分に煮込まれていながらもその芯の方にはちゃんと牛肉の味が
残っていて、満足度も高いなあ。豚肉の脂肪とはまた違った牛肉の脂肪の旨味もあり、ほんの僅かに渋味を感じるこの骨
太な味わいは、まさにビーフカレーの王道と言うべきでしょう。
具は他にタマネギを確認できましたが、ニンジンとセロリは完全に融解している模様です。ちなみに原材料表示を見ると、
もろみ醤油が入っていました。へー、普通の醤油ではなく、もろみ醤油か。牛肉のどっしりした味わいを引き立てるには、こ
んな隠し味も有効なんですね。
いやはや、とても美味しいカレーでありました。レトルトカレーとしての実力は文句のつけようが無く、コース料理のメインと
して出されても十分納得のいく味わいでした。
それにしても、やっぱり何でこれが自衛隊なの?という疑問は消えないままでしたね。どこかの駐屯地のレシピを参考に
した、とかであればまだ納得もいきますが、疑問の収めどころが見つからないので、その一点だけは終始釈然としないまま
でした。
海上自衛隊を名乗るなら「そりゃ海自ならカレーですよね!」と納得もできますし、横須賀を売りにしても文句は出ないと
思います。カレー自体が極めて高いレベルにあっただけに、微妙に中途半端な売り込み方で少し損をしている様な気がす
るなあ。
いっその事販売ルートを考えて、全国に200近い数の駐屯地や分屯地を持つ陸自を看板にしてはどうでしょうか。ちなみ
に先の大戦中、敵性用語の観点から英語を排除していた陸軍では、カレーに代わって『辛味入り汁かけ飯』という、ちょ
っと無理矢理な名称を使用していたそうです。これをそのまま商品名に使っても面白いと思いますね。
…とまあ、いろいろと難癖をつけてしまいましたが、この商品は牛肉を知り尽くした人が作ったカレーであることは間違い
ないですね。味自体は非常に満足のいく出来だったのですから、あれこれと細かい事を言うのは野暮かもしれません。
一人前525円(税込)と、自衛隊カレーとしてはやや高めの価格帯にありますが、その実力は折り紙つきと言えるでしょう。
手にする機会があれば、是非一度お試し頂きたいカレーでありました。
あと、こちらは一緒に入手した『防人の誉カレー 甘口』です。どっしりとした太い味わいの中にも牛肉の渋味が感じられ
る、中辛と同一軸線上にある美味しいカレーでした。が、こちらも甘口と銘打ってある割にはそれなりに辛いなあ。
やはり辛いもの好きにとっての甘口、というレベルであり、お子様にはちょっときつい様な気がしました。
それにしても、こうしてみると見た目は殆ど変わりませんね(笑)。
そろそろ自衛隊カレーも、お子様用の正調甘口バージョンを販売してもいい頃かもしれませんね。これを入手した姫路駐
屯地創立記念行事でも、沢山の小さな子供達が観閲行進や訓練展示を食い入る様に見つめていました。そういうお子様
のハートをガッチリと掴めるような、一歩進んだお土産カレーがあってもいい様な気がします。
パッケージにはお子様用にコミカルなイラストをデザインし、成長期の子供に不足しがちな栄養成分を重視した内容で。
もちろん自衛隊との関連が納得できるように、駐屯地の調理員長監修によるレシピ、というお墨付きも欲しい所です。陸海
空を問わず、毎年方面隊ごとの調理コンテストが行われているので、優勝した部隊の調理員長が担当する、というのも箔
がついていいかもしれません。
あ、いっそ陸海空の3バージョンを作れば、一度に複数個買って貰えますね。お子様用ですからボリュームを下げてコス
トを抑え、装備品カード等を封入すればよりお得感のあるコレクターアイテムとしてもアピール出来る様な気がします。
…なんだか途中から変な方向に話が脱線してしまいました(笑)。甘口と侮るなかれ、大人の舌で味わうにも十分な実力を
持った、おいしい甘口でありました。
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