輸送艦おおすみ“甘さ際立つスパイシービーフカレー”
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さて今回は、リニューアル版呉海自カレーシリーズ第6弾『輸送艦おおすみ“甘さ際立つスパイシービーフカ
レー”』です。LST4001輸送艦おおすみはおおすみ型輸送艦の一番艦。同型艦のLST4002しもきた、
LST4003くにさきとともに呉基地にて第1輸送隊を編成し、国内外の輸送任務や訓練支援、災害派遣等
で活躍している『海のトラック野郎』であります。
そんな強烈な男臭さを感じさせる輸送艦おおすみのカレーですが、まずはパッケージから見て行きましょう。
やや暗めの海上を航行する輸送艦おおすみが上空から俯瞰で撮影されていますが、この独特の暗い色調がシブ
い雰囲気になっていますね。よく見ると航跡が短い距離でS字を描いていて、大きな船体をぐいんぐいんと振
り回している模様です。
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物資や人員の輸送が主任務である輸送艦なので、固定武装は20mm高性能機関砲が2基のみですが、当然
こういった魚雷回避運動的な操艦訓練も行うんでしょうね。海自のイメージとしてありがちな、どこまでも広
がる藍色の海、青い空・・・という画像にしなかったのは、この訓練中の緊張感を表現したかったのかもしれ
ません。
箱裏面には海上自衛隊と呉海自カレーの説明や味覚チャート、調理方法や原材料表示がまとめられています
が、このおおすみカレーは特に辛味、トロみ、コクを売りにしている模様。基準排水量8900㌧の大型艦ら
しいド迫力の味わいで押してくるのかな?と期待に胸を膨らませつつ、しっかりと温めたレトルトをお皿にあ
けて、まずは一口頂いてみましょう。
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おお、これはこれは・・・予想外の甘ウマ系でした。5段階の味覚チャートでは辛味が突出していたので、
ちょっと不意打ちをくらった気分です。もちろん辛味は辛味できちんと主張してきますが、このフルーティ&
ジューシーな甘味に飲み込まれている感じ。初っ端から裏をかかれたというか、なかなかやりますね、おおす
みカレー(笑)。
それにしてもこの舌に馴染む甘ウマ、なんか覚えがあるなあ・・・と思ったら、ああ、アレです!りんごと
はちみつのハウスバーモントカレー!あれをぐっと深い味にしてさらに洗練させると、このおおすみカレーに
近くなる気がします。
という事は、この甘ウマのキモはりんごとはちみつかな?それにすりおろしバナナの香気を足して、白砂糖
のすっきりした甘味を足したら・・・と分析しつつ箱裏面の原材料表示を確認しますが、うーん、砂糖こそ入
ってはいますがりんごもはちみつもバナナも無し。ううう、また自分の舌のいい加減さを晒してしまいました。
なお、食材一覧の中にはマンゴーペーストの文字が。ああ、そうか、この甘ウマの正体はマンゴーペースト
だったのか。ようやく合点がいきました。あと比較的珍しい食材としては、白ワインがありました。コクと渋
みを加えるために赤ワインを入れる艦はいくつかありますが、白ワインは珍しいなあ。
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これは恐らく、マンゴー独特のエグミをぼやけさせるステルス効果を狙った採用だと思われます。なるほど、
ある意味これは従来のラティス型ではなく海上自衛隊で初めて面構成のマストを採用し、艦橋構造物の傾斜設
計と合わせて船体のステルス性能向上に着手した、おおすみ型輸送艦らしさの表現であるとも言えますね。
それにしてもこの甘ウマ加減・・・素晴らしいものがありますよ。辛いもの好きな私ですら、ちょっとした
中毒性を覚えてしまう程(笑)。輸送艦おおすみの乗組員の皆さんは、コンビニで真っ先にプリンを手に取っ
てしまう様なスイーツ男子なのかもしれません。
と、ここでふと思いついたのですが、カレーの甘味出しにプリンを入れるというのも面白いかもしれないな
あ。卵と砂糖のコクだけではなく、カラメルソースでほろ苦い旨味を、ゼラチンで粘度のある食べ応えをも演
出してくれそうな気がします。うーん、これはこのおおすみカレーを食べなければまず思いつかなかった発想
です。今度試してみるか。
それにしても、海のトラック野郎である第1輸送隊。どうしても飲むわ喰らうわ暴れるわの菅原文太や愛川
欽也的世界を想像してしまいます。したがって、イメージ的に甘味が入る余地がどこにもない気がするんです
よねえ。それはそれで、逆にキャラが立つ裏設定とも言えますが。
いや、もしかしたらこのカレーを作った給養員長さんは、そんな矛盾をはらんだとてもいいキャラクターだ
ったのかもしれません。
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長い輸送任務を終え、母港への帰り道に就く輸送艦おおすみ。途中の寄港地では第4分隊の大宴会が開催さ
れ、呉はもうすぐという気分の軽さから大いに盛り上がっています。
そんな中、酒宴を一次会で切り上げた給養員長。あの男臭くて無骨なベテラン給養員長の事だから、今頃き
っと美人の女将がいる馴染みの小料理屋で、とてもシブい大人の一人酒を飲んでいるんだろうなあ。俺達じゃ
ちょっと入り込めないよなあ・・・と、二次会でささやき合う第4分隊の面々。
場面は変わり、繁華街の片隅にある小さなコンビニ。飲み会を抜け出した海士君が酔い覚ましの飲み物を買
おうと自動ドアをくぐったところ、プリンやシュークリーム、チョコレートで一杯になったカゴを抱えた給養
員長と鉢合わせしてしまいました。
「きゅ、給養員長、それ・・・」
「あ、いやこれはだな、うちの娘が帰りに買ってきてって・・・」
「ここ、呉じゃないっすよ・・・」
再び場面は変わり、夜の公園のベンチに座り込む給養員長と海士君。その傍らにはコンビニスイーツでぱん
ぱんになったビニール袋が置いてあります。
「か、艦のみんなには言うなよ・・・」
「はあ・・・(菅原文太みたいな顔して、この人スイーツ好きだったのか・・・別に隠す事ないのに)」
「ほれ、お前も食え」
「あ、いいんすか(これ、全部ここで一人で食べるつもりだったのか・・・)」
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いやあ、結構ありますよね、見た目で勝手にイメージを作られてしまい、なんとなくそれに逆らえなくなる
事って(笑)。ましてや閉鎖空間で四六時中同じ連中と顔を突き合わせる海自の艦艇乗組の場合、転勤でもな
い限り一度定着したキャラクターはなかなか覆すのが難しいと思います。
でも、別にいいじゃないですか、ゴツいおっさんがシュークリーム頬張ってても(笑)。逆に若いWAVE
と話が合ったり、同じ隠れスイーツ好きの隊員と変に打ち解けあえたりするかもしれません(笑)。
男の意味不明な見栄とプライド、矛盾、そして現実・・・そんな一見下らない様に見えてとても大切なもの
を抱えながら、輸送艦おおすみの人達は今日も頑張っているのでしょう。
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「しかしこのいかつい給養員長がプリン好きとはなあ。上の人の弱みを握るのって、なんか楽しいな(笑)。
艦に戻ったらめっちゃネタにしたいけど、まあ今日のところは見なかった事にしておくか(笑)」
「なんか言ったか?」
「え、いや、なんでもないっス(笑)」
そんな歳の離れた二人の男の背中が見えた気がした『輸送艦おおすみ“甘さ際立つスパイシービーフカレー”』
でありました。
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