マイントピア別子
2016.11.06
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という訳で松山駐屯地を後にして、松山自動車道の新居浜ICから一般道へ。山の中を少し走ると、川を渡
る橋の向こうにマイントピア別子(べっし)の看板が見えてきました。おお、いよいよです。
ちなみにこのマイントピア別子とは、江戸時代に発見され昭和後期まで採掘が行われた愛媛県新居浜市にあ
る別子銅山の跡地を利用したテーマパークで、山中深く掘り込まれた坑道を利用して様々な展示が行われてい
る、地底のドリームランドであります。
しかしマイントピア別子、やけに広くて車が多いなあ。それにここって道の駅だったの?広大な駐車場に空
きスペースが見つからず、ようやく敷地の隅の方に車を入れる事ができました。人も沢山いるし、なんか思っ
てた場所とずいぶん違うなあ。山の中に打ち捨てられた様な、うらぶれた坑道展示施設を期待していたのです
が・・・。
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とりあえず建物の方に向かいますが、紅葉した樹々に囲まれた赤レンガ造りの建物は、まるでお洒落な結婚
式場の様。しかも天空の湯?キッズパーク?砂金採り?なんじゃそりゃ・・・。
受付で坑道見学のチケットを購入しますが、1200円か。高いな。坑道見学以外の余計なものの建築費も
しっかり上乗せされている気がします。
坑道行きのトロッコ列車乗り場は建物2階にある様です。1階は道の駅の売店スペースですが、キレイで豪
華だなあ。勝手に想像していたマイントピア別子のイメージとのギャップに、ますます困惑させられます。ト
ロッコ列車は少し前に出たばかりで、次の便は15分後か。坑道入り口まで歩いても10分ほどらしく、待っ
ているのは時間の無駄だなあ。
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という訳で坑道入り口まで徒歩移動しますが、このマイントピア別子、周囲を急峻な山々に囲まれていて、
細長い川沿いの崖っぷちに無理矢理作った感じが素晴らしい。お陰で一日のうちで陽がさすのはほんの数時間
ぐらいしかなさそうで、まだ15時になったばかりなのに既に薄暗く、ぐっと冷え込んできました。
寒そうな砂金採り体験コーナーや閑散としたキッズパークを抜けていくと、前方に鉄橋が見えてきました。
おお、下の渓流までは結構な高さがありますよ。並行してもう一本古びた鉄橋が走っていて、その先にあった
のが第4通洞の入り口です。
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滲み出した地下水の石灰分と黒カビに覆われた赤レンガ造りの入り口は、歴史の風雪を感じさせる荘厳な佇
まい。残念ながら内部は立ち入り禁止ですが、通洞出口から使用禁止になった鉄橋まで地面にレールの跡が残
っています。赤錆にまみれた古い鉄橋はところどころ床板部が崩れ落ち、とても渡る気にはなれません。
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坑道内部のフラッシュ撮影を試みると、奥の方までずっと赤レンガ造りで思ったよりもきれいな状態。壁面
には地下水の漏出らしき染みが見えますが、中に入ってみたかったなあ。
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ちなみにこの第4通洞、坑道内の輸送の合理化を目的として大正4年に開通。長さ4600mにも及ぶ、別
子銅山の大動脈ともいうべき水平坑道だそうです。往時は相当な規模を誇った銅山だったんですね。
そこからさらに川沿いを歩くと、右手の山肌にトンネル出口を発見。こちらには小さな赤い鉄橋があります
が、さっきの駅を出発したトロッコ列車がこの橋を通るらしく、さほど大きくはないものの建築学的には結構
貴重な構造の橋だそうです。
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そしてその先にあるのが、坑道への入り口となるうちよけ駅。木造のなかなかしゃれた作りですね。駅舎内
には小さな売店がありますが、時間がないのでここは帰りに立ち寄る事にしましょう。
駅舎の外はテーブルセットが並ぶお洒落な広場で、すぐ傍にはここ別子銅山の最盛期に山の斜面を埋めた一
面の住宅風景の写真が。閉山した今はもう見る影もありませんが、好景気に沸いた当時は日本経済の勢いの象
徴だったんでしょうね。
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その隣には、坑道見学の大きなガイドマップがありました。坑道内は江戸ゾーン、近代ゾーン、そして遊学
パーク体験ゾーンの3つに分かれている模様です。
そして少し離れたところには、マイントピア別子のマスコットキャラ銅太くんがいました。はち切れそうな
上着からはみ出したデベソが、当時の日本経済の天井知らずの膨張感をよく表しています。
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その後は橋を渡って坑道見学の入り口となる端出場(はでば)坑道へ。私の前後には人はおらず、しんと静
まり返った坑道入り口にいると、なんだか入ってはいけない所に侵入する気分。ちょっとドキドキしつつ、い
ざ内部へ向かいます。
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洞内は薄暗く、照明の頼りなさがいい塩梅。壁面は天井まで滑らかに整えてあり、坑道らしい荒っぽさには
欠けるなあ。ちょっともったいない気がしますが、ファミリー向けの親しみやすい地下坑道があってもいいと
は思います。
しばらく歩いて行くと、まずは別子銅山史の一つ目の展示『四阪島の歴史』。銅山の煙害対策として新居浜
沖の四阪島に精錬所を移し操業を開始しましたが、なぜか煙害は余計に深刻になり、結果的に東予地方一帯に
さらなる大きな公害をもたらしたとの事。
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その後建設された中和工場により、めでたく公害問題は解決したそうですが、銅山開発の初っ端を飛ばして
いきなり物語の途中から展示が始まっているので、ちょっと面食らってしまいました。上映後20分ぐらいた
ってから映画館に入った様な気分です。
海に浮かぶ四阪島と工場煙突からの精錬煙、船と四国の山並みのジオラマがありますが、板に描いた絵をず
らしただけという良くも悪くもチープな造り。微妙なトホホテイストが漂う一発目です。
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続いては、最初に発見された坑道である歓喜坑と、第1~4通洞までの解説。坑道と通洞の違いが分かりま
せんでしたが、坑道は鉱石採掘の為のトンネルであり、通洞は採掘された鉱石や人員、物資輸送のための交通
インフラとしてのトンネルだそうです。
その為通洞内部には輸送トロッコ鉄道用の線路が敷設され、中には日常の交通機関として一般人も利用でき
た路線もあったとか。いいなあ、乗ってみたかったなあ。
各通洞入り口のジオラマもありますが、これも板切れに描いた絵をただ並べてあるだけ。うーん、まさかこ
の先もずっとこんな調子の展示なの?1200円もしたのに・・・。
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暗い地下通路の左右には岩を模したオブジェがあり、まるで沢山の子供がうなだれているみたいで薄気味悪
い事この上なし。岩の裂け目からは真っ赤な光が漏れ出る細工がしてあり、昔の特撮っぽいセンスが少し面白
くはありますが。
その後は四国の地質構造図と、別子銅山の歴史年表。鉱石標本も展示してあり、突然のアカデミックな雰囲
気にちょっと戸惑ってしまいました。
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続いて現れたのは、サツマイモを片手に変身ポーズをとっているみたいな人。なんだこりゃと近づいてみる
と、どうやら元禄3年(1690年)にこの銅山の露頭を発見した、阿波生まれの鉱夫切上り長兵衛との事。
ただの結露とは思えないヌルヌルテラテラぶりがなんかイヤだなあ。本人の脂症までリアルの再現してしまっ
たのでしょうか。
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隣には、その翌年に開かれた歓喜坑の入り口が再現してありました。てっきりインドの歓喜天に掛けたエロ
い意味があるのかと思いましたが、単に将来有望な銅山の開発を祝福し、皆で抱き合って歓喜したところから
名付けられただけとの事。昔の人達は私よりもずっとピュアな人達だった様です。
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その歓喜坑から先はエロゾーン、もとい江戸ゾーン。丸太でがっちり補強された通路を抜けると、おお、い
かにも地下坑道の展示物らしい、力の入ったジオラマが広がっていました。
まずは『負夫(おいふ)と堀子(ほりこ)』。籠を背負った運搬役と採掘を担当する採鉱夫ですね。『つや
子と花子』とか『全裸で散歩』『コマンドサンボ』みたいな語感の良さが売りなのか、どちらも仲が良さそう。
手に石ころの様なものを握っていますが、これは暗い坑道内を照らすための明かり取り。サザエの殻を使った
らしく、穴の部分に菜種油でも入れていたんでしょうか。
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続いては『掘場(つぼ)』。足元に置いた小さな灯りを頼りに、槌とノミだけでカンカンと採掘していた模
様です。手作業のみという効率の悪さに気が遠くなりますが、まあ江戸時代ですからね。ただ、地表近くで通
気のいい場所なら、薪に火をつけて熱で砕く事もあったとか。岩石を熱して膨張させて割ったのかな?
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お、次はやけにカワイイ展示ですよ。地下深く掘り進むにつれて染み出て来た地下水を、原始的なポンプで
汲み上げる様子。これは石川県の尾小屋鉱山記念館でも見ましたが、たしか箱樋(はこひ)でしたっけ?長さ
3mはありそうな細長い木箱を繋いで、4人がかりでツヅラ折れに汲み上げています。
ヒコヒコと機械的に動く小人さんみたいな水汲み係は、真っ暗な地下で朝から晩までずーっとこの仕事をし
ていたんだろうか。何も考えなくていい歯車になれる分には楽かもしれませんが・・・。
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過酷な作業を余儀なくされた歓喜坑の出口には共同浴場が作られ、鉱山で働く人夫達は一日の終わりにここ
でひと汗流して帰ったとか。文字通り命の洗濯ですね。仕事を終えて出てきた父ちゃんと待ち合わせたのか、
小さな子供も混じっているのが微笑ましい。
しかしよく見ると女性もいますね。江戸時代は町中の湯屋も普通に混浴だったというのは本当なのかなあ。
ちょっとおおらか過ぎて、逆に夢のない話のような気がします。中学時代に夜中にこっそり起き出して、自販
機のエロ本を買いに行く時のドキドキ感とか、こいつら分からないんだろうなあ・・・。
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続いては『砕女(かなめ)小屋』。運び込まれた鉱石を金槌を使って一寸角大に砕き、色ごとに選別してい
たとの事。なんだか旦那の悪口大会をやってそうに見えますが、石を叩き割りながらだといいストレス解消に
なりそうです。すぐ隣には岩を割っているおっさんがいますが、自分にも思い当たる事があって聞こえないフ
リをしているに違いありません。
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その次は『銅の精錬』。砕女によって選別された銅を含む鉱石は、4回に及ぶ精錬作業を経て段階的に不純
物を取り除き、銅としての純度を高めていったとの事。溶かした銅はマンホール大の円盤に固められています
が、これが粗銅か。
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その粗銅は『仲持ち』と呼ばれた運搬夫(婦)に背負われて、坑道の外へと運び出されたそうです。ちなみ
に粗銅をおろした帰り道は、米や味噌などの生活必需品を背負って銅山まで戻って来たとか。うーん、当たり
前ですが帰りも楽じゃないんだなあ。
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その粗銅は、税金を徴収する山役人立ち合いのもとに厳密に生産量をチェックされ、その作業は『粗銅改め』
と呼ばれたそうです。天秤棒に粗銅をぶら下げて計量していますが、担当の人は一日中負荷をかけたスクワッ
トをやってた訳ですね。立派な太腿になりそうだなあ。
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ちなみに当時は銅山税として、生産量の1割3分が幕府に収められたとか。意外と良心的な税率ですね。問
答無用に半分ぐらい持っていかれたと思っていました。
最後は『山神社』。この手の職場には不可欠な、作業の安全を祈願するための神棚です。鉱業担当の大山積
神(おおやまずみのかみ)を祀っていたそうですが、今や国内の鉱山業もすっかり廃れてしまい、やさぐれて
いるのでしょうか大山積神。それとも抜け目なくメタンハイドレートやレアアースの分野に転身して、意外と
ウハウハ状態なのかもしれませんが。
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暗い通路にはオレンジ色に光る石筍と鍾乳石、あと白く光る石柱が。チープ&ファンタジックで、ウルトラ
セブンでこんなのがあった気がします。
通路を抜けた所は巨大なホール状の地下空間になっていて、ここが近代ゾーン。地下水が滴り落ちるのを防
ぐためか、天井部を黒いビニールシートで覆ってあり、まるで巨大生物の消化器に飲み込まれた気分。
その近代ゾーンの真ん中にあったのが、別子銅山の巨大なジオラマ。山を模した岩肌のあちこちにフィギュ
アを配置して、明治から昭和にかけての銅山の様子を再現しています。なんか昔あったなあ、ロボダッチのプ
ラモデルでこんなのが。
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面白い事に人物や建物の縮尺は最初から一切無視して作ってあり、この珍妙な味わいが素晴らしい。フィギ
ュアも小さな楕円形のコースをぐるぐる回っているだけなので、まるで金策に悩む巨人の自営業者が街中をウ
ロウロしているみたい。
縮尺の統一感が全くないものすごく雑なジオラマですが、それでも岩盤の凹凸や高低差を上手く生かした設
計はなかなか唸らされるものがあり、鉱石を満載した蒸気機関車が鉄橋やトンネルを走り抜けたりでかなり芸
が細かい。上の方では地面にゴザを強いて酒盛りまでやってますし、これを作った人はすごく楽しかっただろ
うなあ。
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ちなみにこの別子銅山ですが、旧別子、東平(とうなる)、端出場の3つの区画に大きく分けられるらしく、
現在いるのは端出場エリアだそうです。ここから10km程離れた東平エリアには資料館があり、様々な産業
遺跡が今なお残っているとの事、道路が狭く離合が大変だそうですが、ここも一度見に行きたいなあ。
そこから少し進んだところには、銅山で実際に使用された採掘道具類が展示してありました。赤錆だらけの
棚にはキャップランプの充電器や黒電話、シリコン整流器が並んでいて、古びた道具なのにただならぬ迫力を
感じます。
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ふと見ると、足元にも何に使ったのか分からない機械類が沢山転がしてありました。さほど価値のあるもの
ではないのかもしれませんが、暗いので油断してると蹴飛ばしてしまいそう。
別の場所にはこれまた赤錆まみれの削岩機や消火器、ヘルメット、火薬袋、発破機などが並んでいます。当
時の鉱山内の映像もみる事が出来ましたが、映像の粗さが生々しいなあ。
以上で近代ゾーンは終了。ここから先は遊学パークです。手前には銅太くんの大きなフィギュアがいますが、
結露と照明の加減でヌルヌル光ってるのが気持ち悪い。その反対側には銅太くんのガールフレンドらしき銅子
ちゃん(勝手に命名)がいますが、逆光を背にしているのでなんか滅茶苦茶怒っているみたい。内に押し殺し
ている爆発寸前の感情とはまるで正反対っぽい作り笑いが、なおさら恐ろしく感じます。
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遊学パークに入ってすぐ左手には、地下1000mへのエレベーターが。地下1000m?さっそく乗り込
んでみますが、あれ、ドアは手動なのか。しかも途中で開けるなとか書いてあります。
さっそく乗り込みますが、内部は薄暗く天井に裸電球がぽつんとあるだけ。まるで昭和のラブホみたいな雰
囲気で、たまたま乗り合わせた見知らぬおばちゃんとの間にとても気まずい空気が漂います。
すぐにエレベーターは動き始めましたが、地下1000m行きの筈がなぜか上昇を開始。すぐにゴトンと音
をたてて止まりました。
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恐る恐る扉を開いてみると、そこは奇を衒って地下洞窟を模した内装の演出過剰ダイニングというか、60
年代の特撮映画のセットみたいな空間でした。壁面のあちこちに鉱石標本や採掘時に使用された水平器、風速
機、電話、顕微鏡、防毒マスク等が、何の説明文もなく無造作に展示してあります。
どうやらここは、地下1000mの様子を再現しただけか。そりゃそうですよね、ちょっと考えたらこんな
粗末なエレベーターで地下1000mまで行ける訳がありません。でも、この内容なら地下1000mも10
mも大して変わらない気が・・・。
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ちなみにここからは、一人乗りのボロボロのゴンドラを使って先程の遊学ゾーンに戻る仕組みになっている
模様。低い入り口をくぐって狭苦しいバスタブみたいなゴンドラに座り込むと、なんだか段ボールに梱包され
てどこかへ返品される様なもの悲しい気分にさせられました。
そしてこの、いい歳したおっさんが子供を押しのけて公園の遊具で遊んでいる様な、何とも言えない気恥ず
かしさ・・・ううう、こんな屈辱的な目にあわないと、元の場所に戻れないのか・・・。
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周囲を憚る様な気分で狭苦しいゴンドラに収まり、目の前に二つある粗末なレバーを押すと、ゴンドラは今
にも壊れそうな音を立てながら動き始めました。
途中、私と入れ替わるようにして上の方へ運ばれていく銅太くんのゴンドラとすれ違いましたが、なぜか私
の身代わりに銅太くんが地獄に送られていく錯覚に陥り、申し訳なさについ目をそらしてしまいます。無邪気
に笑っている銅太くんの表情に、胸が締め付けられる気分。
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すぐにゴンドラは下の階に到着。子供向けの遊具みたいなゴンドラから降りて来た私を見て、目の前にいた
おっさんが吹き出している様に見えました。ムカつくというよりも気恥ずかしさで消えてしまいたい気分。何
のプレイだよこれは・・・。
ぐったりした気分で、削岩機体験コーナーへ。地面から生えている削岩機のスイッチを押すと、いきなりガ
ガガガガと動き始めて目の前の岩から水が流れたり風が吹いてきたり。工夫を凝らした割には脱力感だけが残
ります。
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その奥には、仲持体験コーナーが。江戸ゾーンの展示にあった、粗銅を背負って片道6kmもの山道を徒歩
で運ぶ人達です。当時で女性は30kg、男性は45kgもの荷を背負ったそうですが、ここで体験できるの
は女性用の30kg。
試しに背負ってみますが、あれ?意外と大した事ありませんね。背負子のクッションがいいせいかな?とは
言え、これで急な山道の往復はさすがに辛いだろうなあ。
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そんな事よりも、隣りに佇んでいる仲持役のマネキン人形がものすごく怖い!そこそこ美人ですし笑顔もス
テキですが、明らかにアレな目つき。子供が見たら泣くぞこれ・・・。
山道を歩く支えなのか杖を持っていますが、よそを向いた瞬間に杖を振りかざしてケタケタ笑いながら襲い
掛かって来そうで、なんだかゾッとします。
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彼女から逃げる様に進んだ先にあったのは、持ち上げ岩。軽い材質で作られた大きな岩が頭上に置かれてあ
り、これを持ち上げていかにも力持ちっぽい記念写真を撮れ、という意図ですね。
それにしても、先程までの展示物のどれもが結構な金額をかけて作ったように見えますが、大金をつぎ込ん
でものすごくトホホなものを作ってしまうこのテイスト。これはこれで悪くない気がします。なんじゃこれは
・・・と呆れつつも、いつの間にか引き込まれてクセになってしまう感じですね。
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そして最後は、先程の箱樋と呼ばれる木箱製のポンプを幾つも使って地下水汲み上げ体験が出来るコーナー。
しかし肝心の箱樋が壊れていて、現在は電動ポンプを使って汲み上げているとの事。
ちなみに汲み上げられた地下水は、風情の欠片もない鹿威しを経てアーチ状の水路を流れ、水車がリングベ
ルを鳴らす仕組みになっています。これも凄く大掛かりで結構な製作費が掛かってそうですが、だから何なん
だというかトホホ感が強烈だなあ。この遊学ゾーンを一言で表現するなら『とほほ』。これに尽きる気がしま
した。
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その後は青い照明に彩られた地下坑道を抜け、入って来たのとは別の端出場坑道から外に出ました。うーん、
なんというか非常に評価が難しい内容だなあ。単純に『1200円は高いよ!』と言えますが、これだけのと
ほほテイストを味わえる地下坑道展示施設が、果たして今の日本にどれだけあるのやら・・・。
時刻は16時過ぎ。寒々しい山道はすっかり暗くなってきました。道の駅も人気が無くなっています。
ふと見ると、川筋になんだかやけにいい感じのレンガ建築物がありますよ。どうやら水力発電施設らしく、
黒カビに浸食された古いレンガが何とも言えない味わいを醸し出しています。機会があれば内部も見てみたい
なあ。
![](maintopiabesshi54.jpg)
今回は松山駐屯地の帰りにちょっと寄っただけでしたが、結構面白かったですね。東平や旧別子の産業遺跡
も気になりますし、一度しっかり調べなおして余裕のある日程でまた訪れてみたいなあ・・・と思いつつ、大
阪に向けて車を走らせました。
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