呉海軍亭肉じゃがカレー
さて今回は、『呉海軍亭肉じゃがカレー』です。パッケージ面積の半分以上を商品名のフォントが占めて
いるというなかなか大胆なデザインですが、古いレンガを思わせる赤とカレーを思わせる黄色の取り合わ
せも実に色鮮やかで、さりげなくあしらわれた桜や錨、旭日旗、舵輪も海軍らしい意匠ですね。全体に漂
う海軍カレーらしいレトロ感、お土産として手に取って貰えやすい高級感を大事にしつつ、食欲も巧みに刺
激するいいデザインだと思います。
その一方、瞳孔開き気味の焦点の定まらない目で口を半開きにして敬礼する水兵さんがちょっとヤバい
というか、水兵ズボンの絶妙なもっこり具合も相まって、静かに迫りくるようなアブなさがありますね。
しかも“今、昔し語り継がれる”とある割には“since2002”だったりと、まるでレトルトカレーが私に向かっ
て「ほれほれ、突っ込んでもいいのよ」と誘い受けしている様にも思えます。つ・・・突っ込んでなんかやらな
いんだからねっ!
しかしこの肉じゃがカレーというのは、新しいんだか新しくないんだかよく分からないカレーだなあ。呉の
肉じゃがと言えば、その発祥の地を巡って舞鶴と血で血を洗う抗争を繰り広げている(大げさな・・・)事で
有名ですが、舞鶴と鍔迫り合いしつつちゃっかり横須賀の海軍カレーにもちょっかいをかけて来るあたり、
なかなか無節操というかしたたかというか。
さて、作法通りまずは器の観賞を終えたので、さっそくレトルトを温めて試食してみましょう。ほほう、漂っ
てくる香りは濃厚で美味しそうだなあ。先ずは一口。
うん、カレーに溶け込んだ野菜と果物の旨味がズシンとくる、ボディの強い味わい。とはいえ、どっしりし
ながらも口当たりは意外と軽やかで、結構じわじわくる辛味もあと口のキレの良さを感じさせますね。
具はごろごろのジャガイモ、ニンジン、あと切手みたいなコレは・・・コンニャクでしたか!成程、確かにこ
れは肉じゃがですね。牛肉のボリュームがかなり寂しい(笑)のはちょっと残念ですが、このコンニャクがそ
れを補って余りある存在感で、実に個性的な仕事をしてくれています。
特有の臭みはカレーの香辛料でキレイに消されていて、コンニャクとしか言いようがない特殊なあの食
感も、キレイにまとまったこのカレーにいい意味でのハプニングを演出してくれています。20o角のものが
2枚だけでしたが、もっとコンニャクを増量して欲しかった気がしますね。私は厚揚げの入ったカレーが好
きなのですが、コンニャクを入れるという発想はなかったなあ。今度試してみよう。
肉の量は少ないものの、野菜の旨味を前面に押し出してバランスのとれた美味しいカレーになっている
のですが、そこにコンニャクという飛び道具が混ざり込んでいるのに、そのバランスは崩れるどころかより
一層魅力的な商品になっているのは、なかなか大した実力を持ったカレーだと言えますね。味自体も申し
分ないのですが、私個人的には途中でウスターソースを少し混ぜるのがお勧めかな。味の奥行きや、イギ
リス海軍をお手本にした海軍のカレーらしいレトロ感もぐっと増すような気がします。
ちなみにこのカレー、ひと箱2食入りで840円でしたが、先日大手スーパーにて一食入り420円の同じ
ものが販売されていました。市販のレトルトカレーの中では高価格帯に入りますが、カレー&コンニャクと
いう私にとっての新たな味の地平を切り拓いて見せてくれた、満足のいく一品でありました。
あと極めてどうでもいい事ですが、一食入りのパッケージをよく見ると、折角デザインした水兵さんのバ
ルバスバウが、フォントで隠されているんですね(笑)。外箱正面のサイズ自体は同じなので、わざわざ修
正する必要はないと思うのですが・・・。
防大の浴場で前をタオルで隠していると、「男らしく堂々とせんか(怒)!」と上級生から怒られると聞いた
事があるのですが、次回生産分からはこの水兵さんにも堂々として貰いたいと感じた試食でありました。
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