航空自衛隊小松基地 隊員給食カレー



      さて今回は、『航空自衛隊小松基地 隊員給食カレー』です。このカレーは、北陸自動車道でたまたま立ち寄
     った尼御前(あまごぜん)SAの売店にて発見したシロモノで、SAから目と鼻の先に小松基地があるので、なる
     ほどこんな所にまで自衛隊ご当地カレーが進出しているのか・・・と、感心してしまいました。
      パッケージは大空を舞うF−15イーグルF−4ファントム、そして白黒写真のF−86セイバーの3種類があ
     りましたが、中身はどうやら同じものの様です。珍しいので3つとも買おうかな・・・と思いつつ値札を見ると、
     んと一つ950円!?3つセットでこの値段なのかと見直しても、やはり一つで950円でした。
      うーん、幾らなんでもこの価格は無い様な気がしましたが、空自のレトルトカレーは初めて見ましたし、試食
     レポート用に一つ欲しいなあ。でも、950円か・・・。うーん。
      かなり思い悩んだ挙句、結局一つだけ購入したのですが、レジに並んでいる最中も
      「950円ってあんた・・・」
      という気分が抜けないままでありました。果たして価格相応の内容なのかなあ。まさか名義使用料で空自が
     莫大な金額を要求したとも思えませんし、最近よくある民間企業が自衛隊をダシにして儲けたいだけの様な、
     金のニオイぷんぷんな雰囲気がちょっとアレだなあ。


      ちなみにこのカレーを購入した一週間後に参加した小松基地航空祭では、売店のテントでこのカレーが販売
     されていました。お土産にしても高いよなあ・・・と思いつつ何気なく見てみると、なんと価格は800円、3つセッ
     トで2000円!きゅきゅきゅきゅ950円じゃないのかよ(怒)!!
      どうやら定価800円にSA価格が上乗せされての950円だった模様ですが、逆上した私は怒りのあまり思わ
     わずデビルマン(パンツをはいている方の)に変身しそう
になってしまいました。
      パッケージは如何にも空自らしく青い空に白い雲、そしてKOMATSU AIR BASE CREW LUNCH CURRY
     と書かれてあり、レトルトカレーというよりもプラモデルの箱みたいです。海軍カレーが郷愁レトロ感を前面に
     押し出しているのに比べると、この辺りの明るいあっけらかんとした雰囲気はなるほど空自だなあ。
      裏面にはF−15の簡単な説明や小松基地の歴史、業務内容などが簡潔にまとめられていますが、この辺り
     もプラモデルっぽいというか、これまでに食べた自衛隊カレーとは一線を画しているのが面白いですね。


      そしてパッケージの底には、何やら戦闘機の一部の様な写真が印刷されてありました。よく見ると別の所に
     『7/12』という数字が印刷されていて、どうやら全12種類あるこのカレーをフルコンプして並べると、戦闘機
     の一枚画像になる様です。って、12種類もあるのかよ!ほぼ1万円近くなるんですけど・・・。


      ちなみにこのカレーは小松産のトマトを原材料に使用しているとの事ですが、パッケージの端っこには
      『この商品の売り上げの一部は小松市内の青少年健全育成のために使われます』
     と書いてありました。
      うーん、ちょっと意地悪な見方をすれば、青少年の為なんだから、少々高くても文句言うなよなと居直ってい
     る風にも受け取れます。このカレーの収益の一部が、現場の隊員さんの福利厚生や装備の更新拡充にあて
     られるのならまだ納得はいきますが・・・うーん・・・。
      なんだかのっけから険悪な雰囲気というか、いつになく文句たらたらな流れになってしまいましたが、とりあ
     えず紙箱を開けて中のレトルトを温めます。



 





      火傷に気をつけつつ皿に盛ったごはんにカレーをかけ、先ずは一口。
      うーん・・・なんというかこの、驚くほど深いというか・・・非常に複雑な味わいだなあ。確かにトマトの酸味と甘
     みがいい感じ
で、凄いですねこの重厚な味わいは・・・。
      チャツネの様なフルーティな味わいがありながらも、実にどっしりとしたこの風味。甘味、苦味、辛味、酸味、
     旨味の全てが混然一体
となっていて、はっきり言ってとんでもなく美味しいカレーです。ひと工夫ふた工夫どこ
     ろか、十工夫二十工夫も重ねた様な感じ・・・とでも言えばいいのでしょうか。


      入っている牛肉もかなり立派なサイズで、20×25×40oのものが2切れ。レトルトカレーとしては十分満足で
     きるボリュームだと言えますね。
      牛肉や野菜、フルーツの旨みがとにかく濃厚なのですが、それをここまで引き出しつつしっかりと自己主張も
     行っているこの工夫は何なんだろう・・・と思いつつ紙箱の原材料表示を見て見ると、イカ、バナナ、チャツネ、
     ウィスキー、赤ワイン、焼酎、レモンジュース・・・
といった、様々な隠し味が大量に使用されていました。
      普通はここまで色々沢山入れてしまうと、味の方向性が定まらずにかえって収拾のつかない結果になってし
     まう
ものですが、このカレーはびっくりする位に全ての材料がきっちりと調和しているのが感動だなあ。その複
     雑かつ重厚な味わいのバックには多種多様なスパイス類小松産のトマトがどっしりと構えていて、いや成程、
     これは高いだけあるわ・・・と納得してしまいました。

      ちなみにこのカレーは小松基地隊員食堂で出されているカレーを忠実に再現したそうなのですが、小松の隊
     員さんはいいなあ、こんな美味いカレーを食べれるなんて。これは海自もうかうかしていられませんね(笑)。


      また、原材料にイカが入っている様ですが、具としてのイカは確認できなかったので、ペースト状にしてルーに
     混ぜ込んだか、もしくはスルメからとった出汁が使われていたのかもしれません。
      結論としては、滅茶苦茶美味しかったですね。文句をつける気満々だった武藤鶴栄の様な私を、最初の一口
     で完全に沈黙させてしまった位ですから。市販されいてるレトルトカレーの中では、間違いなく頭一つ突き抜け
     たレベルの美味しさ
だったと思います。950円は流石にアレですが、800円なら・・・うーん、それでも、ちょっと
     厳しいかなあ・・・。
      人から貰ったらとても嬉しいカレーですが、もう一度自分の財布で買うかと聞かれたら・・・ちょっと評価が難し
     い気がしますね。今回のレポートでいつも以上に「うーん」「・・・」が多かった点からも、私のこの揺れる胸の内
     を察して頂ければ、と思います。


      それにしても、950円のレトルトカレーを買う為に2〜3分も真剣に悩んでしまう私って、よく考えたらものすごく
     情けないオッサン
なんだろうなあ(泣)。これが島耕作なら、値札も見ずに5つぐらい鷲掴みにして涼しい顔で支払
     いを済ませ、次のページではレジのお姉ちゃんに腕枕しながらベッドの上でタバコをくゆらしている
でしょうに。


      そういう意味では、このカレーを目にした時の行動や表情、購入を決断するまでに要した時間、発汗量、心拍
     数、血圧、脳波などにその人物の器や評価、人間性が如実に表れてしまう
という、さながら一流企業入社試験
     の最終面接の如き実に恐ろしいカレーであると言えますね。自分の器の矮小さをたかが950円のカレーに暴か
     れてしまい、まるで全裸M字開脚を強制させられた様な屈辱的な気分です。
      カレー自体は文句なしの美味しさだったのですが、何だか微妙な後味の試食でありました。




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