火傷に気をつけつつ皿に盛ったごはんにカレーをかけ、先ずは一口。
うーん・・・なんというかこの、驚くほど深いというか・・・非常に複雑な味わいだなあ。確かにトマトの酸味と甘
みがいい感じで、凄いですねこの重厚な味わいは・・・。
チャツネの様なフルーティな味わいがありながらも、実にどっしりとしたこの風味。甘味、苦味、辛味、酸味、
旨味の全てが混然一体となっていて、はっきり言ってとんでもなく美味しいカレーです。ひと工夫ふた工夫どこ
ろか、十工夫二十工夫も重ねた様な感じ・・・とでも言えばいいのでしょうか。
入っている牛肉もかなり立派なサイズで、20×25×40oのものが2切れ。レトルトカレーとしては十分満足で
きるボリュームだと言えますね。
牛肉や野菜、フルーツの旨みがとにかく濃厚なのですが、それをここまで引き出しつつしっかりと自己主張も
行っているこの工夫は何なんだろう・・・と思いつつ紙箱の原材料表示を見て見ると、イカ、バナナ、チャツネ、
ウィスキー、赤ワイン、焼酎、レモンジュース・・・といった、様々な隠し味が大量に使用されていました。
普通はここまで色々沢山入れてしまうと、味の方向性が定まらずにかえって収拾のつかない結果になってし
まうものですが、このカレーはびっくりする位に全ての材料がきっちりと調和しているのが感動だなあ。その複
雑かつ重厚な味わいのバックには多種多様なスパイス類と小松産のトマトがどっしりと構えていて、いや成程、
これは高いだけあるわ・・・と納得してしまいました。
ちなみにこのカレーは小松基地隊員食堂で出されているカレーを忠実に再現したそうなのですが、小松の隊
員さんはいいなあ、こんな美味いカレーを食べれるなんて。これは海自もうかうかしていられませんね(笑)。
また、原材料にイカが入っている様ですが、具としてのイカは確認できなかったので、ペースト状にしてルーに
混ぜ込んだか、もしくはスルメからとった出汁が使われていたのかもしれません。
結論としては、滅茶苦茶美味しかったですね。文句をつける気満々だった武藤鶴栄の様な私を、最初の一口
で完全に沈黙させてしまった位ですから。市販されいてるレトルトカレーの中では、間違いなく頭一つ突き抜け
たレベルの美味しさだったと思います。950円は流石にアレですが、800円なら・・・うーん、それでも、ちょっと
厳しいかなあ・・・。
人から貰ったらとても嬉しいカレーですが、もう一度自分の財布で買うかと聞かれたら・・・ちょっと評価が難し
い気がしますね。今回のレポートでいつも以上に「うーん」と「・・・」が多かった点からも、私のこの揺れる胸の内
を察して頂ければ、と思います。
それにしても、950円のレトルトカレーを買う為に2〜3分も真剣に悩んでしまう私って、よく考えたらものすごく
情けないオッサンなんだろうなあ(泣)。これが島耕作なら、値札も見ずに5つぐらい鷲掴みにして涼しい顔で支払
いを済ませ、次のページではレジのお姉ちゃんに腕枕しながらベッドの上でタバコをくゆらしているでしょうに。
そういう意味では、このカレーを目にした時の行動や表情、購入を決断するまでに要した時間、発汗量、心拍
数、血圧、脳波などにその人物の器や評価、人間性が如実に表れてしまうという、さながら一流企業入社試験
の最終面接の如き実に恐ろしいカレーであると言えますね。自分の器の矮小さをたかが950円のカレーに暴か
れてしまい、まるで全裸M字開脚を強制させられた様な屈辱的な気分です。
カレー自体は文句なしの美味しさだったのですが、何だか微妙な後味の試食でありました。
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