簡易加熱剤の使い方



    さてここでは、戦闘糧食U型から採用された簡易加熱剤の使用方法を説明します。米軍のMREに封入されている
   加水式のものとは全く異なり、大きな使い捨てカイロで主食パックを温めます。
    しかしこういう方式で糧食を温めるのは、世界的に見ても極めて珍しいですね。いかにも日本ならでは、という気がし
   ます。







 製造元は桐灰化学株式会社。どこかで聞いた様な会社だなあと思っ
たら、使い捨てカイロのメーカーでした。凄く納得です。
 使用されている原材料は鉄粉、水、活性炭、ヒル石、食塩。








 開封すると、市販の使い捨てカイロが2つ繋がったようなサイズの加
熱剤が出て来ます。これが袋から出した途端に大気中の酸素と反応し
て、あっという間に熱くなるのでびっくり。
事前に糧食とタオルを準備して
おいた方がいいと思います。






 こんな具合に、主食パックを2枚の加熱剤ではさみ込みます。今回は
1パックだけですが、2パック温める場合は3枚の加熱剤を使用します。
 こうしている間にも加熱剤は素手では触れない位に熱くなるので、モ
タモタしていると火傷してしまいます。








 主食パックを加熱剤ではさんだ後は、タオルをぐるぐるに巻いて終了。
このまま20〜30分程で、カチカチだった主食パックが温まって柔らか
くなります。






    この加熱剤、使い捨てカイロそのものの見た目を裏切って、かなり凶暴な熱さです。しかしそもそもこれはこういうもの
   らしく、市販の使い捨てカイロは低めの温度で長時間温まるように調整されているそうです。発熱中の加熱剤は素手で
   は触れない程の温度
になるので、暖を取る目的での使用は禁止されています。
    またこの加熱剤の中には、熱伝導効率を高めるためにが入っていて、加熱中はタオルの中から湯気が立ち上るの
   が見えます。加熱が終わる頃にはタオルはしっとりと濡れていて、主食パックの表面には大量の水滴がついていました。
   タオルの下の部分は蒸し上がった状態になるので、濡れても構わないものの上に置く必要があります。
    加熱は30分を過ぎた頃には落ち着き、その後温度はゆるゆると下がっていきました。
    で、主食パックですが、加熱前に比べると激的に柔らかくなってはいますが、口当たりは何だかまだ固い…。水加減を
   間違えて炊いてしまった様な感じです。とは言え、食べる分にはまったく問題はありません。今回使用した加熱剤は保証
   期限を3年も過ぎたブツ
だったので、期限内のものならもっと柔らかくなるまで加熱が続いたのかもしれません。
    しかしこの加熱剤はスグレモノですね。加熱に水を必要としないので外気温に関係なく使用できますし、有毒ガスの発
   生もありません。ややかさ張ってゴミも出る所が難点と言えば難点ですが、なかなか面白いアイデアだと思いました。




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