かも肉じゃが
さて今回は、自衛隊戦闘糧食U型改善版の二つ目の試食となる『かも肉じゃが』です。日本の家庭料理の代
表と言っても過言ではない肉じゃがが戦闘糧食に採用されるのは至極当然な気がしますが、牛肉や豚肉ではな
く鴨肉(使用されているのは合鴨肉)というのが珍しいですね。
早速パッケージを開封しますが、あれ?前回のさば味噌煮ではビニール製だったパッケージが、今回はアル
ミ製になっていますよ。もちろんこちらの方が湿気や光線を完全にシャットアウトしてくれるので長期保存に
は向いていますが、一体どういう使い分けなんだろう。納入業者が違うのかな?
パッケージの中からはかも肉じゃがとさば生姜煮、あと主食の白飯パックが2つ出て来ました。副食のレト
ルトはパールモスグリーン(?)とでも言えばいいのか、とにかく変な緑色。民生品とも違うみたいですし、
なんだか妙な色合いです。
とりあえず内容物を温めて、まずはかも肉じゃがから食べてみましょう。レトルトから出て来た肉じゃがは
大人しい色合いで、ぱっと見は病人食の様な印象。ごろごろのジャガイモとニンジン、糸こんにゃくは3p程
にカットされています。そしてこの、申し訳程度に入っているのが鴨肉でしょうか。とにかく一口。
うーん、やっぱり見た目通りに味が薄い・・・。いや、これは味が薄いと言うよりも、ダシが効いてないと
言うべきでしょう。鴨肉自体はエキスを出し切ったかのようにパサパサで、正直合鴨なのかブロイラーなのか
分からない状態ですが、かと言って鴨肉の旨みが煮汁に溶けだしているという訳ではなく、何とも物足りない
味であります。
よく見ると煮汁には鴨肉の脂肪滴が沢山浮いていますが、鴨肉独特のあの血生臭い様な野趣あふれる風味は
全然感じられず、肩すかしを喰らった気分です。レトルト臭も強く、味気ない病人食の様な一品と言えるでし
ょう。
しかしこれ、黙って出されたら鴨肉だとは気付かないだろうなあ。それなら無理して高価な鴨肉なんか使わ
ず、普通のブロイラーの鶏肉を使った方が食べ応えがあって見た目も美味しそうだと思うのですが・・・。ま
あ実際にこれを消費する現場の隊員さん達は、レトルトパックに直接スプーンを突っ込んで食べるので、見た
目は大した問題ではないのかもしれませんが。
さて、もう一品のさば生姜煮です。レトルトを開封すると、さばの切り身がころりと出て来ました。てっき
り前回のさば味噌煮みたいにフレーク状なのかと思いきや、中骨なしの半身をさらに半分にした切り身でした。
このさば生姜煮がなかなかのお味で、細切りの生姜がさばの臭みとレトルト臭を消し去りつつも決して出し
ゃばらず、さっぱりとした甘辛醤油味が実にいい感じです。銀色の腹皮の部分には青魚独特の脂肪が乗ってい
て、うん、これはとても美味しいですね。
しかしこれ、どこかで食べたなあ・・・と思ったら、前のU型の鯖生姜煮そのまんまでした。製造した会社
は違うみたいですが、前回も美味いなあと感心しながら食べた事を思い出しました。 白飯に関しては特に何も言う事は無く、いわゆる普通のパックご飯でした。
今回主食は2つとも白飯でしたが、メインのかも肉じゃがが今ひとつ力の無い味だったので、白飯2つとい
うのはちょっと味的に弱い気がしましたね。もっとも、全21種類あるU型改善版のうち、これが2つ目の試
食です。もしかしたら他のメニューが濃い味の連続で、逆にこのかも肉じゃがのような大人しい味が評価され
ている・・・という事も十分考えられます。正直ちょっと期待外れの感が否めないメニューではありましたが、
現時点での評価はひとまず保留とした方が良さそうです。
もう一方のさば生姜煮は白飯との相性が抜群で、全く言う事なしでした。
トップページに戻る
自衛隊戦闘糧食目次に戻る
|