戦闘煙草



    さて今回は久々の珍品、自衛隊に採用された『戦闘煙草』です。見た瞬間に幾らなんでもこれは無いだろと突っ込み
   を入れそうになりましたが、いやはや自衛隊もやってくれますね。警視庁では皇室関連の警備にあたった警官に恩賜
   の煙草
が配られるという話を聞いた事があるのですが、自衛隊も負けずに変な方向で張り合っている模様です。
    ちなみに製造元は鋼海物産。以前取りあげた戦闘麦酒も作ってる会社ですが、たばこって確か日本たばこ産業以外
   は作るのも売るのも禁止されてたような・・・。相変わらず訳の分からない会社であります。


    まずは外箱のチェックから。味もそっけもないOD一色で塗装され、正面のラベルには『タール 8r ニコチン 0.7r』
   と表示してあります。この辺のスペックは標準的なものなのでしょうか。私はタバコを吸わないのでよく分からないのです
   が。また裏面には、
    『喫煙は、貴官にとって心筋梗塞の危険性を高める。たばこの煙は、貴官の上官や部下、敵国の将兵などの健康に
   悪影響を及ぼす。戦場での喫煙の際には、周りの人の迷惑にならない様注意せよ』

    と、しっかり命令口調で書かれてありました。それにしても、上官や部下のみならず敵国兵士の健康にまで気を使って
   いるところが、いかにも自衛隊らしい律義さを感じさせるなあ。


    ちなみにこの戦闘煙草、なんと陸海空の3バージョンが用意されていました!しかしまた、何でこんな変な所に力を入
   れてるんだろう・・・。とりあえず開封してみましょう。



 




    まずは陸自版戦闘煙草ですが・・・うわあ、陸自迷彩だ(笑)。なるほどこれは戦闘煙草です。


    それにしてもこの、タバコの先っちょについている黒い小さな棒は何なんだろう・・・と思ったら、二脚でした(笑)。確か
   に自衛隊で採用している小銃は64式、89式ともに命中精度を意識して二脚を標準装備していますが、煙草だと1cm
   も吸えば意味がなくなる
様な気がするんですけど。

  


    まあ陸自と言えば掩体(塹壕の事ですね)掘りが定番なので、これなら掩体の中で吸うのにもスゲー便利!なのかな
   あ。この辺りは、『用意周到一歩後退』と言われる陸自のカラーがよく出ているのでしょうか。





    続いては海自版戦闘煙草です。中から出て来たタバコはこんな感じでした(笑)。


    黒地に金線が3本・・・と言う事は、2等海佐仕様ですね。護衛艦だと艦長クラスです。どうやら海自版は階級に応じ
   てタバコのデザインが変わる模様で、なるほどこれなら吸っている人の階級が一目で分かって便利ですね。・・・って、
   普通に階級章を見ればいい
様な気がしますが。
    ちなみに支給された隊員さんの階級によってデザインは違うものの、タバコそのものの中身は同じだそうです。この
   あたりは、士官室や先任海曹室、科員食堂と、階級により食べる場所は違えども、食事そのものは全員平等に同じ
   ものを食べている海自らしさ
でしょうか。


    それにしても、ちょっと一服タイムまで己の階級の重さを痛感させられるとは。士官と水兵の階級格差が今よりもず
   っと厳格だった旧海軍時代
の名残を感じさせる、見事な『伝統墨守唯我独尊』ぶりだと言えるでしょう。





    さて、最後は空自版戦闘煙草ですが、うーん・・・何じゃこりゃ(笑)。


    どう見てもAIM−1スパローです(笑)。ここまでくるともう黙って頷かざるを得ませんが、これ、火をつけても大丈夫な
   んでしょうか。

    それにしても何でスパロー。どうせなら最新式のAAM−5にしてよ!という、現場の隊員さんからの声が聞こえて来
   そうですが。


    ちゃんと小さなフィンが8枚ついている所がなかなか芸が細かいですが、お陰で滅茶苦茶吸いにくい様な気がするん
   ですけど・・・。これを問題なく吸えるのは、世界広しと言えどもミッフィーちゃん位じゃないかなあ。


    空自は一体誰に吸わせるつもりでこんな珍妙なブツを作ったんだろう。まさに『勇猛果敢支離滅裂』そのものの、見事
   な空自カラーでありました。




    いやはや、陸海空3自衛隊のそれぞれの精神風土が見事に反映された、実に珍妙な一品でしたね。
    それにしても、どう見ても遊んでいるとしか思えない鋼海物産シリーズですが、酒、タバコと来たら次は一体何なんでし
   ょう。戦闘ギャンブルか?でもそれ糧食じゃないし・・・。
    果たして自衛隊はどこまで行ってしまうのか、杉山隆男氏とは全く異なる視点から今後も見守りたいと思います。


統合幕僚会議の模様

《管理人私信》
戦闘煙草の件で閲覧者の方からメールを頂きましたが、
当方のメール管理ソフト(マイクロソフト社のOutlook)からは返信できない形式になっている模様です。
不快な思いをさせてしまい誠に申し訳ありません。

ちなみにこの記事は、2012年4月1日にUPしました。  




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