中華そば・肉じゃが
2015.10.26


      1125、昨日に引き続き2日連続となる日本海食堂に到着。玄関前で開店を待ちますが、40分になっても
     店は開かず誰も来ず
。広大な駐車場にお客さんの車は一台もなく、見上げた青く広い空には大きな雲がゆっ
     たりと流れ、まるで私一人だけが地上にぽつんと立っている様。ああ、ずっとこのままだったらいいのにな・・・
     いや、お腹が減ったので店は開けて欲しい
のですが(笑)。
      そんな事を考えていると、60ぐらいのオジサンがふらりとやってきました。
      「まだやってないの?」
      ん?富山の人にしては、初対面からずいぶんフランクだなあ。っていうか、この食堂がまず時間通りに開か
     ない事
を知らない人かな?いや、単に普段見ない顔である私に対して探りを入れる目的で、話しかけてみた
     だけでしょう。

      その後はオジサンと話しながら時間を潰しますが、このオジサンが喋る喋る。私の大阪弁が珍しかったの
     か、根掘り葉掘り私の事を訊ねては自分の事も話まくり。しまいには明日帰るまでに富山で嫁さん探して持っ
     て帰って、ばあちゃんを安心させてやれ
とまで言う始末。そんな、お土産のます寿司じゃあるまいし(笑)。
      その後はいつものおばちゃんが出て来て準備中の看板を外し、開店。オジサンが
      「この人、大阪からここまで食べに来とってやで」
      というと、おばちゃんは笑いながら
      「昨日も来られてましたね(笑)」
      ああ、覚えてくれていたみたいです。とりあえず昨日気になった中華そばを注文し、あとショーケース内の本
     日のお勧めから一品・・・変な組み合わせですが、肉じゃがいっとこうかな。

      いつもの場所に着席。後からもお客さんが次々とやって来ますが、今日は日曜日なのにやけに作業着が多
     い
なあ。近くでなにか大きな工事でもやっているのかな・・・と思っていたら、離れた場所に座っていたさっきの
     オジサン
が笑いながらやってきました。オジサンはビールの小瓶イカの煮物ずいきの煮つけ、あとご飯に
     味噌汁。いかにもここ日本海食堂のプロっぽい、ちょっとイカした定食屋スタイルです。
      その後は一杯ひっかけてすっかりイイ気分になったオジサンのトークショーが開幕(笑)。そんな最中に注文
     していた中華そばと肉じゃが
がきましたが、喋りまくるオジサンに相槌をうちながら撮影するので精一杯。もは
     や自分が何を食べているのか分からない状態です。うぐぐ、こんな筈では・・・。

      私の場合は一人静かに料理と向き合いながら、一口ごとに脳裏に浮かぶイメージを様々に膨らませ、食材
     や料理人、そしてその土地に根付いた文化的なもの
に思いをはせながらそのイメージとの融合を図る・・・
     いう試食スタイルなのですが、こうなるともうオジサンのハリケーンの様なトークに巻き込まれてしまい、目の
     前の一皿に対して全く集中できません。
      まあ私は私でおっちょこちょいな性格を無駄に発揮してしまい、昼間からいい気分のオジサンとの会話の中
     につい年寄りあるあるネタ仕事あるあるネタを挟んでは、フリージャズ的な会話のプロレスをしてしまうので、
     あまりオジサンの事をどうこう言えないのですが・・・。
      ダメです、今日の試食レポは失敗だ・・・。中華そばと肉じゃがに関してはまた別の日に改めて注文して、味
     を確かめるとするか。
      と、ここでなんとなく、周囲の人達がこちらをチラ見している事に気がつきました。ああ、そうか。私の大阪弁
     か。テレビの芸人風ではないネイティブな大阪弁ですが、やっぱりここ日本海食堂では浮いてしまうんだろう
     なあ。普段は一人で黙って食べているから(当たり前だ)、こんな視線に囲まれる事はないのですが・・・。

      結局試食レポらしき事は何一つできず、中華そばと肉じゃがを食べ終わります。なんとなく覚えているのは、
     中華そばのスープは昨日の焼飯のスープと同系統の味だが酸味はなかった事。あと肉じゃがは北陸風の甘
     口醤油ベースで、タケノコが入っていた事。これ以外に記憶に残っている事は何もありません・・・。
      敗北感に打ちひしがれつつ会計を済ませる私に対し、
      「富山で嫁さんもらって帰れ(笑)!」
      と追い打ちをかけるオジサン。よ、余計なお世話だ(泣)!
      しかしこれはある意味、日本海食堂という特殊過ぎる場の空気が、異物である私を突然受け入れ始めた
     言えるのではないでしょうか。いや、むしろ自らを異物と称して、溶け込もうとしなかった私の方に問題があっ
     たのでは?
      そう考えると、今まで気がつかなかった色んな事が見えてくる様な気がします。今思えばあの人には申し訳
     ない事をした
なあ・・・。あと、あいつだけはトップロープからの顔面雷電ドロップを喰らわせても、まだ許してや
     らないからな・・・。そんな風に心を千々に乱れさせつつ、北陸自動車道をひた走ります。こうして私の人生は、
     日本海食堂とより有機的にリンク
していくのかもしれません。

      試食としては完全に失敗に終わった今回でしたが、もしかしたらこの失敗は今後の大きなターニングポイン
     ト
になるのかも。後々になって振り返ったら、あのオジサンが私の心の壁を打ち砕いてくれたのだ・・・なんて
     事になっていたりして。でも、どうせならキレイなおねーちゃんの方がよか・・・いや何でもありません。
      中華そばと肉じゃがは、またいつかのお楽しみ。今回僅かに残ったイメージを完全に消してまっさらな状態
     で食べたいので、全品制覇の道のりのずっと後の方に回しすとしましょう。
      以上で2泊3日の石川富山新潟遠征は終了です。色々動き回ったのは実質最初の1泊2日だけでしたが、
     いやはや強烈な2日間でありました。余りに内容が濃かったので、あっという間だったのに3ヶ月位旅をしてい
     た様な気が(笑)
。最後を締めくくってくれた日本海食堂の中華そばと肉じゃがにはいつかの再戦を誓いつつ、
     バアサマの待つ氷見へと車を走らせました。




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