レトルトが入ったパッケージを開けると、メニューAと同じく2枚の加熱剤にサンドイッチされた銀色のレトルト
パックが出て来ました。280gというなかなかのボリュームで、食べ応えもありそう。
さっそくレトルトを2枚の加熱剤ではさんで袋に入れ直し、同封されていた附件袋(水袋)で計量した水を注ぎ
込み、樹脂製の保温袋にくるんで置いておきます。この後は5分経つ度に上下をひっくり返し、15分間加熱し
ます。
その間に、90圧縮干粮を開封。中からは茶色く平べったい塊が滑り出て来ました。表面をぴっちりとラップ
状の素材で密封してあるのは05圧縮食品と同じですが、こちらは見た目が茶色で、燻製作り用の圧縮チップ
みたい。ぺりぺりとラップを剥がすと、うん?何だろうこのどこかで嗅いだことのある香りは・・・。瓦煎餅にちょ
っと醤油を塗った様な、こんな匂いのお菓子を以前食べた事がある気がするなあ。
恐々一口齧ってみると、んん~、まさにそんな感じですね。甘味を抜いた瓦煎餅に醤油をたらして、ぐっと圧
縮した様な。少し異なりますが、パンの耳に醤油をつけたらこんな味かも。
口当たりは砂が混じっているかのようにザラザラして違和感がありますが、味そのものはそれほど不味くは
・・・いや、これは慣れると普通に美味しいんじゃないかなあ。飽きのこなさそうな味ですね。
消化吸収はよさそうですし、ほのかな脂肪っぽさもあるのでカロリーも期待できそう。何より簡単に口に入れ
る事が出来ると言う点で、実に理にかなった戦闘糧食であると言えます。
さて、『自熱雪菜肉絲炒面』を温めてから15分が過ぎました。ガスを噴き上げながら激しく反応していた加
熱剤は大人しくなっていますが、手に取ってみるとしっかり熱々。さっそく開封して、皿にあけてみましょう。
パッケージから油まみれでずるりんと出て来たのは、うーん、長方形に押し固められた麺・・・ですね。この
ままではあまり美味しそうに見えないのでちょっとほぐしてみますが、温めが足りなかったのか結構固いなあ。
一本一本バラけてほしい麺がブツブツと細切れになり、苦戦を余儀なくさせられます。
どうにか麺料理に見えない事も無いレベルまでほぐす事が出来ましたが、なるほどこれはどう見ても焼きそ
ば、炒面です。冷めないうちにとにかく一口。
うーん・・・油ギタギタがキツイ・・・割には、結構イケる味ですね。中華料理ではお馴染みの味覇(ウェイパー)
を油で溶かして、麺にまぶしたらこうなるかな?とにかく非常に油っぽいので薄ぼんやりした味になっています
が、植物油を使っている所為か口当たりは意外に軽く、焼きそばと言うよりも油そばの方が近いかもしれませ
ん。
麺は角の立ったやや縮れた麺で、普通に醤油ラーメンなどに入っているものと同じです。コシとかを求める
のは流石に無理なレベルですが、長期保存のレトルト麺料理であることを考慮すれば、むしろこれはよく出来
ている部類でしょう。
入っている肉はゴロゴロと大きく食べ応えがあり、この繊維の荒い感じは牛肉かな?脂肪分は殆どありま
せんが、みっしりと詰まった赤身の風味が残っていて、フニャけた様な固まった様な微妙な食感の麺といい
コントラストになっています。
所々に絡まっているワカメみたいなのが雪菜でしょうか。ぱっと見はホウレンソウっぽいですが、繊維の口
当たりは高菜漬けに似ています。
なんというか、全体的には小学校の給食で出て来た焼きそばを彷彿とさせる味わいですね。もちろんここま
で油ギトギトにはならないでしょうけど、任務を間違えたトンマな中国人工作員が小学校の給食調理員として
潜入してしまうと、子供達はこんな焼きそばを食べさせられるのか・・・といった感じです。
しかしこの茫洋とした味の油まみれ焼きそばも、魔法の調味料香辣醤を混ぜ込めば、一気に旨味の花が
開く感じなのが中国四千年の料理文化の凄いところ。油分ではっきりしなかった旨味、コク、香りが前に出て
来て、まるで溶けかけた雪の下からフキノトウが顔をのぞかせたかのような“目覚めた感”が楽しめます。メニ
ューAではレトルト2つに対して1つの香辣醤でしたが、メニューCではレトルト1つに香辣醤を1つ使えるので、
全部入れれば結構刺激的な風味を楽しめるのも嬉しいなあ。
いやあ、かなり香辣醤に助けられたとは言え、最後までこの油まみれ焼きそばをダレずに美味しく頂けたの
は予想外でした。こうなると、一番最初に食べた06単兵即食食品で貼られた『中国軍戦闘糧食は不味い!』
という超個人的レッテルは剥がしてもいいでしょう。
中国と言う国に関しては私も色々と思うところがありますが、こと戦闘糧食に関してはなるほど見るべきもの
があると言えます。やはりバックボーンとなる料理文化が発達していると、戦闘糧食にも自ずとそれが反映さ
れて行くのでしょう。
また、ご飯もの2品というメニューAの構成よりも、圧縮ビスケットと組み合わせたメニューCの方が食べて
いてお得感がありましたね。味そのものは化学調味料っぽいので、連食するとかなり舌に堪える様な気が
しますが、たまに食べる程度なら十分楽しめると思いました。
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