まずはしっかりと温めた豚角煮から。レトルトを開封して皿に開けますが、うーん、果たしてこれを角煮と言っていいの
かなあ・・・と言う様な小さな消しゴム大の豚肉が、粘度の高い煮汁にまみれて出て来ました。半分以上は煮崩れてフレ
ーク状になっているのですが、一番大きな塊でも10×10×30(o)というサイズ。ぱっと見は、何だかちょい高目のドッ
グフードのようです。
しかし漂ってくる香りは、甘辛醤油の効いた豚角煮そのものの香りで、なかなか食欲を刺激します。とりあえず一口。
ん?意外と悪くないですよ。やや化学調味料くさいですが、甘辛のバランスがとてもよく、白ご飯との相性もかなりいい
ですね。心配していたレトルト臭は殆ど無く、噂で聞くほど酷い味とは思えません。いや、かなり美味しい部類に入ると思
いますよ、これ。
肉にも煮汁にも脂肪っぽさがかなりあり、白ご飯と組み合わせれば見た目以上の満腹感があります。煮汁のとろみが
ちょっとうるさい気がしますが、これはこれで冷めにくくなるのでアリでしょう。
味の割に評判がよくないのは、どうやら『豚角煮』という名前に見た目が完全に負けているのが原因かもしれません。
だってこれ、どう見ても角煮と名乗れるような見た目じゃないし(笑)。『豚角煮』という名前の持つ大物感やワクワク感を
そのまま期待すると、確かにかなり裏切られた様な気分ですね。『豚肉うま煮』とかなら、違和感なく頂けたと思います。
もう一品は『海苔』です。よくよく考えたら凄いですね、戦闘糧食に味付け海苔って(笑)。旅館の朝食じゃあるまいし。そ
れにしても初めて見ましたよ、味付け海苔のレトルトパックって。
中からは98×88(o)の、ほぼ正方形に近い味付け海苔が4枚出て来ました。表面にはツブツブの塩が散りばめられ、
キラキラと光っています。よく見るとレトルトの中には乾燥材と脱酸素剤の小袋まで付いていて、随分と過保護な気がす
るなあ。
しかしそのおかげで海苔はパリパリで、うん、かなり塩気がキツイですが、美味しい味付け海苔です。
それにしても、この塩気の効いた海苔を4枚も食べると、かなり喉が渇きます。あまり水が欲しくなるメニューってどうな
んだろうと思いますが、水分が制限されている状況下なら食べなければいいだけの話ですね。海苔自体のボリュームは
微々たるものですし。
海苔自体はミネラルが豊富ですし、塩分の事も合わせると必要と思われる時だけ食べればいいサプリメント的な位置
づけでいいと思います。とは言え、豚角煮、白ご飯、味付け海苔、と並べると、なんとなく味のおさまりがイイと言うか、ど
こかホッとする組み合わせと言えますね。副食でいつの間にか摂取している塩分と違い、たまにはこうしてあからさまに
攻撃的な塩味というのも、いいアクセントになると思います。
あとこの味付け海苔、原材料である乾海苔は国産海苔なんですね。まあこの手の加工食品で中国産の食材を避けて
通る、と言う事はほぼ不可能と言ってもいいだけに、ちょっと安心しました。有事の際には体を張って闘う人達の食事で
すし、あまりヘンなものを食べて貰っては困ります。
主食は白ご飯×2でしたが、これはいい選択でした。一見して地味っぽいですが、豚角煮の甘辛醤油味と味付け海苔
のストレートな塩味は、白ご飯でこそ受け止める事が出来ると思います。これがドライカレーだったりすると、ちょっとつら
い食事になっただろうなあ。
全体のバランスで言えば、実によくまとまった優秀なメニューだったと思います。それにしても、U型改良版の中で最も
評判の悪いメニュー・・・という噂は何だったんでしょう。ガセだったのかな?まあ食味の感想なんて、どうしたって主観的
なものにならざるを得ないですからね。少なくとも私は、けっこう美味しいと思いました。
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