2014.10.19
京都府に所在する福知山駐屯地の創立64周年記念行事に行ってきました。福知山駐屯地には第7普通科連
隊各中隊を基幹として、その他駐屯地機能を支えるさまざまな部隊が常駐する、第3師団日本海側唯一の駐屯
地です。ちなみに前日の土曜日は市内パレードも行われ、沢山の人達が見守ったとの事。福知山は観閲行進や
訓練展示、屋台、アトラクション等の“魅せる”レベルが非常に高く(たまに変なのも混じりますが・・・)、
地元第3師団のみならず全国的に見ても毎年非常に評価の高い創立記念行事を開催する事で知られています。
また、全国の駐屯地に先駆けてレンジャー訓練を実施したという実績があり、平素からの訓練の厳しさも折
り紙つき。陸軍歩兵第二十聯隊、第百二十聯隊から受け継がれた精強の遺伝子も、ここ福知山の魅力だと言え
るでしょう。
当日はまだ暗いうちに自宅を出発。中国自動車道をひた走り、深い霧に閉ざされた舞鶴自動車道に乗り継ぎ
ます。途中の六人部(むとべ)PA手前にて、路面の真ん中にイノシシの轢死体を発見。つい先月、夢の中で
戦ったイノシシの事を思い出します。あの時は私も無傷では済みませんでしたが(笑)、強敵と書いて友と呼
ぶ系の存在を失ってしまった様な何とも言えない空虚な気分になってしまいました。
生とは、死とは、そしてぼたん鍋とは何か・・・等と考えつつ、福知山ICから一般道へ。当日の臨時駐車
場となった福知山射撃訓練場に車を乗り入れ、少し離れた式典会場へ移動します。ここも深い霧ですね。気温
もかなり低く、手袋を持ってくればよかったかなあ。吐く息がもう白い事も今さらながら驚きです。
その後、富山県から遠征して来た友人のSAA水兵さん、そしてRSさんと合流。RSさんはSAA水兵さ
んのサバゲ仲間の高校生ですが、昨年一緒に参加した大久保駐屯地にて戦力回復資材庫という怪しげなプレハ
ブ倉庫を見つけた際、
「ヒロポンですかね」
等と真顔で言い放ってしまう将来が心ぱ・・・もとい楽しみな逸材であります。
しばらくすると上空は徐々に明るさを増し、霧も晴れてきました。来賓を乗せたマイクロバスも会場入りし
始め、いよいよですね。お、その来賓の中に海外の軍人さんがいますよ。方面隊や師団の記念行事では珍し
事ではありませんが、福知山ではあまり見なかった気がするなあ。軍装品に明るくない私にはどこの軍服なの
かさっぱり見当がつきませんが、お二人によるとどうやら米軍の人らしいです。すぐ近くの海自舞鶴基地に、
米軍艦艇でも入港しているのかな?
そして部隊の入場が始まりました。まだ少しモヤってはいますが、兵庫県の千僧駐屯地から駆け付けた第3
音楽隊を先頭に、福知山駐屯地に所在する各部隊が整然と入って来る様子はやはり迫力ありますね。胸元を彩
る真っ赤な普通科スカーフが力強さ満点です。
部隊向かって左から第3音楽隊(千僧)、第7普通科連隊本部管理中隊、さらに第1〜5中隊が続き、重迫
撃砲中隊と第3後方支援連隊第2整備大隊第1普通科直接支援中隊。
各中隊が紹介される度に中隊旗が掲げられ、担当する防衛警備区にあたる市町村名が読み上げれられます。
自分達の住む地域に万が一の事態が発生した時、真っ先に駆けつけてくれるのはこの人達か・・・と分かるの
は、式典を見に来た地元の人達にとっては心強いだろうなあ。こういうちょっとしたひと工夫や心配りが、実
に福知山らしい気がします。
ちなみにこの駐屯地には、他にも会計や通信、警務、業務関連の各部隊が所在しますが、本式典には参加せ
ず運営や警備にあたっている模様。
続いて観閲部隊指揮官を務める第7普通科副連隊長鹿島二等陸佐が、連隊旗とともにパジェロで入場。部下
達と敬礼を交わします。
その後は駐屯地からの感謝状贈呈者が発表されましたが、うーん、今年も放送がロクに聞こえない・・・。
会場がだだっ広い上にすぐ近くに民家があるという事情もありますが、もうちょっとスピーカーの音量を上げ
てくれないかなあ。福知山で残念なのはほんとここだけなので、実にもったいない気がします。
そして本式典の観閲官である第7普通科連隊長兼ねて福知山駐屯地司令井川賢一一等陸佐が、黒塗りの業務
車で入場。部隊は敬礼。
続いて国旗が入場し、部隊は着け剣での捧げ銃(ささげつつ)。厳粛な雰囲気の中、国歌君が代が第3音楽隊
によって演奏されました。
その後は観閲官による部隊観閲、そして式辞の披露。この頃にはすっかり気温も上昇し、暑くなってきたの
でパーカーを脱ぎます。毎年雨に打たれ寒さに震える福知山らしくないなあ(笑)。そもそも福知山は毎年シ
ーズン終盤、11月終わり頃に迎えるイベントなので、今年は随分日程が早くて変な感じです。
また撮影していて違和感を覚えたのですが、バックに入る木々が緑色なんですね。例年は真っ赤に紅葉した
背景が色鮮やかなので、こんな所にも季節の移り変わりを感じます。
来賓祝辞と来賓紹介、祝電披露を経て、記念式典は以上で終了。この後の観閲行進の準備で部隊は退場しま
すが、今年はラッパの音色に乗って駆け足行進で勢いよく退場です。へー、これは珍しい。またひと捻り加え
てきましたね。昨年は徒歩行進での退場だったので、まったく福知山は何処で何を変えてくるか分かりません。
準備が整えられる間に、第3音楽隊が『負けないで』を演奏。台風による大水害に見舞われた福知山市への、
第3音楽隊からの励ましのメッセージです。観客からは大きな拍手が贈られ、観閲行進の始まりです。
まずは一旦下がった第3音楽隊(千僧)が、行進曲『大空』とともに入場。さらに福知山駐屯地の防衛警備
区にあたる各市町村の旗が、それに続きます。
続いてやってきたのは海上自衛隊舞鶴地方隊。黒の制服に白い手袋、ベルト、脚絆も眩しい三等海曹が海軍
旗を掲げ、64式小銃を携えた海士2名が左右を固めます。やっぱり軍艦行進曲は心が湧きたつものがありま
す。
ここからは福知山のご当地部隊が登場です。まずは観閲部隊指揮官を乗せた指揮通信車。そして第1中隊が
冬季用戦闘服に身を包んでの行進です。今日は晴れているので白さが目に眩しいなあ。
そして第2中隊からは市街地戦闘装備姿の一団が。会場中央で周囲を警戒する陣形を取り、その特徴を際立
せています。
しかしここで困った事が発生。行進が真正面過ぎて、前後の部隊が重なってしまいます。うーん、この場所
はこういう問題があるのか・・・ポジショニングって難しいなあ。第3中隊からは重そうな背嚢を背負ったレ
ンジャー小隊がやって来ましたが、前を行進する第2中隊と被ってしまい、観閲官の前で何をやってるのかよ
く見えません(泣)。とほほ。
その背後からやってきたのはギリースーツに身を包んだ狙撃部隊。部隊長の号令とともに、しゃがんだ姿勢
での狙撃の様子を披露します。
続いてやってきたのは化学防護衣姿の一団。特殊武器防護隊ではなく、普通科連隊に装備されている化学防
護衣かな?両手に握った除染器のノズルを左に右に動かして、土壌の除染を行いながらの行進です。
ただ整然と行進するだけではなく、この装備は何をするためにここにあるのか、そもそもこの行進自体何の
ために行うものなのか。目的と方法を常に明確にして考えて行動するのが、私が見た中で感じた福知山第7普
通科連隊の本質であり凄味なのかもしれません。
次は本部管理中隊からの偵察オートが6両。先行する部隊長は観閲壇前できりっとターンを決め、敬礼を交
わしています。
さらに本部管理中隊からは救急車、大型トラックに牽引された野外炊具2号(改)と水トレーラ、小型ショ
ベルドーザ、資材運搬車が続きます。
第4中隊は車両行進。高機動車群がやってきて、フレーム上のMINIMIを構えて射撃姿勢を披露。お、
後続の高機動車には、迫撃砲小隊の81mm迫撃砲L16を搭載しています。
そして第5中隊から軽装甲機動車群の行進が。こちらもルーフ上から110mm個人携帯対戦車榴弾、01
式軽対戦車誘導弾、91式携帯地対空誘導弾を照準姿勢で構えています。01式軽対戦車誘導弾は余所の駐屯
地でもよく見ますが、福知山は前後につける八角形の保護材を、本番さながらに取り外しています。
そして重迫撃砲中隊からは高機動車に牽引された120mm迫撃砲RT。普通科が運用している中では最大
口径の火砲です。
第3後方支援連隊第2整備大隊第1普通科直接支援中隊からは大型トラックの荷台に巨大なシェルターを搭
載した整備車が。
ここからは、他駐屯地から駆け付けた部隊が続きます。まずは第3特科隊から7トントラックに牽引された
155mmFH−70榴弾砲。そして第3高射特科大隊からの81式近距離地対空誘導弾が続きます。自慢の
防空網でミサイルを絡め取る蜘蛛をデザインした部隊章が、いつ見ても毒々しくてカッコイイ。
第8高射特科群第339高射隊からは03式中距離地対空誘導弾の発射装置。第3特殊武器防護隊からはN
BC偵察車と除染車3型。第3施設大隊からは81式自走架柱橋。
第3偵察隊からは87式偵察警戒車。そして車両行進を締めくくる第3戦車大隊からは、96式装輪装甲車
と74式戦車が3両ずつ、地響きをたてながらの行進です。
最後は観閲飛行。第3飛行隊からのOH−1観測ヘリと、海上自衛隊第23飛行隊から参加のSH−60J
哨戒ヘリが一機ずつやって来ました。今日は上空が晴れているので、機体の鼻先やブレードの先端がギラリと
光っているのがいい感じ。
以上で、福知山らしい見どころいっぱいの観閲行進は終了。音楽隊が拍手を浴びつつ退場し、観閲部隊指揮
官は終了を報告。式典参列者は全員起立で国旗の退場を見送ります。
続いては、第7普通科連隊音楽隊とラッパ隊による合同ラッパドリル。駐屯地の一日の様々な場面で吹き鳴
らされるラッパを、音楽に合わせてきびきびと披露です。その間にも式典会場には訓練展示の準備を進める隊
員さんがやってきて、鉄条網や遮蔽物をテキパキと配置。軽装甲機動車のハッチからは対抗部隊が使用する小
銃類が次々と運び出されています。
拍手を浴びて退場する音楽隊と入れ替わる様にして、福知山駐屯地太鼓部酒呑太鼓による勇壮な和太鼓演奏
が始まります。遠目からもその迫力が伝わる和太鼓に、大きな拍手が贈られました。
その後は格闘展示。鉄帽やボディーアーマーで身を固めた隊員さん達が、素手やナイフ、小銃を相手にした
様々な状況での徒手格闘をきびきびと展示。隊員さんが地面に倒れ込む度に砂塵がもうもうと立ち込めるのが、
迫力ある演出になってますね。最後は会場正面に集合し、駆け足で退場して行きました。
そうこうしている間に右手に敵勢力の部隊が集結し、会場中央には廃墟に見立てた掘立小屋が完成。いよい
よ訓練展示の開始です。まずは丹後半島沿岸の警備にあたっていた海上自衛隊のSH−60J哨戒ヘリが、敵
勢力の上陸を確認。陸自のOH−1観測ヘリが駆け付けて、上空から敵の陣地への偵察を行います。すぐに敵
陣地からは対空射撃が始まりますが、OH−1はその細身の機体と運動性能を生かしてひらりひらりと銃撃を
回避。本隊へ帰還して行きます。
航空部隊からもたらされた情報を元に、中隊長は第3偵察隊に出動を指示。会場中央奥の廃墟の中に敵勢力
が潜んでいる事を確認します。87式偵察警戒車が派手に走り回って注意をひきつけている隙を突いて、前進
してきた狙撃部隊が会場手前の繁みの中に潜り込みました。
「こちら狙撃部隊、狙撃ポイントに到達!狙撃準備完了!」
そしてパン、という乾いた音と同時に廃墟から顔を出していた敵勢力の指揮官が「ウワー」と叫びながら倒
れ込み、狙撃は見事成功。派手なリアクションでひっくり返る敵指揮官役を、後から別の隊員さんが支えてい
るのが微笑ましいなあ。その隊員さんは死体役になった指揮官を担いで、スタコラと走り去って行きました。
こういうところまでいちいち見逃せないのが福知山であります(笑)。
その後は廃墟に忍びよったレンジャー小隊が、小屋の中に発煙弾を投げ込みます。派手に煙が噴き上がる中、
レンジャー小隊は一気に突入。内部の兵士を掃討しますが、何人かは逃げてしまった模様。
「7連隊、こちらレンジャー、廃墟内の敵を制圧!一部の敵は、丹後半島東側に離脱した模様!これより敵
を追撃する!」
96式装輪装甲車も加わって、陸自部隊は敵部隊を追い詰めて行きます。そして敵勢力が立てこもったトー
チカを発見。
「施設作業小隊、火炎放射器により、トーチカを制圧せよ!」
96式装輪装甲車から飛び出してきた火炎放射器組は、レンジャーの援護を受けながらトーチカに向けて攻
撃開始。シュボッ、という一瞬の小さな炎のあと30mもの炎が一気に襲い掛かり、トーチカはあっという間
に炎に包まれます。ここからかなり距離があるのに、やっぱり凄い迫力だなあ。
「こちらレンジャー!丹後半島東側において、陣地防御用と思われる鉄条網を発見!」
第7普通科連隊情報小隊が現地に急行し、6両の偵察オートが一気に最前線に突っ込んで行きます。敵陣地
手前で倒した車両を盾にして、すぐに威力偵察を実施。敵陣地からも派手な反撃が始まります。それにしても
福知山、空包の量も相変わらずの大盤振る舞いで、凄い迫力です。
反撃の様子から陣地の形状や敵戦力、保有火器の種類等を見極めた情報小隊は、最前線から一気に離脱。入
手した情報から、中隊長は陣地奪還作戦を立案します。
まずは03式中距離地対空誘導弾と93式近距離地対空誘導弾が陣地進入を開始し、陸自本隊の防空を一手
に引き受けます。高機動車に牽引された120mm迫撃砲RTや、自走して来た155mmFH−70榴弾砲
の火力戦闘部隊も素早く展開し、またたく間に射撃準備が完了。
そして発射の号令とともに、155mmFH−70榴弾砲が火を噴きます。立て続けの着弾に敵の反撃が怯
んだ隙を突き、普通科小銃小隊を乗せた軽装甲機動車が後方から一気に突入。車内から飛び出した小銃小隊は、
遮蔽物となる繁みに次々と飛び込んで行きます。
激しい戦闘が行われる中、陸自部隊と敵部隊の双方に負傷者が発生。車両後方に引きずられていった敵兵士
が、目の前で救命措置の真っ最中。右足が挙上されているのは、負傷個所を心臓より高くして止血を容易にす
る為ですね。細かいところまで見せるなあ。
陸自部隊はじりじりと距離を詰めるも、手前に立ちふさがる鉄条網に行く手を阻まれます。ここでレンジャ
ー小隊から障害物処理の隊員が前進開始。後方から火力戦闘部隊の支援を貰いつつ、二人ひと組の匍匐前進で
鉄条網に取りつきました。
そして長い鉄パイプに仕込まれた爆薬を鉄条網の下に差しこみ、発火装置を作動させたあとは一気に離脱。
直後に爆薬が鉄条網一帯を吹き飛ばし、みごと突撃経路が啓開されました。
敵陣地への突撃を目前にして、後方からは74式戦車が登場。砲口をピタリと定めて立て続けに空包をお見
舞いします。轟音、白煙とともに周囲から砂煙が湧き上がり、やっぱり戦車砲は空包でも強烈。
そして74式戦車を先頭に、96式装輪装甲車も鉄条網を一気に突破。軽装甲機動車も敵陣地に雪崩れ込み、
車内から飛び出してきた小銃小隊が突撃開始。やられ役の隊員さんは隊員さんで第7普連スピリットを遺憾な
く発揮して、ここぞとばかりに地面に倒れ込んだり車両から滑り落ちるようにして死んだふりの名演技を競い
合っています。つくづく千両役者ですねえ、福知山の隊員さん達は(笑)。
見事奪還された陣地では連隊旗が堂々と掲げられていた様ですが、今いる位置からはよく見えなかったのが
ちょっと残念でした。
いやあ、以前に比べるとややシンプルな内容でしたが、隊員さん達は様々な制限の中で精一杯のものを見せ
てくれましたね。見どころの多い福知山らしい訓練展示に、会場からは大きな拍手が贈られました。
さてその後は、人の流れに乗って駐屯地へ移動。屋台広場は既に沢山の人で賑わっています。とりあえず偵
察がてら、屋台を一通り見て回りましょう。福知山駐屯地曹友会からは鬼軍曹ラーメン。1中隊は焼きそば、
重迫撃砲中隊はせせり塩焼き、格闘訓練隊はドーナッツ、普通科直接支援中隊は唐揚げ、本部管理中隊はうど
ん、3中隊はイカ焼き、5中隊はフランクフルト、4中隊はやきとり、2中隊は揚げタコ焼き。
あれ?今年は芋煮ないのか。あれ美味しかったのになあ。今年は例年よりも早い時期の開催なのであまり冷
え込んでおらず、むしろ午後からは暑い位。当日の気温と天候を読んだのでしょうか。来年は福知山らしい冬
の寒空の下、熱々の芋煮をかき込みたいものです。
とにかくどの屋台も凄い行列なので、ここは散開して各個適当な食料を入手し、会場片隅のプレハブ小屋の
前に集合する事にします。
さて、どの屋台に行こうかな。焼きそばは欲しいけどとんでもない行列だし・・・。あ、鬼軍曹ラーメンは
意外と空いています。先ずはここで腹ごしらえをしてしまいましょう。
程なくして出てきた鬼軍曹ラーメン。熱々のとんこつ醤油スープに丸断面のつるつる麺、大ぶりのチャーシ
ューに鬼のイラストが入った海苔がどんと乗っています。鬼軍曹ラーメンはもう福知山ではお馴染みですが、
今年も美味しいなあ。
これに青ネギがあればもう言う事なしですが、毎年頑なにそれを拒否している辺りが鬼軍曹のこだわりでし
ょうか。それとも鬼軍曹、もしかして青ネギきらいなの?なんかカワイイぞ。鬼軍曹の癖に。鬼軍曹の丼に青
ネギを山盛りにして涙目にしてやりたいですが、後で酷い目にあわされそうですね(笑)。
次はせせり塩焼きの屋台に向かいます。鶏の脂が炭火で焼けるいい匂いが漂っていて、こちらも結構な行列
になっていますが、テントの中では4つの大きな炭火コンロがフル回転しているので行列の消化は意外と早そ
う。うちわの風程度では到底追いつかないのか、隊員さん達は扇風機を手持ちにしてターボチャージャーの様
に炭火に空気を送り込んでいます。
「あと20sくるぞ!」
という伝令も実に頼もしいなあ。この人達は、今日一日で一体何十sのせせりと格闘するんだろう。
香ばしく焼き上がったせせり3人前を持って集合場所に戻り、SAA水兵さんとRSさんの入手した焼き鳥
とタコ焼きと合わせて男の屋台グルメが完成。揚げタコ焼きは熱々でカリカリ&フワフワ。焼き鳥の焦げた甘
辛醤油だれもたまらなく、やっぱり福知山は屋台までレベル高いなあ。
ふと見ると、屋台広場の隣では資材運搬車の体験試乗が行われていました。パッと見で元の姿が分からない
位にド派手に改造され、昭和のデコトラみたい。普段は地味で目立たない資材運搬車くんですが、今日はイギ
リス修行から呼び戻されていきなり虎のお面を渡された佐山サトルみたいな表情に見えました。
その後アトラクション会場に向かうと、おお、もう観客席が出来ていました。とりあえず3つ確保です。開
始時刻までまだ小一時間ほどあるので、今のうちに売店に行ってみましょう。
売店が入った駐屯地片隅の厚生センターも、やはりもの凄い人混み。糧食関連で特にこれといったネタもな
かったので、2階で行われている文化展を見に行く事に。今年も人気投票が行われていて、とても趣味で作っ
たとは思えない凄い出来栄えの作品もあれば、見ただけで膝の力が抜けそうな微笑ましい作品もあり、福知山
のカオスさに拍車をかけています。
その中で最優秀作品には、2中隊岡3曹のご令嬢ひなたちゃんの力作である、『お賽銭箱』を選出させて頂
きました。ちゃんとガランガラン鳴らす鈴までついていて、思わず100円入れてしまった可愛らしさを大き
く評価しての投票です。
あと本年度のSAS大賞は、駐屯地業務隊浮綱2曹のご令嬢雪那ちゃんが作った『私の水族館』に決定です。
これは海洋堂もびっくりの力作ですね。お休みの日に、パパに海遊館に連れて行ってもらったんでしょうか。
あー、私も昔こんなの作った記憶があるなあ。
ちなみに展示室内には投票結果の開票速報が発表されていて、まるでテレビの選挙特番を見ている様。こん
な楽しませ方もあるのか・・・と、福知山駐屯地の頭の柔らかさに感心してしまいました。創立記念行事に限
らず今年はこれをやろう、来年はこうしてみようという意見が日頃から活発に出て、それを常に吸い上げる土
壌があるんでしょうね。それにしても自分の子供の作品が上位争いしている隊員さんは、もう仕事そっちのけ
だろうなあ(笑)。
さて、まだ30分ほどあります。折角なので駐屯地資料館にも行ってみましょうか。これまで何度も行こう
と思っていたのですが、福知山は毎年内容が特盛りなのでなかなか見る時間が取れなかったんですよね。ゆっ
くりできる時間はなさそうですが、せめて資料館の空気だけでも味わう事が出来れば。
駐車場わきの坂道を登った所に、資料館はありました。風格に溢れたレンガ造りの門柱には歩兵第二十聯隊
と歩兵百二十聯隊の看板が掲げられ、この土地の歴史を感じさせます。
建物は古い隊舎を中途半端にリフォームした形で、古びた家屋独特のいい雰囲気を微妙に台無しにしている
風。ちょっと勿体ないですが、これは耐震性とか耐火性を考えると仕方のない事。貴重な展示物も多いですか
らね。
館内は自衛隊関連の展示、あと福知山の郷土史や旧軍関連の展示等。沢山の人達が静かに展示物に見入って
います。中でも私は南スーダン共和国への国連PKO派遣の展示に引きつけられました。現地には日航機をチ
ャーターして向かった様ですが、機長や乗務員の人達からの熱い激励や、無事の帰国を祈るメッセージが書か
れた沢山の色紙類が展示され、ひとつひとつをじっくりと見てしまいます。
仕事で日常的に海外の空気に肌を晒している人達にとって、国際貢献活動に汗を流しに行く自衛隊員の姿は
国内引き籠り組の私以上に頼もしく、そして誇らしく感じられたのでしょう。
またレンジャー発祥の地福知山らしく、山岳訓練で実際に使用される器材類も展示してありました。昭和と
平成のそれぞれを比較できるよう並べてある所が、これまた細かい工夫を忘れない福知山らしさです。
それにしても、小さな器材一つとっても昭和と平成では全く雰囲気が違うんだなあ。平成の山岳器材がギア
なら、昭和のそれは道具という感じ。ハーケンやピトンを打ち込むハンマーも、なんか古道具屋の店先に転が
ってそうな金槌なんですよね。
その他もじっくりと見て回りたかったのですが、そろそろアトラクションが始まる時刻です。残りはまた別
の機会に見に来るとして、後ろ髪を引かれながら資料館を後にします。
会場に戻ると、おお、もう始まっていました。中央では変なゆるキャラと赤レンジャー黄レンジャーもどき
が、お子様用安全啓発パネルと一緒にゆらゆらと踊っています。
「いかのおすし〜いかのおすし〜」
イカのお寿司?しかもそこに謎の老婆まで加わって、いきなりカオス全開の福知山。この後は一体どうなっ
てしまうんだろう・・・と思っていると、寸劇は以上で終了。
続いては、福知山酒呑太鼓が演奏を披露。MCを務める太鼓部隊長(太長?)は、演奏した後にハアハアと
肩で息をしながら酒呑太鼓の歴史を解説しています。一曲演奏するだけでもすごい運動量なんですね。
その後は第7普連音楽隊によるラッパドリル展示。午前中にやったものと同じですが、さっきは遠くてよく
見えなかったので有難いなあ。
そして格闘展示が始まりました。今年は怪しい集団演劇形式ではなく、3〜4名の組が入れ替わり立ち替わ
りで様々な状況での徒手格闘を披露する内容。午前中の式典の後に行われたものに比べてプロレスっぽい仕込
みと派手なアクションをふんだんに取り入れた、忍者ショーに近いエンターテインメント性の高い格闘訓練展
示です。
そんな中でも、要所要所に入り身投げや小手返し等の合気道っぽい要素が見られるのが興味深い。これは自
衛隊徒手格闘というよりも、福知山の格闘訓練隊の個性なのかなあ。
最後はやけに背が低い隊員が出て来て長身の隊員につっかかりますが、簡単に跳ね飛ばされてしまいました。
なんじゃこりゃと見ていると、背の低い隊員は怒った様に鉄帽を脱ぎ棄てます。あれ?あの人、女性自衛官だ
ったのか。
よく見ると、周囲の隊員さんがやけにニヤニヤしています。これは何かあるなと思ったら、長身の隊員が放
った緩い回し蹴りを捌いた女性自衛官が、ガラ空きの股間に金○蹴り(笑)。『ちーん』という悲しい効果音
が見事なタイミングで被さって、長身の隊員は吹っ飛んで悶絶。あいたたたたたたた。見ている私までヒィッ
ていうかキュッてなりました(泣)。
すかさず女性自衛官は笑顔で右腕を極めながら脇腹にガスッと踏み蹴りを入れ、
「怖かった〜」
としらじらしく怯えつつ、非常に恥ずかしそうな表情で退場。会場からは非常に微妙な失笑が湧きあがりま
した。うーん、なんか最後は姫路レンジャーみたいなノリだったなあ(笑)。
さらに先程から隣で死んだふりをしていた隊員さんがむっくりと起き上がり、金○を蹴られて伸びている隊
員さんの上を「うりゃ〜!」と叫びながら走って飛び越えます。そして突然立ち止まってくるりと振り向いた
後、再び何事かを叫びながら退場して行きました。何だったんだあれは(笑)。
それにしても、『ちーん』が入るタイミングの絶妙さには驚かされました。やっぱりあれ、課業終了後に何
度も何度も何度も何度も練習したのかなあ。さすが福知山と言わざるを得ません。女性自衛官は終始
「んもう!なんで私がこんな事を・・・(赤)」
と恥ずかしそうな表情でしたが、男は時として、カワイイ女の子にこういう事をやらせたがるものなのであ
ります(また引かれるな・・・)。美人に生まれ、福知山に配属されてしまった自分の運命を呪いな!
とりあえず、こんな内容なのに引き受けてしまった女性自衛官の人柄の良さが伺える格闘訓練展示でありま
した。
その後はエイサーが披露されました。毎年寒い福知山の隊舎の陰で行う沖縄舞踊に前々から違和感を覚えて
いたのですが、どうやら京都のお坊さんが編み出した念仏踊りが、沖縄に伝わってエイサーになったそうです。
なるほど、福知山がエイサーにこだわる訳が納得出来ました。
そして締めは、第7普連音楽隊による音楽演奏。最後の『妖怪体操第一』では一緒に踊ってくれるちびっこ
を急遽大募集して、どうにか10名ほどの志願兵を確保する事が出来たのですが、演奏が始まっても彼らはぼ
ーっと突っ立ったまま、全く踊る気配を見せません(笑)。
「こ・・・こんな筈では・・・」
音楽隊の人達の笑顔の裏にある焦りやうめき声が聞こえて来る様で、会場にはなんとも言えないトホホな雰
囲気が(笑)。うーん、一周回ってなんだか面白くなってきたぞこれ(笑)。
たまらず飛び出したトランペットの人が率先垂範とばかりに踊り始め、志願兵達もようやく本来の任務を理
解したのかアッパーに踊り狂い始めました。さすが福知山の第7普連音楽隊。まるで念仏踊りの坊さんが憑依
したぜと言わんばかりの、ソウルフルで熱い男のダンスでありました。
最後はほっとしたかの様な拍手が贈られ、福知山駐屯地創立記念行事は以上で全プログラムが終了。いやあ、
今年もあっという間だったなあ。その後は徒歩で臨時駐車場まで移動して、SAA水兵さんとRSさんとまた
の再会を約束し、福知山を後にしました。
で、ここからは真っ直ぐ帰らずに舞鶴に寄り道です。陽が落ちるまであまり時間はありませんが、折角日本
海側まで出てきたんですから、次の個人的舞鶴ツアーの下見というか、偵察を行っちゃいましょう。
そのついでに、以前から非常に気になっていた舞鶴の某所にも立ち寄る事が出来ました!この場所に関して
は、自衛隊とはまるで関係がない上にあまり一般受けするとは思えないのですが、ガイドブックや旅行記等で
は決して語られない舞鶴のもう一つの顔というか、自衛隊るるぶを目指す当S.A.Sとしては絶対に避けては
通れない場所でもあるため、後日改めて福知山のおまけという形で紹介したいと思います。
さて、次回はいよいよ2014シーズンセミファイナル。第13旅団未踏の地である山口県山口駐屯地に遠
征して参ります。以前からひそかに参加の機会を伺っていた駐屯地でもありますし、車中泊も久しぶりなので
すごく楽しみだなあ。
年内に呉か舞鶴に足を伸ばしたいところですが、果たして日程的に可能かどうか。それにしても、ついこの
間始まったと思った2014イベントシーズンも、もう終わりなんだなあ・・・と、感慨深い気分で舞鶴自動
車道をひた走る私でありました。
福知山のおまけ『舞鶴・ドライブインダルマ探訪』
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