護衛艦みねゆき体験航海        in舞鶴ちゃった祭

2012.07.28



    京都府の舞鶴地方隊で行われた、護衛艦みねゆきの体験航海に参加してまいりました。この体験航海は地元舞鶴
   商工会が主催する舞鶴ちゃった祭というイベントの一環として行われ、出港場所である北吸桟橋のある舞鶴地方隊は
   同日程で舞鶴サマーフェスタを開催しているため、この週末は護衛艦体験航海あり、北吸桟橋での艦艇一般公開あり、
   さらには舞鶴航空基地の一般開放もあり
という実に内容の濃い2日間となりました。生憎私は土曜日しか休めなかっ
   たので、1日でほぼ3つのイベントを回るという実に忙しいというか盛りだくさんというか、海自ファンとしては非常に美味
   しい週末
となりました。
    早朝に大阪市内の自宅を出発し、途中で軽い渋滞に巻き込まれながらも0750には舞鶴地方隊に到着です。いつも
   の舞鶴造修補給所ではなく山側にある舞鶴地方総監部敷地内のグラウンドに車を入れて、さて北吸桟橋の方へ向か
   います。
    途中にある歩道橋の上からは、ちょうど0800の自衛艦旗掲揚の様子を見る事が出来ました。本日乗艦させて頂く
   D124護衛艦みねゆき
の飛行甲板では真っ白な制服も眩しい隊員さん達が整列し、君が代ラッパに合わせて掲げられ
   ていく自衛艦旗を見上げています。


    夏の朝日をいっぱいに浴びたみねゆきはキラキラと輝き、いやー、今日のイベントはもう半分成功したも同然ですね!
   ここしばらく大雨だの濃霧だのに悩まされるイベント参加が続いたので、今日は嬉しいなあ。


    警衛詰所の隊員さんと挨拶を交わし、1年ぶりの舞鶴北吸桟橋へ。まず目に飛び込んで来たのが、本日湾内巡りを行
   う曳船92号。どうやら午前3回、午後3回出港するらしいのですが、午前は体験航海、午後からは航空基地も回るので、
   うまく時間をやりくりすれば最終の便に乗れるかな?曳船は大好きですし昨年は乗り損ねているので、なんとか万障お繰
   り合わせの上乗船したいものです。


    曳船の向こうには、DDG177護衛艦あたごのお姿が。今年は艦内一般公開はあるのかな?さらに奥に停泊している
   のは、DD114護衛艦すずなみ。2年前とは違って、潜水艦や補給艦のいない護衛艦中心のラインナップです。


    さてさて、とにもかくにも護衛艦みねゆきに向かいましょう。それにしてもやっぱりはつゆき型はカッコイイなあ。ここの
   所はるゆき、いそゆき、とはつゆき型護衛艦に恵まれていますが、いそ!はる!みね!と書くと、自然と妖怪人間!
   続けたくなりますね。


    抜ける様な夏の空をバックにしたみねゆきにしばし見惚れた後、乗艦券を提示してさっそくラッタルを上がります。この、
   狭いけど丁度いい圧迫感がはつゆき型の魅力と言えます。


    まだ乗艦受け付けが始まったばかりと言う事もあり、甲板にはさほど人はいませんね。前甲板の方では、出港時の甲
   板作業を担当する第一分隊の隊員さん達が整列し、若手の甲板士官からは本日の注意事項、万一の落水者発生の際
   の救助手順についての入念な確認
が行われています。


    ふと背後のアスロック発射機を見ると、なにやらあちこちに妙なものがついています。このネジの尖端についている小
   さな赤いキャップって・・・お魚さんの醤油入れのキャップ・・・ですよね?傍にいた隊員さんに尋ねてみると、
    「ええ、そうです、魚の醤油のアレです。ネジの溝の所にゴミが溜まらない様に、こうしてるんですよ」


    なんという生活臭いアイデア!レタスクラブにでも紹介されていたのでしょうか(笑)。潜水艦を一発で撃沈できるアスロ
   ックの発射機にはあまりにも不似合い
ですが、面白いなあ。こんなの初めて見ましたよ。


    煙突の裏手には溺者救助訓練用のお人形が置いてありましたが、その佇まいと言うか、背中に漂う哀愁が堪りません。
   額を煙突の壁に押し付けて、昨夜のデートでの大失敗を思い出して落ち込んでいる様に見えます(笑)。膝から下の斜め
   具合
も素晴らしい!なんだかちょっと話を聞いてやりたくなる様な、そっとしておいてあげた方がいい様な・・・。


    そのすぐ上には艦対艦ミサイルハープーンがどんと構えていて、どいつもこいつも一発で沈めてやるぜと言わんばかり
   の頼もしさ。それよりこの、説明ボードにあるみねゆきクイズというのは何なんでしょうか。Aハープーンだけに8分
   て・・・。


    すぐ隣の三連装短魚雷発射管の説明には
    『速力:イルカより速いはず
    とか書いてあるし。みねゆきの隊員さんはなんだか楽しそうだなあ(笑)。


    艦尾のシースパロー甲板に出ると、すぐ目の前を水中処分隊の複合艇が走っていました。お祭り会場を海からパトロ
   ールしつつ、この後のみねゆき出港に備えて海面に浮いている流木などのゴミを回収してくれています。


    飛行甲板。日差しはもうキツくなっていますが、海風が吹いていて気分がいいなあ。これぞ夏の体験航海!と言う感じ
   です。ここでシースパロー甲板が舫い作業のためにクローズ。おお、いよいよです。体験航海は昨年9月の呉地方隊展
   示訓練以来
なので、ワクワクしてきますね。


    そして曳船が2隻やってきて、みねゆきの出港準備が始まりました。艦首と艦尾にはりついた曳船が、みねゆきに舫を
    渡します。
後甲板では赤白の旗がついた棹を隊員さんが操り、舫の状況を艦橋に知らせています。


    桟橋のボラートに固定していた舫が放たれ、みねゆきはゆっくりと動き始めました。甲板には舫い作業を終えた隊員さ
   ん達が整列し、一斉に帽振れ。
よく見るとペトリオットの展示でやってきた空自の隊員さん達も、笑顔で帽振れを返してい
   ます。ノリのいい人達ですねえ。


    湾内巡りの乗船者をてんこ盛りにした曳船の横をゆっくりと通り過ぎ、みねゆきはあたごの左舷を通過。飛行甲板にい
   た隊員さん達も、作業を中断して手を振ってくれています。
真っ黒に日焼けした顔と白い歯のコントラストが、実に印象的。
   徐々に遠ざかるあたごの艦橋を見上げていると、その間を先程の水中処分隊の複合艇が一気にすっ飛んで行きました。


    そしてすぐ右手に見えて来たのが、今年3月に退役した護衛艦はまゆき。艦首のハルナンバーは消され、76o速射
   砲やレーダー類を取り外されたその姿はなんとも痛々しいですが、課せられた任務を全うした者だけが持つすがすがし
   さ
のようなものも漂わせています。
    奇しくも私がはまゆきに初乗艦したのは、2年前のここ舞鶴。舞鶴で出会い、舞鶴で見送る艦か・・・。今まで本当にお
   疲れさまでした、と、心の中で敬礼。


    左舷の方角には、第23飛行隊が所在する舞鶴航空基地が見えて来ました。エプロンにはSH−60哨戒ヘリがずらり
   と並び、機付員がとりついて朝イチの体験搭乗の為の点検整備が始まっています。今日は天気がいいので、体験搭乗
   はさぞかし気分がいいだろうなあ。


    このまま舞鶴湾の風景を眺めていたかったのですが、僅か2時間足らずの体験航海、あまりぼーっとはしていられませ
   ん。
艦内を歩き回って色々見てみましょう。
    みねゆきは油の様に凪いだ舞鶴湾を、6Kt(約10q/h)でしずしずと航行。呉地方隊のお膝元である瀬戸内海の風景
   も美しいですが、舞鶴湾は人気が少ないだけに、ぐっと落ち着いた雰囲気ですね。


    艦首に向かうと、救命胴衣着用についての説明が行われていました。先任バッジも眩しい快活そうな曹長さんが、
    「この救命胴衣をしっかりと着用することで、万が一の事故で漂流した場合も、8割の人は生き残れるというデータが出
   ていまーす!」

    このべた凪なら心配なさそうですが、念のためにしっかりと聞いておきましょう。
    「ちなみに残りの2割は、死にまーす!」
    いや、それは言わなくても分かりますが・・・なんとも直截的な説明の曹長さんであります。


    また、車のシートベルトをしていない時の罰金は1万5千円ですが、海でこの救命胴衣の用意を怠った場合は、なんと
   万円
も取られるとの事。いちいち言う事が生々しい曹長さんですが、海の上で命がけの仕事をしている人達ですから、こ
   れ位が当たり前でいいんでしょうね。
    穏やかに広がる舞鶴湾。あちこちにお椀を伏せた様なこんもりした小島が浮かんでいます。あー、あの島ひとつ欲しい
   なあ。
水とテントと食料を持ち込んで、日がな一日ビールでも飲みながら行きかう船をぼんやりと眺める事が出来たら・・・
   最高だろうなあ・・・。


    右舷通路から艦内へ。ラッタルを2層あがるともう艦橋です。艦橋に上がるまで5層もラッタルを昇らないといけないイ
   ージス艦に比べると、嘘のように可愛いはつゆき型ですね。
    艦橋はそれほど混雑してはいませんが、狭い航路を進んでいるので詰めている隊員さん達の間にはピリピリした緊張
   感が漂っています。
それでも開け放した窓からは潮風が吹き込んで来て、実に快適だなあ。


    左ウイングに出ると、少しモヤってはいるものの、海も空も陸の緑も実にきれい。そりゃこんな風景を眺める事のできる
   仕事についたら、陸の仕事なんてやってられませんね。日頃のいろんなストレスやモヤモヤが吹き飛んでしまいそう。


    ここで前甲板がクローズされ、武器操方展示が始まりました。眼下の76o速射砲が、くるくると回りながら軽快に砲身を
   振り回しています。
先週阪神基地隊で見た護衛艦いそゆきの76o速射砲は、激しい雨に打たれてじっと我慢の子でした
   が、今日の76o速射砲はテンション高そうで何より。


    その後艦橋を降りて艦内に向かうと、ラッタルの所でヘンな人を発見。化学防護衣耐火服に身を包んだ隊員さんが、
   艦内のあちこちを練り歩いて回っていました。それにしても海自艦艇で見る化学防護衣というのは珍しいなあ。一枚撮影
   をお願いすると、先に行っていた耐火服の隊員さんをわざわざ呼びとめて、ガッツポーズを決めてくれました。
    ちなみにこの化学防護衣はみねゆきの装備品で、陸自だけでなく護衛艦にも搬入されているそうです。


    続いては機関室へ。室内にいた隊員さんも親切な人で、色んなパネルのランプを点灯させて説明してくれました。
    それより、この室内のあちこちにある萌え萌えイラストが気になるんですけど・・・。今や陸海空どの部隊に行ってもこの
   手の掲示物は珍しくなく、実にいまどきのニッポンの軍隊!という感じであります。


    科員食堂。おお、ここは特に涼しいなあ。今日は見学者のために冷房キツめなんでしょうか。直射日光に晒される甲
   板から逃げるようにして、ここを根城と決め込んでいる人達も多い模様。
    先任海曹室。ここにも先任海曹の役割についての説明パネルがあり、映画『亡国のイージス』の一場面が切り取られ
   ていました。そして例によってみねゆきクイズも健在で、

みねゆき先任伍長は仙石曹長よりもカッコイイ?
@もちろん  Aいいえ  B微妙・・・

みねゆき先任伍長を探してみよう

    って・・・(笑)。まあここは、@って事にしておきましょう。こういうノリの掲示物から察するに、みねゆき艦内の風通しは
   なかなか良さそうですね。
それにしても、この説明パネルを見た先任伍長さんはどんな顔をしたんでしょうか(笑)。


    冷房の効いた涼しい艦内から後甲板に出ると、すっかり高くなった太陽と吹きわたる海風。絵に描いた様な夏の海
   すね。当選できて本当に良かったなあ。ここでみねゆきは180度回頭。体験航海ももう折り返し地点を過ぎ、朝出発し
   た北吸桟橋に戻るコースにつきます。


    その後は前甲板にてのんびりと舞鶴湾の風景を眺めているうちに、再びみねゆきは小島の浮かぶ狭い航路に差し掛
   かります。安全のために大きな汽笛を鳴らす際には、隊員さんがメガホンを持ってその旨を知らせて回ります。
    艦尾方向上空からは、2機のSH−60哨戒ヘリがやって来ました。体験搭乗の帰りなのでしょう。みねゆきの上空をゆ
   っくりと旋回してから、目の前の航空基地の滑走路に軽々とランディング。これは丁度いいタイミングでしたね。今日はツ
   イてるなあ。


    そしていよいよ北吸桟橋が近づいて参りました。あー、もう終わりか。あっという間なんですよねえ、体験航海って。
    ここで朝方港内を警備していた3艘の複合艇がジェットストリームアタックの如く接近してきて、体験航海を終えたみね
   ゆきをお出迎え。甲板にいた隊員さんによると、
    「あいつら水中処分隊なんですけど、もう本当に狂ってますよ。共同訓練で米軍がついて行けなかったレベルの訓練を
   フツーにやってますからね」

    との事。狂ってる、と大胆に言い放ちながらも、どこか身内を自慢している様な口調が頼もしいですね。


    そして曳船がやってきて、入港準備開始。湾内巡りの乗船者でいっぱいの曳船もやって来て、目の前で華麗にフルタ
   ーンを決めて見せています。
武骨極まりない曳船ですが、まるでフィギュアスケートの演技を見ている様。カッコイイなあ。
    桟橋では、呉音楽隊軍艦行進曲でお出迎えしてくれました。


    この後はシャトルバスに乗り込み、舞鶴航空基地へ移動。車内の冷房がガンガンに効いていて、実に快適ですね。緑
   豊かな舞鶴湾をバックにした航空基地に行くのも2年ぶり。シャトルバスは坂道を軽快に走って短いトンネルを抜け、一
   路舞鶴航空基地へ。午後からの舞鶴サマーフェスタに続きます。




午後編 舞鶴地方隊サマーフェスタ2012に続く
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