福知山駐屯地創立60周年記念行事   (第2部)

2010.10.31



    という訳で、福知山駐屯地創立60周年記念行事レポートの第2部です。第1部の終わりであれほど注意したにもかかわらず、
   わざわざ見に来たモノ好きな方には申し訳ありませんが、あの当日の狂気と惨状は、私の未熟な写真と文章では到底表現し切
   れない事を、あらかじめお断りしておきますね。

    で、福知山ミュージカルです。どうやら映画『007』シリーズを下敷きにしてあるらしく、『007』『7』は、第7普通科連隊の『7』
   のつもりで見てほしいとの事。演じるのは第3中隊の面々らしいのですが、果たしてどの様なミュージカルなのでしょう。後出しじ
   ゃんけんみたいで気が引けるのですが、正直言って、この時点でちょっとだけ嫌な予感がしていました。
    映画『007』の例のBGMが流れ始め、会場左手からはコンパクトカーがゴロゴロと前進してきました。よく見ると車体には『ジャ
   ガー』『007i』
と書いてあり、のっけから脱力感満点です。その横では実にわざとらしい黒子がなにやら小道具の準備をしていて、
   徐々に怪しげな雰囲気が充満してきました。
    これは何かあるな、と私の中の『ヘンなもの探知レーダー』が鋭い反応を示したので、すかさずボイスレコーダーを録音しっ放
   し
にしておきます。
    ジャガーの後部座席からは、これまたわざとらしいヅラを被ったスーツ姿の男が降りて来て、
    「ミナサーン、コンニチーワ!ジェームズ・ボンドデース!」


    ちなみにスーツの胸元には、『ショーン・コネリー』と書いた名札が縫い付けられています。
    「マズ、ワタシノパートナーヲショウカイシマース!ボンドガールノ、キャサリーンデース!」


    ジャガーの後部座席からは、何と言うか、私が今までに見たボンドガールの中では文句なしに最底辺レベルのボンドガール
   出て来ました。観客からは、悲鳴失笑が沸き起こります。
    ここで2人が乗って来たジャガーは退場しますが、運転席の隊員さんがすごく普通の表情をしていたのが余計に笑いを誘いま
   す。えーと、これがこの人達にとっては日常風景なんでしょうか?ま、まさか…ねぇ。
    「ソレデハ、イマカラハジマリマース!ソノマエニ、オヤクソクノオープニング、イキマスネ!」


    ここですかさず黒子が用意したぺらぺらのパネルの穴に向かって、銀玉鉄砲を構えるボンド。拍手と爆笑が渦巻く中、いよい
   よ福知山ミュージカルの始まりです。ボンドはツカミに対する上々の反応に気を良くしたのか、手を振りながら
    「アリガート!」
    続いて悪役らしき2人の登場です。この寒い中どちらも上半身裸で、下が道着姿の方を悪役1号作業ズボン姿の方を悪役2
   号
、と便宜的に名付けておきます。まずは悪役1号が、
    「お前が007か!お前らが俺達2人に勝てると思ってるのか!?」


    ここで1号は威嚇のつもりなのか、背中に入れた刺青を見せつけますが、なんだかどおくまんが描いたキリンの腐乱死体み
   たいな絵柄
です。よく見ると漢字で『龍』とありますが、多分彫り師の方も出来上がりに自信が持てなかったので、サービスで
   彫ったのでしょう。


    「イクゾ!キャサリン!」
    しばし睨みあう4人。そしてまずは、ボンドvs悪役2号の対戦です。
    「こいつには、どんな武器も効かない!」
    と豪語する悪役1号。ボンドはスーツの胸元からドスを取り出し、
    「オレガアイテダ!コノナイフデ、オマエヲクシザシニシテヤル!!」


    そしてうすら笑いを浮かべる悪役2号の胸元に、
    「エイ!」
    とドスを突きたてるボンド。しかし悪役2号の鍛え抜かれたボディには、全然通用していません。


    「ナカナカヤルナ!」
    悪役2号はボンドの攻撃を鼻で笑いつつ、人差し指を立ててもう一度やってみろ、と余裕のアピール。ボンドはドスを構えなおし、
    「ココハドウダ!エイ!」


    と、悪役2号のメラニン色素が沈着した右乳首をピンポイント攻撃。今度はちょっとだけ反応する悪役2号。ボンドは悔しそうに
   悪役2号の左腕を持ち上げ、
    「ツギハ、ワキダ!・・・ナンカニオウナ・・・」
    と言いつつ、ドスの先端を悪役2号の左脇部にぐりぐりと擦りつけ、おもむろに悪役2号の鼻先へ。
    「ホラ、ニオエ!」


    途端に自分の脇の悪臭でのけぞる悪役2号。調子に乗ったボンドは悪役2号のみぞおちにドスを突き立てますが、涼しい顔で
   跳ね返されます。
    「ココモキカナイ・・・デモ、ココナラキクカモシレナイ!」 
    と言いながら、今度は悪役2号の股間を攻撃するボンド。悪役2号が
    「ああっ!」
    と叫びながら股間を押さえると、会場は大爆笑。


    「チョット、キイテイル!」
    うーん、すごく面白いんですが、この人達、本当に007を見た事があるんでしょうか…?
    ここでボンドはドスによる攻撃を諦め、おもむろにスーツの袖を捲り上げます。
    「コンドハ、コレヲツカウ!」
    と言いながら、黒子の用意したクーラーボックスに手を突っ込み、取り出したのはなんと活けタコこの後の展開が何とな
   く読めた観客からは悲鳴と爆笑が湧きあがります
が、そばにいたキャサリンだけは状況が全然分かっていないらしく、くねくねと
   ヅラの毛先をいじくりながら、
    「ネェー、ワタシコンド、ストレートパーマアテヨウカトオモウンダケドォー」


    しかしボンドは、キャサリンのボケをさくっと無視。
    「コノタコデ、オマエヲヤッツケル!」
    そして活けタコを悪役2号の坊主頭に載せるボンド。なんかもう、どっちが悪役なのかよく分からなくなってきました。


    しかし活けタコはボンドの手に吸いついたまま離れようとせず、苦しくもボンドvs活けタコ、という実にマヌケな戦いが展開され
   ます。
    「ハ、ハナレナイ!」
    何とか自分の手から引きはがした活けタコを、今度は手こずりつつも悪役2号の胸板に貼りつける事に成功したボンド。会場
   からは温かい拍手がボンドと活けタコ、悪役2号に贈られますが、いつの間にやら観客までおかしくなってしまった模様です。


    そしてボンドは悪役2号の胸板からタコを引きはがし、股間を指さして
    「コイツハ、ココガヨワイトミタ!キャサリン、オープン!」
    すかさずキャサリンが悪役2号の背後に回り込み、カチャカチャとズボンのベルトを緩めます。ちょっと待て、マジでやるのかよ!
   といった表情の悪役2号。会場からは、もうこの日何度か目の悲鳴と爆笑が沸き起こります。
    キャサリンは悪役2号のズボンを広げ、準備よし!の合図。しかしボンドは、心底楽しそうな表情で、
    「キャサリンチガウ、モット、ナカ」
    ボンドの意図を敏感に感じ取ったキャサリンは、悪役2号のパンツを広げます。悪役2号の全身に立った鳥肌が見えるかの様。
    「コノタコハ、アトデミンナデタベル!」
    食うのかよ!まあ、それで正しいんですけど。すかさず悪役2号のナマ股間に活けタコを突っ込むボンド。


    「あーっ!ああーっ!(汗)」
    「ドウダ!」

    いや、どうだって言われても(笑)。悪役2号は股間を押さえながら苦悶の表情を浮かべていますが、見ようによっては今まで経
   験した事のない耐え難い快感を相手に、必死で戦っているようにも見えます
。しかしこれは可哀そう過ぎます。タコが。


    結局悪役2号はボンド…いやタコによって倒され、今度は悪役1号が出て来ました。
    「タコなんかにやられやがって!次は俺が相手だ!お前か!俺の相手をするのは!」
    「イヤ、ツギハ、キャサリーンダ」


    しかしキャサリンはなんだかすごく嫌そう。その間にまたしても黒子が登場し、あやしげな小道具を用意します。悪役1号は急
   に不安そうな表情を浮かべ、
    「何だそれは!ちょっと待て!打ち合わせと違うぞ!」
    ボンドが嬉しそうに取りあげたスーパーの買い物カゴには、ロープ鼻フックがついていて、
    「ココニペットボトルヲイレテ、ドチラカガサキニ、ギブアップ!」


    悪役一号は血相を変え、
    「何だそれは!さっきのタコの時もだけど、リハーサルと違う事をするなよ!」
    「リアルガ、イイ」

    と、訳のわからない事を言うボンド。キャサリンはやっぱりすごく嫌そうで、もう帰ろうとしますが、それを見たボンドは
    「キャサリン!モットマエヘコイ!モウアキラメロ!」


    なおも嫌がるキャサリンを尻目に、悪役1号は鼻フックを付けた鉄帽を何故かいそいそと装着。しかしこれは酷いなあ(笑)…
   と思いながら撮影していると、悪役1号が突然私の方に向かって、
    「ちょ、ちょっと、一眼レフは勘弁してくれ!写りがよすぎる」


    会場は大爆笑。ああ、上島竜兵の『押すなよ!いいか、絶対に押すなよ!』ですね。了解であります。それにしても笑いが止ま
   りません。さっきからずっと腹筋プルプルです。デジカメの手ぶれ補正機能が、これほど有り難いと思ったのは初めてです。
    双方の鼻フックの準備が整い、ボンドはまたしても心の底から楽しそうに、
    「マズハ、イッポンメ!」
    鉄帽の後に回した買い物カゴに、ペットボトルが入れられます。途端にのけぞるキャサリン。


    「キャサリン、ガンバーレ!」
    一方悪役1号の方は、流石に余裕の表情です。
    「ニホンメ!」
    またしても悶絶するキャサリン。しかし悪役1号は、普段からこんな事ばかりやっているのかまだまだ余裕で、
    「ちょっとそこ!できれば写メールもやめてくれ!」


    「サンボンメ!」

    ボディコンのワンピースから突き出た太い脚をぐわっと開き、必死に苦痛に耐えるキャサリン。悪役1号の方も、だんだん余裕
   が無くなってきました。
    「ヨンホンメ!」
    先程タコプレイを満喫していた悪役2号がいつの間にかやってきて、何故かボンドの助手になって楽しそうに1号のカゴにペッ
   トボトルを入れています。そしてキャサリンの限界が近づき、もはや泣いているのか笑っているのかよく分からない表情に。そし
   て、一番楽しそうなボンド…。どう見ても、悪役コンビよりも性格が黒そうです。


    「ゴホンメ!」
    ここで悪役1号は堪らずギブアップ。両手で鼻を押さえ、涙目になりながら
    「こんなのがYOU TUBEに流れたらどうするんだ!いいか、流すなよ!」


    と捨て台詞を残し、悪役2号と共に逃走です。逃げ込んだ隊舎の窓に『オムツ交換所』とあるのも、なかなかイカスなあ。
    それにしても、まさかまさかのキャサリン大逆転勝利です。観客からはもう疲れ切ったかのような拍手が送られますが、キャ
   サリンが支払った代償はかなり大きかった模様で、
    「キャサリン、ダイジョウブカー?ハナ、モゲテナイカー?」
    キャサリンは鼻を押さえながら半泣きの表情。
    「ウレシクテ、ナイテイルノカー?」


    その後は勝利を祝し、2人で喜びのダンス。何かもう、違法ドラッグでバッドトリップに陥った時って、こんな幻覚を見るのかな
   あ…という光景
が繰り広げられています。途中からはエグザイルのマネまで始めましたが、2人のローリングが完全にシンクロ
   しているので、一体何がしたいのかサッパリわかりません。


    最後だけ007らしく、情熱的なキスで締めくくり。それにしてもこれ、誰か止める人はいなかったんでしょうか。
    しかしキャサリン、なかなかパンチラを披露しませんでしたね。まあ、見てくれと言われても御免ですけど。やはりそこは公務
   員として、健康で文化的な最低限度のモラルだけは守り通したのかもしれませんが、何かもう既に、いろいろと手遅れな気が
   するなあ。


    ここでBGMがマイムマイムに切り替わり、先程の悪役コンビがオムツ交換所から鈴を鳴らしながら飛び出してきました。そし
   て舞台中央でボンドとキャサリン、黒子と一緒になり、鈴を鳴らしながら曲に合わせてダンスを始めます。一体何なんでしょうこ
   の光景は。どこの○○○○のお祭りなんでしょうか。


    曲に合わせて一人ずつの紹介が行われ、名前が呼ばれる度にそれぞれがダンスを披露。腋下の剛毛を振り乱し、くねくねと
   セクシーダンスを踊るキャサリンが圧巻です。
途中でボンドがちょっかいを出した所為で右側の偽乳がズレてしまい、なんかも
   う色々と酷い事になっています。


    最後は観客に向かって礼。いやー、一ヶ月分の笑いを10分間で消費してしまった様な、凄まじい腹筋破壊ミュージカルでした。
   と言うか、一体どの辺がミュージカルだったんだろう。よく考えたら私はミュージカルと言うものをちゃんと見た事が無いのですが、
   劇団四季とかは絶対こんな感じじゃないと思う…。


    まあこの様子では、多分来年はこれは無いでしょう。そう言う意味では、すごく貴重なものを見せて貰えました。しかし、狂って
   るのは姫路レンジャーだけじゃない
んですねえ。確かに姫路レンジャーも大爆笑ですが、あちらはちょっと笑いのベクトルと言う
   か方向性と言うか、バックボーンが違うような気がします。
    姫路のお笑いは、レンジャー教育課程で培われた知識と技術、体力、精神力に裏打ちされた狂気だったのに比べ、福知山の
   お笑いはピュアでプレーンでナチュラルな、むき出しズルムケの狂気ですね。いやはや、とんでもないものを見せて貰いました。
   素晴らしい基地…いや、駐屯地GUYでした。
    と言うか、このミュージカルが始まるまでは凄くいい雰囲気だったんですよね。冷たい雨が降る中、懸命に自分のメッセージを
   歌にのせて表現していた21歳の女の子
や、演技中止のところを観客の為に出来るだけのパフォーマンスを見せてくれたパイレ
   ーツの皆さん
の姿を見て、何と言うか、俺も明日からがんばろうと言うか、仕事や日常生活のモヤモヤがリセットされた様な気分
   だったんですよ。そこにこの、地獄で見る様なミュージカルです。せっかくリセット出来た気分が、リセット前に再リセットされてし
   まいました。
もう何もかもが『これでいいのだ』という、バカボンパパみたいな気分ですよ、はっきり言って。第3中隊の皆様には、
    「俺のリセット返せ!」
    と、声を大にして言いたい気分であります。


    その後は、レンジャー訓練展示です。6階建て隊舎の4階部分に立て籠ったゲリラに、屋上と地上に分かれて配置されたレン
   ジャー突撃支援班が接近。屋上から下ろされたロープを伝い、音を立てずに4階部分に近づきます。


    その気配に気づいて窓に近づいたスクリームのお面を、向かい側の隊舎屋上に隠れていた狙撃班が見事排除!その瞬間、
   スクリームのお面の額から火花が飛び散り、白煙を吹きながら倒れ込みます。へー、小技が効いてますね。


    間髪いれずに屋上から2名の突入隊員が懸垂降下、いったん壁を蹴って、大きく反動をつけてゲリラが立て籠もる4階の窓
   に飛び込みます
。室内では銃撃戦が始まり、窓からは『祝 福知山駐屯地60周年』の垂れ幕が降りて来て作戦成功。突入部
   隊のガッツポーズ
でレンジャー訓練展示は終了です。いやー、僅か5分だけでしたが、見応えのある訓練展示でした。次はもっ
   と時間をかけて、色々見たいですね。


    最後は福知山駐屯地の有志によるエイサーの演舞が行われました。
    隊舎の中の静かな所を探し、先程のミュージカルの音声がちゃんと録音で来ているかどうかチェックしますが、隣のおばちゃ
   んの馬鹿笑い
だけが入っていて、雑音も酷くなかなか聞き取れません。従って劇中のセリフ等は撮影した画像を見ながら記憶
   を頼りに書き起こしたのですが、概ねあんな感じだったと思います。
    隊舎を出た所で、先程の黒子さんとばったり遭遇。声をかけると、いろいろと気さくに教えて頂きました。とりあえずWEB名刺
   を渡し、レポさせて貰いたいんですがいいですかと尋ねると、莞爾と微笑みつつ、
    「ええ、どうぞどうぞ、もう書きまくってやって下さい」
    との事でした。
    という訳で、このあたりで福知山駐屯地を後にしました。天候はかなり綱渡り状態でしたが、来て良かったですね。観閲行進は
   見応えがあるし、訓練展示は福知山ならではのパワーが感じられて素晴らしかったです。午後からのアレは、もう筆舌に尽くし
   がたいものがありました
し、つくづく途中で帰らなくて良かったと思います。来年も、是非とも参加したいなあ。
    それにしても、返す返すも前代未聞の強烈なインパクトでしたね、あのミュージカルは。恐らく、普段は自らを厳しく律し、心身
   ともにストイックに鍛え抜いている人達だからこそ、あそこまで常軌を逸したハメの外し方ができるのでしょう。その振り幅の強烈
   さが、福知山駐屯地、引いては自衛隊という巨大組織の人材の層の厚さを表しているのでしょうし、私を含めてそこに魅かれる
   人が多いと言えるのだと思います。

   …とまあ、取ってつけた様なあまり心のこもっていないフォローを平気で出来てしまう自分に、ちょっと虫酸が走ってしまいました。

    さて、来週はいよいよ2010イベントシーズン最終戦となる、兵庫県姫路駐屯地創立記念行事に参加です。姫路と言えば、
   派手なFH−70榴弾砲の撃ちまくり
と、あの強烈な姫路レンジャー訓練展示です。今年もレンジャー駒井は色々やってくれるの
   でしょうか?とりあえず、最終戦はカラっと晴れた高い秋空の下で楽しみたいなあ…と思いながら、土砂降りの舞鶴自動車道を
   大阪に向けて車を走らせました。




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