■「横浜税関取材記」                    平成24年1月31日

 横浜市民ギャラリーのボランティア【広報チーム】が、広報誌ボランティア通信に記事を掲載するために横浜税関を訪問し取材を敢行した。

 以下は私の感想ですが、取材をして改めて横浜の近代史を学ぶことが出来、大変有意義な企画だったと思う。機会があれば、その他の場所や施設にも出かけじっくり話を聞きたいと思う。どなたか一緒に回りませんか? 連絡を頂ければ幸いです。

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□ 「横浜税関取材記」

 横浜港を散策された方であれば、横浜税関の役割はもとより、それが「キング(神奈川県庁)」、「ジャック(開港記念会館)」と並び称される横浜三塔の一つ「クイーン」で、文化財としても価値が高い歴史的建造物であることをご存じのことと思います。 私たちも1月31日に取材させていただく前までは、人後に落ちない「ご存じ」を標榜する横浜散策者の一員だったのですが、それが余りにうわべだけのことで、知ったかぶりにすぎなかったことに気付かされたのです。皆様方の中にはこのような方はおられないかと思いますが、もしかしてと思い、余計なお世話の筆を執った次第です。

 当日は、当税関の広報室長松野様にご対応を頂きました。謹厳で厳格なイメージに支配されていた頭が、室長の解説にバリトンの響きを聴いた時、メルトダウンしてしまいました。その第一楽章は、東日本大震災の影響を受けた横浜税関管内の苦労に満ちた話でしたが、外からは窺い知れない横浜税関の世界へ引き摺りこむイントロの響きは絶妙でした。そして第二楽章では、税関開設当時の先人の苦労や先見性の話が用意されていました。 改めて覚えた、先駆者の国を支える誇りへの感動が本楽章を貫いていました。

 第三楽章は、7階のテラスから3階(旧税関長室、旧貴賓室)への館内ツァーに変調しました。本テラスから見た、雄大に広がる横浜港や街並みは絶景につきましたが、それが、過去に思いを馳せ、未来へ繋げるパノラマに重なって見えた時、「クイーン」の頭頂がシンフォニーのクライマックスを象徴していました。山場が3階の旧税関長室に転調したとき、バリトンの響きは最高潮になりました。70代をこえる歴代関長の写真には連綿と繋がる横浜税関のプライドが見えました。彼のマッカーサがGHQの拠点とした席の前に立った時、歴史の悲哀を感じないわけにはいきませんでした。

 知ったかぶりに過ぎなかったことを思い知らされ、横浜税関への興味が一段と高まった時に最終楽章が始まりました。それは今まで知らなかったことにさらに拍車をかける話でした。歴史の節目を象徴する事件や伝説、横浜税関のテリトリや東京税関との葛藤、「クイーン」に関わる秘話、そして税関ならではのエピソード等々質疑応答を交えた観客参加の第四楽章は、横浜税関にひと際興味を高めさせるフィナーレとなりました。

 余計なお世話を綴りましたが、もしかして参考になったのでしたら幸いです、是非訪れてみてください。きっと『女王』が両翼を広げて歓迎してくれることでしょう。ただし、非公開部分(旧税関長室、同応接室、旧貴賓室、7階テラス)への入場は毎年、税関記念日(11月28日)前後の休日にしか入場できませんとのことですからご留意ください。
                                              以上

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