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ヘルムホルツ共鳴器について

ヘルムホルツ(H.L.F.von Helmholtz)は19世紀ドイツが生んだ偉大な物理学・生理学者として有名です。
この共鳴器を発明した訳ではなく、その偉業ゆえに彼の名を冠したものになります。ヘルムホルツコイルも同様になります。

ヘルムホルツ共鳴器は密閉容器とそれに接続されたダクト(片側が開放端になる)から成る共鳴器になります。ビール瓶や日本酒の瓶の注ぎ口に唇をつけて息を吹き込むと「ボー」っと音が共鳴しますが、これがヘルムホルツ共鳴器そのものです。
バスレフレックス(通称バスレフ)もキャビネットとダクトの関係がヘルムホルツ共鳴器と同じですが、ダクトから息を吹き込むのではなく、キャビネットに取り付けたユニットが息を吹き込むのと同じようにキャビネット内の空気を加振することでダクト内の気柱との共鳴が生じます。
加振源が密閉容器とダクトのどちらにあっても、共振現象は起きるということです。

PDF本編では、バスレフの仕組みやダクト共振周波数がどのように求められたかを数式で示しています。
周波数領域で考えた場合、バスレフは低域補強に有効な方法ですが、別名「位相反転方式」と呼ばれるように正面放射音波とダクトから放射される音波の位相差により波面の干渉が生じ、結果として時間領域での不整合(歪)が生じてしまいますので、PCシミュレーションによってダクトの位置を位相が整合するように工夫する製品も増えてきています。

pdfファイル:  『ヘルムホルツ共鳴器』

波動について

波動というと、漢字の意味からは「波が動く」となりますが、その波の動き方には縦波と横波があります。
縦波は進行方向の前後に振幅が生じるために別名「粗密波」と呼ばれ、波の進行方向に対するエネルギーの密度変化が伝わっていくものです。
イメージしにくいかもしれませんが、何百もの「らせん構造」が連なったバネのおもちゃを想像してください。両端を手で持って片方を揺らした時に、バネの密な部分が順次伝わっていくのが見られますが、それが粗密波です。(密な部分の次には疎な部分が続きます)
それに対し、横波は進行方向に対して直角方向のみに振幅を持つもので、電磁波と固体媒体内に存在するものです。
したがって、通常、私たちが音楽を聴く環境では、縦波のみが存在すると考えられます。

熱の伝播方法には、炭火や赤外連ヒーター、太陽の日差しなどによる「輻射(熱放射)」、鍋などを火で温めた場合の「熱伝導」、温度差による「対流」の3種類があります。
それぞれ、輻射は電磁波による熱エネルギーの伝播(媒体によらず真空でも伝わる)、熱伝導は物質を構成する原子や分子の格子構造の振動伝播や自由電子の移動によって順次伝わる現象(形状変化を伴わない)、対流は空気中の分子が熱エネルギーを持ったまま移動することによるものになります。

音の伝播についても2種類あり、媒体を構成する粒子の移動無く振動エネルギーのバケツリレーを行う「伝導」と、媒体を構成する粒子の圧力差(粒子の相互位置移動を伴う)による伝播「粗密波」になります。
以下のPDFでは、この2つの違いについて説明しています。

また後半では、音の回折についてバッフルステップ(バッフル端面の回折と干渉:2次放射による)を例に説明しています。

pdfファイル:  『音響エネルギーの伝播』

エントロピーについて

エントロピーは、「ある状態が安定しているのか、それとも遷移しているのか」を評価する指数として様々な分野で広く認知されています。
自然界で起こるすべての事象はエントロピーが大きくなる方向に推移します。
エントロピーが大きくなればなるほど乱雑さ(自由度:推移できる方向の数)が大きくなり、安定方向(平衡状態)に向かうことを表します。

エントロピーの定義から始め、キャビネットとユニットの関係を例に挙げて、B&Wの800シリーズで採用されている Sphere and tapering tube の巧妙さに触れ、次にユニットフレームをキャビネットからインシュレートするメリットをエントロピーの観点から説明しています。
また、機械インピーダンス整合の意味をバスレフダクトを例に挙げて説明しました。

pdfファイル:  『歪とエントロピー』

歪について

エントロピーの項でも取り上げましたが、歪についてまとめてみました。
歪には、線形歪、非線形歪、非定常歪の3種類があり、それぞれを簡単に説明しています。
また、外因や自発であっても外部の影響により変調されたエネルギーにより発生する歪である混変調歪についても説明しました。

最後に、感覚と歪について、また許容できる歪とそうでない歪についても触れています。

pdfファイル:  『歪について』