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ARシステムについて

スピーカーシステムに関しては、周波数領域の特性を追及することでステレオフォニック再生を目指してきた歴史があります。
日本では1960年代から1970年代にかけて高度成長期を迎え、世の中の流れとしてハイファイ志向が高まり、周波数特性を完璧なものにするという目標の下に多数の製品が生まれました。
その結果として、マルチウェイの製品がハイファイの代名詞となったのも必然かもしれません。
70年代に入り、マルチウェイの弊害に気付いて周波数領域の検討だけでは片手落ちだと考えた一部の技術者たちは時間領域の特性を探求し始め、「リニアフェイズ」という言葉が生まれました。言葉通り、位相を直線的にしようということです。
波面の整合を考えて、単純に振動板位置を揃えた(と言ってもVCの位置を揃えるだけの)構造のマルチウェイスピーカーを各社がこぞって発表し始めました。
確かに、ある条件の下ではパースペクティブの再現性が上がり、評判を得ました。
しかしながら、欠点として聴取位置が制限される(ベストポジションが狭い)、部屋によっては効果が出ない、という評価が下されたことも事実です。
70年代後半から80年代後半にかけて、群遅延特性まで言及した製品として平面振動板を使ったシステムも登場しましたが、決定打のないまま、90年代前半のバブル崩壊を迎えます。
オーディオ業界も衰退期となり、ハイファイの暗黒時代を迎えます。
21世紀を迎える頃に、「タイムドメイン(時間領域)」という言葉とともに注目されたYOSHII-9が登場し、一条の光が差します。

「前振り」が長くなりましたが、タイムドメイン特性に注目した富士通テンのECLIPSEシリーズが2001年に発表となり、2004年にはフラグシップ機TD712zが登場します。しばらくオーディオ業界から離れていた私も2007年に耳にする機会があり、その音場の再現性に驚かされました。
触発されて色々と資料を集めるようになり、ずっと途絶えていたオーディオ展示会への参加も始めました。
そんな中で、RCCM(Reaction Canceling Compliant Mount)をウーファ部に導入して2008年に発表されたVivid AudioのG1 GIYAを見かけ、江川三郎さんが2つのフルレンジユニットの磁気回路同士をタンデムに配置した実験を80年代にオーディオ雑誌に載せていらしたのを思い出しました。
「タイムドメイン特性を重視しつつ、このタンデム構造を取り入れられないか」というアイデアが浮かび、基本構想を考え始めたのがARシステムの原点になります。ARは作用反作用Action-Reactionの頭文字を取ったネーミングになります。
詳細は、以下のPDFをご覧ください。


pdfファイル:  『ARシステム概要』

pdfファイル:  『ARシステムの求めるもの』

TSパラメータについて

TSパラメータの「TS」は、Thiele(ティール)とSmall(スモール)という技術者の頭文字 を採ったものです。
1960年代にThieleが提案し、70年代にSmallがほぼ完成 させたスピーカーシステム(キャビネット)設計用にユニットに関して定めたパラメータのことです。

非常に良く考えられていて、設計に必要十分なパラメータを網羅しています。最近のユニットについては、ほとんどのものがTSパラメータを公開しています。
したがって、設計に際して測定する必要は、殆どなくなりました。

キャビネット設計に際しては、まずユニットを決め、それに適した方式を決めます。
1.主要TSパラメータの振動系最低共振周波数Fsと過渡応答係数1/QesからEBP(効率帯域積)を求めることで密閉箱が良いのか、バスレフが良いのか、バックロードホーンにも使えるのかといった判定ができます。
2.容積を決めるには、振動系相当気柱容量 Vasと振動系最低共振周波数Fsを基に、平坦特性を得るための計算式を使ってザックリ求めることになります。

詳細は、以下のPDFファイルの第2章に記載してあります。

pdfファイル:  『ユニットって奥が深い』

キャビネット方式について

キャビネット方式については、オルソン博士の『音響工学』や佐伯多門さんの『スピーカー技術の100年』が詳しいので私の出番はありませんが、ここではその中の数種類を取り上げて、その特質について述べてみます。