台湾おたく事情


 私が今回台北の案内をしてもらったGさん。彼女とは二次創作の同人誌関係で知り合いました。
 彼女のおかげで今回の旅では台湾の同人・マンガ・BL事情をちらっと垣間見ることもできました。
 日本の影響を受けたもの、台湾オリジナルで人気のあるもの、今のはやりもの、それぞれ面白かったです。
 ここでは、そんなちょっぴりコアな話をしましょう。
 まずはマンガ関係ですが、日本のマンガがいわゆる海賊版として昔から台湾に入っていたことは知っていました。海賊版のおかしさは雑誌などのレポートで私も読んだことあったし。今回Gさんから彼女が子供の頃読んでいた海賊版マンガを実際見せてもらいました。日本でもアニメになって大ヒットした某少年マンガです。何か、無断で作っているものだからつくりも微妙に変なんだけど、一番がつんとやられたのが、コミックスの後ろ半分に同人誌から取ってきたパロディ・マンガを載せていること。なな何? いいのか、これー。ちなみに私も知っている有名どころの同人作家さんのものでした。本家のマンガとパロディを一組にして売ってしまうとは、恐るべし海賊本。いや、まいった。当の同人作家さんが知ったらびっくりするでしょうね。さすがにやおいはなかったですが。それにしてもこんなことしたら同人までもが公式なものと誤解されそう。Gさんいわくまさしくその通りで、子供のGさんは同人の方も『本物』だと思っていたそうです。まあ、この場合絵が似てたし…仕方ないか??
 さすがに今の台湾ではこんな素人海賊本は見当たらないようで、普通に日本から入ってきた翻訳本がマンガ専門店にずらっと並んでいます。台湾のマンガ家さんも当然いるようですが、そこで見たところ九割がたが日本のマンガでした。日本の輸入物の同人誌や雑誌もありましたね。何でも安い台湾だけど同人誌だけは高いとGさん。後、ボーイズ・ラブ小説がずらりと並んでいたのにもびっくりでした。日本の作家の翻訳ものがこちらも多かったのですが、台湾人作家さんのボーイズ・ラブを扱ったレーベルもあるようです。カバーのイラストもすごい綺麗でした。日本の絵描きさんっぽい絵もありましたが、台湾の絵描きさんのものは昔のJUNEの表紙にありそうな、耽美で繊細なイラスト調の絵が目に付きました。まあ、中身を開いても中国語なのでさっぱり分かりません。で、Gさんに『台湾のボーイズ・ラブって面白い?』って聞いたら、内容的にまだあまり面白いものはないとのこと。ボーイズ・ラブが出てきたのはここ2、3年のことだから、まだプロの作家さんも少なくレベルがそんなに高くないということらしいです。台湾のBL界は黎明期なんですね。
 そうなると、台湾の同人界では何がはやりものなのか知りたいです。あ、台湾にはちゃんと同人誌即売会もあります。日本と変わりませんね。今回はさすがにイベントは行けませんでしたが、同人誌を作っている人たちが集まる街角の小さなスポットを覗いてみました。基本はコピー屋なのかしら、同人関係の情報が色々集められそうな場所でした。ここでコピーして製本してイベントに本やちらしを持っていくのね。何やら懐かしいようなにおいがしました(笑)。さて、では今のはやりものは何でしょう。それは布袋戲(プータイシー)という台湾で長〜く続いている人形劇。もともと台湾の伝統芸能みたいなもので舞台でもやっているそうですが、テレビ・シリーズになりこれが大人気に。もう何十年と放送しているらしいです。同じキャラクターが出てくるシリーズものっぽい。日本でも昔NHKでも「ひょっこりひょうたん島」とか「プリンプリン物語」とか人形劇をやっていたけれど、そんな子供向けのものではありません、この布袋戲は。中国歴史ファンタジー調な舞台設定。剣や色んな術を駆使した迫力の戦闘シーンが見所。またキャラの人間関係やストーリーも複雑らしい。そして、また出てくる人形達がすごく綺麗なのです。華麗な衣装やアクセサリーを身につけて、男でも女と見まがうばかり美しさ(人形だけど)。そりゃ、同人ギャルも飛びつくよなぁというようなおいしさです。Gさんが見せてくれた写真集も綺麗でした。動いているのを一度見てみたいと思います。日本にも映画が入ってきたことがあるそうなので、レンタル店で探せば見つかるかしら。アマゾンでは品切れになっていました…。ていうか、今アジア・ブームだから、いっそテレビでこの人形劇もやってくれないかしら。こういうの日本に今ないし、結構うけそうな気がするのですが、どうでしょう。



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