嫁に来ないか

　ある日、父親と２人土産物を買いに入ったルクソールの商店で。
「あなたのお父さんにラクダを何頭贈ったら、あなたと結婚することを許してもらえますか？」と、店の主人。
　はい？　ラクダ？　結婚？
　しばらく、きょとんとした後、大爆笑。いや〜、そんな話も噂では聞いていたんですが、まさか私まで言われるとは。エジプトにまで来てプロポーズされてしまいましたよ。
　たぶん、こう言ったら日本人に『うける』っていうのが広まっているんじゃないかしらとかんぐりつつも、大いにうけました。
　ラクダなんて贈られても、どうするんだよ。
　この話を日本に帰ってから職場で話したら、えらく気に入られて、「ラクダと交換されそうになった女」って言われる、言われる。
　また、友人の１人に話したところ、彼女も、10年前のエジプト旅行の折、やっぱり同様の『プロポーズ』を受けたとのこと。やっぱり、皆に言ってるんだ。
　更に驚いたことに、
「私、ラクダ1300頭贈るって言われたんですよ、葉月さんは？」と友人。
　1300頭！
「い、いや、頭数の交渉までいかなかったから…」
「駄目よ、１万頭って言わなきゃ」
　１万頭か…いやぁ、言ってみたい(笑)。