<楽楽・神戸>練習風景


2月21日(水) 頭のよくなる音


最近、テレビ番組で捏造が話題になっています。
関西テレビの「発掘!あるある大事典II」という番組が放映中止になりました。
同じようにTBSの「頭の良くなる音」を扱った番組「人間! これでいいのだ」でも捏造があったと報じられました。
この番組も2月で番組の放映を中止するようです。
これは人間には聞こえない20Khzを超える高周波が人間に与える影響の研究を研究者に協力を断られたのにもかかわらず「聞けば頭が良くなる音がある」と断定的に報じたことが問題になったようです。

所で、「頭のよくなる音」というのは、何なのでしょう?
「ハイパーソニック・エフェクト」についての研究で明らかになったことを端的に表現する為に人間に聞こえない高周波の音を「頭のよくなる音」と表現しているようです。
その研究は、どのような内容なのでしょうか?
 
 財団法人デジタルコンテンツ協会  
 ここに様々な報告書が掲載されていますが、次の所に問題の研究の要約がありますので、内容がわかります。
 10ページにまとめてあります。(PDFファイルです。)
 社団法人日本機械工業連合会
 ハイパーソニックデジタル音響システムに関する調査研究報告書
  −可聴域上限を超える高周波成分によるハイパーソニック・エフェクトとその応用にむけて−  要旨
 
   
 ここにある報告書から「ハイパーソニック・エフェクト」について非常に簡単に要約しますと次のような内容です。
 ・人間に聞こえる音の範囲(可聴域)の上限は16Khzだとされている。
 ・このことからCDは、20Khzまでしか録音しないという規格になっている。
 ・しかし、大橋力氏の研究では、20Khzを超える音は人間に様々な影響を与えることが判明している。
  特に「基幹脳ネットワークが聴こえない高周波成分によって活性化される」ということが重要である。

  この効果を「ハイパーソニック・エフェクト」と呼ぶ。

これらの研究は世界でも日本で初めて明らかにされたことで世界的に注目される研究です。
「ハイパーソニック・エフェクト」をもう少し具体的に説明しますと、
「高周波成分を豊富に含む非定常な音は、
 人間の脳幹・視床等の基幹脳とそれに発する神経ネットワークを活性化するとともに、
 これに導かれた快適性の指標脳波α波の増強、
 ストレス性ホルモンの減少、
 免疫活性の増大、
 音の一層美しく快い受容の誘導、
 そして音をより大きな音量で聴く行動の誘起等を導き、
 デジタルコンテンツの魅力・訴求力を増大させる上で効果的なばかりでなく、
 心身の健康にとってポジティブな効果をもつ」

ということです。
これらの効果のことを「ハイパーソニック・エフェクト」と呼んでいます。
アナログの時代、つまり、レコードやテープで音楽を記録していた時代には20Khzを超える音も含んでいたのにデジタルの時代になって20Khzを超える音がカットされた、そのマイナス面は大いに問題がある、だから、20Khzを超える音(100Khzぐらいまで)も録音、再生出来るようなオーディオ装置が必要である、というような研究をされているのだと思われます。

α波(アルファは)は創造性を豊かにする、脳を発想、発明を出来やすい状態にするという理解がされていますので、そういう意味ではα波を増強するのですから、「頭を良くする音」という表現も全くのデタラメではないと思われます。
ただ、研究者の意向を無視してそういうことを断定的に報道したということが問題になったのでしょう。

レコードからCDへと変遷していった時期に私もCDには抵抗がありました。
レコードは雑音が多い、CDは雑音が少ない、しかし、CDの音は何かが足りない!
他にもそういうレコードファンは大勢いたようです。
この時期に大橋氏がCDの規格に反対されていたという記憶があります。
報告書の中でもそういうことが記述されています。
しかし、いつの間にか私もCDで音楽を聴くようになってしまいました。

5〜6年ぐらい前にATR研究所で開催された人工知能の研究発表会で偶然ですが大橋氏の研究発表のデモを経験したことがあります。
中近東の民族楽器を取り上げて、その楽器が人間の耳に聞こえないとされている高周波を出しているが、その音が人間に良い効果をもたらすから、その音を忠実に再現するオーディオ装置のデモで、しかも精神的にも良い効果を与えるとされている不思議な香りのお茶を飲みながら聞くというものでした。
その時には、「頭が良くなる」ということではなく、「癒しの効果がある」ということで発表されていたと思います。
研究者の「大橋力」という名前に記憶がありました。
係員に「大橋さんは、ひょっとして芸能山城組の組長さんですか?」と聞くと、やはりそうでした。

1970年代に芸能山城組という大学生を中心にした芸能集団がありました。
新宿の高層ビルの敷地で輪になってケチャをやっていました。
東京に出張に行く度に何回か見た記憶があります。
その指導者が大橋力さんでした。
当時は東京の芸大か音大の先生で、山城祥二という名前で知られていました。

70年の後半の頃に京都大学で仕事があって毎日京大へ通った時期がありました。
京大の正門への道の両側に大きな門柱のようなものが立てられて、片側は「芸能山城組 男組」、もう片方は「芸能山城組 女組」と大書してありました。
その組織は京大生だけではなく、広い範囲の大学生が集まった組織だったと思われます。
私はそこを通る度に「今の学生がうらやましい」、「今、大学にいたら参加するのに」と思ったものです。

それから20数年たってATRの研究所で大橋氏の研究に出会い、さらに今回「テレビ番組の捏造事件」という思わぬ事件で大橋氏の名前に出会ったのでした。

思えばマンドリンもギターも可聴域を超える音を出しているのでしょう。
私なんかは、胴に響く音、つまり胴である木が振動して出てくる音は可聴域を超える音も出ている、そういう音を出すことが重要だと信じてドラを弾いているのです。
それは「頭を良くする音」ではなく「人に癒しをもたらす音」だと思っています。
ただ、その音を実際に出すことは難しく、特にドラを買い換えてから思うような音が出せず、悩んでおります。




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