<楽楽・神戸>練習風景


1月28日(日) 曲目説明
 
ボッタキアリと今回の曲目について
            by福本恭三 2007.1.20

企画委員会より、2ndConcert曲目解説の原稿依頼がありました。
ボッタキアリと今回取上げる曲についての解説及び今までに私が調べて分かったことを、プログラムは字数が限られるので、ここで皆さんに読んでいただき、少しでも曲・曲想の理解の参考になればと思い下記に記します。

ボッタキアリ(1879-1944)は、皆さんもよくご存知の通り、マンドリン音楽の有名なイタリアの作曲家で、マンドリン界に数多くの作品を遺していますが、イタリア・カステルレイモンドに生まれ、ペサロのロッシーニ音楽院でマスカーニに師事し、1899年にはまだ学生であったが、歌劇「影」を作曲し、マチェラータのラウロ・ロッシ劇場で上演、成功を収めオペラ作曲家としてのスタートを切り、管弦楽曲・吹奏楽曲・声楽曲等様々な分野での作品を数多く残しています。 歌劇「影」「愛の悪戯」「ウラガーノ」等5つのオペラを作曲し、本国イタリアでは専らオペラ作曲家として知られているそうです。

ワーグナー(1813〜1883)の伝説や神話によるロマン的世界に大変影響を受け、自分の息子にトリスターノ(=トリスタン)、娘にはイゾッタ(=イゾルデ。どちらもワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」の主人公)と名付けるほど心酔し、そのためかボッタキアリの音楽はワーグナーを思わせる濃厚で耽美的なロマンティシズム、凝った和声書法を特徴とし、生涯に渡り浪漫的な音楽に傾倒し続けています。

よく聴かれるのは「交響的前奏曲」「夢!うつつ!」「夢の魅惑」「Il Voto」あたりですが、これらは又の機会に残すことにし、今回は小品を2曲選んでみました。

間奏曲「祈り」
本曲は、<Per la Patria 歌劇「祖国のために」>からの間奏曲で、第1幕のアリアを基にボッタキアリ自らマンドリン合奏用に作曲したものです。小品ですが、美しく感銘深い旋律、それを支える濃厚で繊細な和声等に甘美でロマンティックな色彩を放つボッタキアリならではの魅力が見事に凝縮されています。

ガヴォット「エンマ・イゾッタ」
中野譜庫でボッタキアリの楽譜をコピーしている時に、この曲に出会ったのですが、セロ・ベース譜のないMn.アンサンブルの楽譜でしたが、かわいいメロディーだし、題名が気になって調べていくうちに、以下のようなことも分かり、私のお気に入りの曲の一つになりました。
作曲者自身による管楽器アンサンブルの楽譜(打楽器譜付)もあり、その冒頭に、Alla piccina mia cara(私の小さな愛する人へ)との記載があります。作曲者の娘の洗礼名(エンマ)と名前(イゾッタ=イゾルテ)から名付けられたガヴォット曲です。
他の資料に、妹娘の洗礼名(エンマ)と名前(イゾッタ:ワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルテ」に因む)から名付けられた曲で・・・と、妹娘の名前だと言う記述もありましたが、私は願望も含め、ボッタキアリさん自身の娘のことを歌った曲だと思いたいです。




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