<楽楽・神戸>練習風景



練習風景                           by 15回生どらむすこ

5月3日(水)マンドラ・コントラルト(1)
 
  15回生のコンマスをしていた竹見さんからメールが来ました。

  大型連休はいかがお過ごし?
  リュック背負って遺跡めぐりですか?

  ところで我がアンサンブルの会員から下記のような質問が出たのですが、誰も答えられません。
  多分質問者が一番詳しいのかもしれません。

  そこで日本屈指のマンドラ奏者であり、且つ博識な貴兄にお尋ねするわけですが、どんなものでしょう。
  私はこんな言葉自体が初耳です。

  マンドラ・コントラルトとマンドラ・テノールは似たような楽器でも、実際に演奏に加わった場合、
  音質的にどのような差異が出てくるのでしょうか?


  これに対する私の返事は以下のとおりです。

  竹見様
   大変、興味あるお話です。
   ですから、マンドリンクラブの関係者、何人かにこのメールを一緒に送りますので、ご了承、お願いします。
   (いづれもKUMCのOBです。)

  >大型連休はいかがお過ごし?
  >リュック背負って遺跡めぐりですか?


  母、妹、弟と一緒に淡路島のリゾートホテルへ行きます。
  他には予定はありません。
  図書館が空いていたら、図書館に本を借りに行きます。
  時間があれば、マンドラを練習します。
  楽器が変わってから、調子が悪く、安定した弾き方が出来ません。

  最近、遺跡めぐりは、女房の車で行っています。
  リュックはマンドリンの練習に行く時に背負うぐらいです。

  >そこで日本屈指のマンドラ奏者であり、且つ博識な貴兄にお尋ね・・・・

  ご冗談を。

  >マンドラ・コントラルトとマンドラ・テノールは
  >似たような楽器でも、実際に演奏に加わった場合、
  >音質的にどのような差異が出てくるのでしょうか?


  1.普通のマンドラが、マンドラ・テノールです。
   コントラルトというのは、私も詳しく知りません。
   ヴィオラに相当する音域だということです。
   普通のマンドラより4度高い音だということです。
   (次に出てくる久松氏の卒論を参考にして下さい。)

  2.アマデウス2006のコンサートでコントラルトを使うそうです。
   ですから、それを聞きに行けば、一応、解答が得られるのではないかと思われます。
   但し、本来のコントラルトを作成してくれるマンドリンの製作者がいなかったので、小型のマンドラを改造したのを使うそうです。
   次のHPを出している久松氏がマンドリンの合奏にはコントラルトを加えるべきだとの考えを持っているようです。
     http://homepage3.nifty.com/amadei/intro.html
   恐らく、この話を聞いて、そういう質問を出してきたのではないでしょうか?
   このHPには参考になる話が色々と書いてあります。
   1983年に久松氏が成城大学で書いた卒論がダウンロード出来るので、それを読んで下さい。
   コントラルトのことも出てきます。

  3.先日、<楽楽・神戸>でセロを弾いている人が変わった楽器を持ってきていました。
   ひょっとすると、それがコントラルトだったと思います。
   昔の同級生(つまりKUMCのOB)が持っていたのだそうです。
   ちょっと触っただけですが、弦の張りがきついという印象を受けました。
   まあ、それは楽器の本質とは無関係なのでしょうが。
   今度、その楽器を借りて練習してみようと思います。

  4.そういう楽器が加われば、音質的にどのような差異が出てくるかという問題提起ですが、これは難しい質問です。
   やってみないと判らない、が一つの答です。
   しかし、下手をするとやってみても判らないのだと思います。
   まず、そういう楽器が加わって、どんな楽譜を弾くのか、です。
   やはり、独自の楽譜を弾くべきでしょう。
   ドラと同じ楽譜を弾いて、効果があるとは思えません。
   マンドリンとマンドラの間に位置する楽器なので、独自の楽譜を与えられれば、それなりの効果はあると思います。
   久松氏はヨーロッパの室内楽を中心とする音楽に詳しいみたいなので、ヴィオラのような役割を期待しているのでしょう。
   (しかし、そうするとマンドラ・テノールは、どのような役割を果たすべきなのでしょう、という問題もあります。)

  5.私は、今のマンドリン・アンサンブルに新しい楽器を加えるよりは、ドラやセロの音色(ドラやセロの出している音)にもっと注意を払うべきだと思います。
   久松氏も「美しい音を出すべきだ」というようなことを書いておられますが
   まずは、ピックを弦にしっかりと当てて、楽器本来の音が出るようにすべきだと思います。
   トレモロも同様です。
   現状では、ピックが弦に当たるカサカサというような音だけが出て、弦が動いているようには見えませんし、弦が振動して楽器を共鳴させる筈なのに、楽器は共鳴していません。
   殆どの奏者は、ピックで弦を動かしているのではなく、ピックが弦に当たって撥ね返されているように思われます。
   少なくともピックが弦を動かしているのではなく、ピックが弦によって動かされているように思えます。
   マンドリンも、ドラもセロも、本来出すべき音を出せていないような現状で、新しい楽器の導入を議論しても不毛だと思います。

  6.久松氏の卒論は1983年で古いのですが、十分に参考になるものです。
   ちょっと気になったのは、久松氏が「手首」で弾く弾き方に賛成で、腕で弾く弾き方には反対であるということです。
   私は、「手首クネクネ」という弾き方では、限界があるような気がするのです。
   さりとて、「腕漕ぎ」と云われる弾き方をしている人々で魅力的な音を出している人は少ないような気がするのです。
   大西プロは弟子には「腕漕ぎ」をするように指導しているそうですが、本人の弾き方は所謂「腕漕ぎ」の弾き方ではないですね。
   勿論、腕を利用して弾いているのでしょうが、単純に腕を動かしてゴリゴリと弾いているのではありません。
   久松氏は竹間さんの音を硬いと認識し、名古屋のプロの榊原氏は竹間さんの音を美しいと感じたのは、何か重要な問題を含んでいるように思われます。
   ただ、私は竹間さんの弾き方が普通の「腕漕ぎ」なのか、大西さんレベルの腕をうまく利用した弾き方なのか判りません。
   私は「腕漕ぎ」が硬い音で、「手首漕ぎ」が柔らかい音を出すとは限らないと思いますが、久松氏の云わんとすることも判るような気もします。
   竹見君はOBステージで竹間さんの近くにいたと思いますが、彼女の弾き方と音は、どうでしたか?
   マンドリン、マンドラ、セロの奏法の問題、それと密接に関わる音色の問題は奥深く、コントラルトの問題もさることながら、こちらの問題も十分議論しなければいけない問題であるような気がします。

  7.久松氏の論文の中に新しく作曲された曲でコントラルトを使った曲があるという話が出てきます。
   これはこれで興味ある話です。
   作曲者がコントラルトの存在意義を認めて、マンドリン・アンサンブルに加えようとすることは決して悪いことではありません。
   私もそういう曲があれば、コントラルトを弾いてみたいと思います。
   そうするとコントラルトの存在を明確に感じることが出来るように思われます。

   以上が私の返事です。
   この件は、<楽楽・神戸>の一部の方にはメールを転送したのですが、未だ続きがありましたので、ここに全面的に公開することにしました。
   何か、有益なご意見が得られるかも知れないと思うからです。
   念の為に言っておきますが、私が「日本屈指のマンドラ奏者」なんて本当の冗談ですよ。
   本当は、かなり、へっぽこ奏者です。




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