●●トピックス●●
従来、日本家屋は、その土地の風土・環境に合った建物を建築し、庭木も家に合った樹木を選択し、植栽してきました。
また、日本人の内向的性格により、家庭内の生活を他人に見られるのを嫌い、プライバシーを確保するために、生垣等で家を囲んだ環境で暮らしてきました。
すなわち「クローズ・ガーデン」と呼ばれるスタイルです。
そんな庭には、やはり人の目の届かない常緑性(シラカシ、サザンカ、サンゴジュ、カイズカイブキ、カマクラヒバ、イヌマキ、マサキ等)の生垣を作り、
庭のシンボルツリーには、仕立物(マツ類、マキ類等)を植生し、玉物(イヌツゲ、キャラボク、チャボヒバ等)で根締めをし、熟練した庭師を入れて手入れをしていました。
その後、庭付き一戸建ての住宅が、多くなると、建物自体もやや洋風化し、庭も「クローズ・ガーデン」から他人に見せたくなるような「オープン・ガーデン」になり、
樹種も古くは山野の木々(モミノキ、ヤマモモ等)だった樹種を取り入れ、また、季節により風情を感じる落葉樹(カツラ、クヌギ、シャラ、ヒメシャラ等)を植栽する傾向になりました。
現在では、さらに庭木への顧客の嗜好が変化し、「病虫害の少ない」「花が咲き、実の生る」「メンテナンス(管理・剪定等)の少ない」樹種に人気が集まっております。
また隣との庭木が同じにならないような樹種(斑入り種、カラーリーフ種)を植栽している庭もあります。
ここで一例ですが、現在、人気の高い樹種を挙げてみました。
≪ローメンテナンスな樹種≫
@シマトネリコ(半落葉樹の為、低い気温の環境化では落葉します。)
Aオリーブ 葉は美しく、花は可憐で、実のおいしさはご存知のとおり。
Bソヨゴ 秋には赤い実をたくさんつけます。
Cアメリカザイフリボク(別名:ジューンベリー) 春には白い花、6月には赤い実、秋に紅葉。
Dイチゴノキ イチゴのような実のツツジ科の樹です。
Eアメリカハナミズキ 春に白やピンクの花をつけます。
Fヤマボウシ類
Gカエデ類
Hフェイジョア
I斑入りグミ「ギルト・エッジ」「ライム・ライト」等
Jカラタネオガタマ
Kシセントキワガキ
Lベニバナトキワマンサク(赤葉、青葉、白花がアリ)
Mイレックス「サニー・ファオスター」等
Nスモークツリー(ウルシ科です)
Oサンシュユ(古くから植栽されていました。)
Pギンヨウアカシア「プルプレア」 新葉が紫色です。
Qカシワバアジサイ
Rシラカバ「ジャックモンティー」 若木のときから白くなります。
Sヤポンノキ 等があります。
現在の日本で理解されているガーデニングとは、家庭菜園であり、自分の所有する場所に、
みずからの身体を使って作業をし、鑑賞することであると理解できますが、本来の「ガーデン(garden)」の意味は
ヘブライ語で「gan」(囲む、閉ざされた)と「eden」(幸せ、歓喜、楽園)という意味があります。
また、園芸とは、場所(園)に植物を「植える」という意味があり、農業とは異なります。
一般的には敷地内における建物以外の植物やエクステリア(外観等)を含めたものの創造、改修、鑑賞を
「ガーデニング」と呼んで良いと思われます。
今日までに海外から日本に輸入された「コニファー」は500種余りと言われています。ただその中でも、
現在定着して、生産・植栽利用されているものは、その1/5程度です。やはり、日本の気候
(特に梅雨と夏場の暑さ)に合ったもののみ生き残ったと言えます。
その中でも代表的ななものを記述してみました。
@ゴールドクレスト (ヒノキ科イトスギ属モントレーイトスギ)
クリスマス装飾された鉢植えとして見慣れた樹木です。室内鑑賞用樹木として利用されたものが庭に植栽されていますが、
大きく円錐形を保持して生育しているものが少ないのは、日本の高温多湿と泥はねを嫌うためです。
Aエメラルド・グリーン (ヒノキ科クロベ属ニオイヒバ「スマラグ」)
コニファーの中で最も丈夫で、日本の気候に合い定着した樹木です。
ガーデニングのシンボルツリーや生垣などにも適しています。
Bグリーン・コーン (ヒノキ科クロベ属ニオイヒバ)
神奈川県で育成され、関東周辺で生産された樹木です。秋になると直径1センチほどの緑色の実(コーン)を沢山つけることから
この名前がつきました。また、ニオイヒバなので気分を落ち着かせてくれるとても良い香りがします。
Cエレガンティシマ (ヒノキ科クロベ属コノテガシワ)
葉が密に重なりあい春から夏場は明るいライトグリーン、冬場はブラウン系と葉の色の変化を楽しめ
育てやすく成長の早い樹木です。
Dヨーロッパ・ゴールド (ヒノキ科クロベ属ニオイヒバ)
黄金色の代表的な樹木です。
Eブルー・エンジェル (ヒノキ科ビャクシン属ジュニペルス)
ブルーが一番美しく出やすい品種です。
Fゴールデン・モップ (ヒノキ科ヒノキ属サワラ)
半球形から広円錐形になる黄金色の樹木です。生長が遅く、芯が立ちにくいのでグランドカバーに向きます。
Gブルーパシフィック (ヒノキ科ビャクシン属ジュニペルス)
乾燥や潮風に強いブルー系色の這性の樹木です。グランドカバーとして独特の雰囲気を出します。
※参考資料 大人の園芸ブックス「コニファー」発行所(株)小学館
今日の日本は、食生活から衣料、住空間に至るまで、日本古来の文化を捨てて、欧米化の傾向が強くなっていますが、「こころ」のどこかには、
日本人としての「癒し」を求める傾向も強くなってきています。
それは、ガーデニングの世界に於いても当てはまり、「苔玉」「小盆栽」「ミニ和風庭園」等、少しでも良いから欲しいという欲求が生まれています。今までは
専門家の中での流通でしたが一般消費者にも気軽に楽しめるよう工夫されています。
現代人の欲求は、このガーデニングの世界に於いても強くなってきています。それは花や色物の少ない冬場のガーデニングです。
以前ならパンジー、ビオラ、ストック、ジャノメエリカやシロタエギク、ガーデンシクラメンといった草花で、ガーデニングをたのしんでいた傾向に
ありましたが、それにプラスして「色のついた葉」や「班入り種」の植物を使ったガーデニングへと移行し始めました。
カラーリーフですので、花に魅力はない代わりに葉の色を一年中楽しめ、また、葉色もグリーンに限らず、多様な景観を作ることができるよい材料として
人気があります。
日本での亜熱帯・熱帯への温暖化速度は、年ごとに早くなってきています。「ガーデニング」の世界に於いても
屋上緑化に力を注いでいますが、それ程の効果を上げる事ができていない現状です。それは、新規にビルを建築するなら屋上を緑化するという設計の段階から「防水
・防根や屋上の負荷」計算を考慮して建築できますが、すでに出来上がっているビルの屋上での緑化は、負荷過重に対しての良い
アイデア商品がない為、立ち遅れているからです。
しかし、壁面緑化は建築されているビルや一般家庭でも簡単に緑化を進められます。小学校の夏休みの宿題で出される「朝顔」の栽培、それをもう少し本格的にすれば
壁面緑化ができ上がります。夏場だけの都市部のヒートアイランド減少の防止策としては打って付けです。使用する植物は
「ヘチマ」「ニガウリ」「西洋朝顔」「ヘブンリーブルー」「クレマチス」「ルコウソウ」などがおすすめです。
一年中壁面緑化させていたい場合は、常緑のつる性植物を使用すると良いでしょう。「モッコウバラ」「ムベ」「カロライナジャスミン」「スカズラ」などがあります。
「エチゼンクラゲ」「アブラゼミ」「ムラサキウニ」の大発生など生態系にも影響が出ている地球規模の
温暖化は、私たち「ガーデニング」をしている者にも少なからず影響が出てきています。
例えば、今までは梅雨の前に発生していたツバキやサザンカに付き、毛に触れると湿疹が出る害虫
「チャドクガ」が暖冬の影響で五月初めには発生していました。また、本来なら冬場花の咲かない
「ブルーデージ」が咲き続けていたり、春先に起こる寒の戻り以前には、露地で持たなかった
「マーガレット」が早春から梅雨明けまで咲いていたりして、ガーデンプラン泣かせの植物が
多くなってきています。
グリーンハート
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