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西大寺(奈良) <愛染明王坐像>(重文)
こちらは奈良の西大寺の秘仏である。鎌倉時代(1247年)に西大寺の中興を成し遂げた僧侶「叡尊」の発願により仏師「善円」に作らせたものである。一部で美しい彩色も残されている。そのお顔は、迫力ある忿怒の表情をしているが、そもそも愛染明王は、縁結びや家庭円満にご利益があると言われ、多くの人々の信仰の対象となっている。
愛染明王は一切衆生を諸々の苦悩から救うために十二の広大な誓願を発しているとされ、その内容の主なものは以下のようになる。@智慧の弓と方便の矢を以って、衆生に愛と尊敬の心を与えて、幸運を授ける。A悪しき心を加持して善因へと転換し、衆生に善果を得させる。B貪り・怒り・愚かさの三毒の煩悩を打ち砕いて、心を浄化し、浄信(菩提心)を起こさせる。C衆生の諸々の邪まな心や、驕慢の心を離れさせて、「正見」へと向かわせる。D他人との争いごとの悪縁を断じて、安穏に暮らせるようにする。E諸々の病苦や、天災の苦難を取り除いて、信心する人の天寿を全うさせる。F貧困や飢餓の苦悩を取り除いて、無量の福徳を与える。G悪魔や鬼神・邪神による苦しみや、厄を払って、安楽に暮らせるようにする。H子孫の繁栄と、家運の上昇、信心する人の一家を守って、幸福の縁をもたらす。等々。誠に有り難い仏様である。
今年は新元号令和も2年目となり、スポーツと平和の祭典であるオリンピックが東京で開催される。一方では世の中では自然災害も含めて様々な問題が起きているが、今年がこれまでにもまして穏やかで幸多き年となることを祈りたい。
【70枚限定 6色摺】