2000年仏像シリーズ第28作


興福寺(奈良)<阿修羅像>

 西暦2000年という記念すべき年にどの様な仏像にしたものかしばし考えた。何年か前職場の先輩に阿修羅を是非彫って欲しいといわれていたが、この神経質なまでに繊細なお顔を見るにつけ、どうしても取り組む気持ちになれないでいた。仏像としては素晴らしい出来であるが、人生を、あるいは世の中の行く末を思い詰めたかの表情をしたこの仏像には一種近寄りがたいものを感じていたためである。

 今回もまだこの仏像を扱うような心境になれないでいたが、いよいよ取り上げる仏像にも限りが出てきている。この記念すべき年にふさわしい横綱級の仏像として、これまでずっと胸の奥につかえていたこの仏像に取り組むこととした。これからの2000年代には人類にとても様々な難しい課題が待ち受けているだろうが、人類の行く手に希望の持てる1000年間であることを切に願いたい。