円隆寺(舞鶴市) 阿弥陀如来座像



 昨年暮れ父親が亡くなり、また私も今年3月定年を迎え、こんな折でもあり阿弥陀如来像の、作品を制作したいと考えた。円骼宸フ阿弥陀様は以前に一度取り組んではいるがそのお姿に魅力を感じいつかもう一度この仏像を大きな作品として取り組んでみたいと思っていた。
 円隆寺の三体仏像(阿弥陀如来、釈迦如来、薬師如来)は11世紀の仏像で、三体一体で重要文化財に指定されている。
 特に、中尊の阿弥陀如来座像は仏師定朝の作ではないかと伝えられ、像高227センチは丹後地方では最大級。別名<丹後大仏>とも呼ばれている。
 人は死後、極楽へ行きたいと思う。そもそも「南無阿弥陀仏」という念仏は、阿弥陀仏にすがって極楽へ行く、あるいは亡くなった人が極楽浄土に行けるように祈ったものである。そうした意味で古来より多くの民衆から阿弥陀如来が最もポピュラーな仏像として信仰の対象になってきた。
 円骼宸フこの仏像は一般的には必ずしもあまり知られていないが、均整がとれ、すべてを見通したような涼やかなお顔立ちで、黄金色に輝いたそのお姿は神々しくこの仏様におすがりしたいような思いを抱かせる。
 今回の作品は3色目の色の変化を加減しすぎ、立体感を十分に出せなかった点が反省点である。また版画の摺の難しさでもあるが、いったん彫った部分に後からの色がついてしまい画面が一部汚れてしまった。作品としては、必ずしも満足のいくものにならなかった。年齢と共に集中力が続かなくなっているのも一因であろう。 

50枚限定 6色  W22.3 × H32.7 (p)


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