現在、厳しい試練に直面している大学にとって、教育システムの改善が不可避であることは周知の事実であり、そうした課題を私も真摯に受け止めているつもりです。しかしながら、個人的な経験談で恐縮ですが、私は奔放に過ごした自分の学生時代を振り返り、そうした学生時代の過ごし方を許容してくれた大学や社会に深く感謝しています。今後どのような大学改革が進められてゆくにせよ、学生が自由闊達な青春を繰り広げることができる雰囲気だけは、残しておいてもらいたいと思います。

 もっとも、“自由”の有効な活用はまことに難しく、私とて、自分の学生生活が誰にもまして充実していたと、胸を張っていえるわけではありません。それどころか、すいぶん時間の無駄遣いをやらかしたと反省することしきりです。とはいえ、無駄は多かったものの、自分なりに多様な思い出を蓄積したと満足しています。エネルギーを持て余すことなく好奇心の赴くまま走り続けた結果、大学を卒業して学究の道に進んでからは決して見聞することのない世界、出会うことのない人たちに接することができたからです。



 私のゼミの学生たちにも、現在の私のような年齢に達した時、満足のゆく思い出として学生時代を振り返ってくれることを願っています。そのために、在学中に各方面へのチャレンジを心がけることを望んでいます。もちろん、“チャレンジ”の対象が、アルバイトやサークル活動の範囲にとどまり、知的好奇心の充足が看過されては困ります。私も微力を尽くしているつもりですが、その思いがどこまで学生たちに通じていますでしょうか。試行錯誤の日々が続いています。


                   謝 辞


 
このたび3年生の一戸仁志、鈴木稚菜、鑓分友美佳、吉田英俊4君が協力し合って、ゼミのホームページを作成してくれました。ホームページの作成は、数年来の懸案となっていただけに4君の尽力は大変ありがたく、ここに謝意を記します。

                                      2007年3月23日

  はじめに
藤井信幸

ガラパゴス諸島(2004年)