ほんなら・・・ ほんでも・・・ 8回目 『北杜夫』さんの ”どくとるマンボウ”シリーズ。 その一 ・・・・・2004年 7月 25日・・・・・ |
今はもう読まなくなったけれど、初めてその”人”を追いかけた”作家”が北杜夫さんです。 中学の頃の日曜日の朝、テレビ番組の『兼高かおる 世界の旅』を見るのが楽しみだった。・・・(昼からはもちろん、吉本新喜劇ですがな)・・・ 知らない世界、国。見た事のない風景、景色、そして人々・・・。 『兼高かおる 世界の旅』は本でも出ていて、学校の図書室に有ったので、全巻むさぼるように読んだ。 その頃、長姉が(”淺川マキ”のページ。五木寛之のところで書いた姉は次姉)『どくとるマンボウ航海記』を読んでいた。 航海記って言う事は”旅行”でもあるって事で、私も読んだ。 |
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『どくとるマンボウ航海記』 北 杜夫 著 新潮社(文庫) 1965年2月28日 初版発行 (単行本は1960年発行) |
旅行記ではあったが、”兼高かおる”には程遠いものだった。 どだい、水産庁所属漁業調査船「照洋丸」に乗り込んだ若い船医さんと、当時の航空業界では最大手のパン・アメリカン航空が協賛し(1991年にバンザイしたけどね)番組のスポンサーが三井物産と言う旅行番組の、マカ不思議な山の手言葉を話す”上品なお姉さん”の”旅行”とでは勝負にならなかった。 旅行記(見聞録)としては勝負にならなくても、読み物としては互角以上のどくとるマンボウだつた。 ユーモアと言うものをこの本で知った気がする。 どこがどうだと言われると困るのだけれど、吉本興業を代表とする”笑い”ではなく、静かな”笑い”と言うのか、内からふつふつと湧いてくる笑いがページを繰るたびに起こった。 どこか、なぜか、どくとるマンボウに惹かれるものがあった。 惹かれる以上は、読まなあかん、集めなアカン! |
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『どくとるマンボウ昆虫記』 北 杜夫 著 中央公論社 1961年10月20日 初版発行 |
人は色々なモノに執着し、集めると、どくとるマンボウは言う。 誰とは言わないが、バセット・グッズに手を出す者。 マッチ箱(今どき、そんな物自体見なくなったので、そんな奴はいないか?)ある種のラベル、石、糞、葉、鼻毛、貝、蚤、鉛筆、耳糞、お金?はたまた肩書き・・・・一杯色々等々種々諸々雑多有り。 興味のない他人から見れば、判らん世界で遊んでいる人にしか見えないだろう。 どくとるマンボウは、昆虫だった。 末は昆虫学者になりたかったらしく、楽しんで書いたようで、その分、筆に力(リキ)が入っている。 でも、本の帯に『虫と仲よくなってしまう』と書かれているけれど、誇大広告だと思う。少なくとも、今もって、虫と言う虫を好きになれない私が此処にいる。 とは言うものの、昆虫を横にさえ置いておけば、そこかしこにじゅわぁ〜と滲み出てくる、ほんわかとした笑いを誘うお話。 あくまでも、”読む”と言う事で購入したんです。 決して”集める”為ではありません。 |
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『どくとるマンボウ小辞典』 北 杜夫 著 中央公論社 1963年9月20日 初版発行 |
小辞典ってのは、結構、役立つもので、例えば『岩波心理学小辞典』(宮城音弥著・岩波書店刊)とか『社会学小辞典』(浜島朗 編・有斐閣刊)は年に何回か利用している。 でも、『どくとるマンボウ小辞典』は何の役にも立たない。 目次を見ても、古代の夢判断・世界パイ戦争・美しい奇妙な蜂・椰子の葉ずれ・すばらしくない世界・ビールの名・チンチン氷、等々。 軽薄のようでいて、その実、深遠な・・・。 『私はこの本の中で、大切なこと、カンジンなことはすべて省略し、くだらぬこと、取るに足らぬこと、書いても書かなくても変わりはないが書かない方がいくらかマシなことだけを書くことにした。』と『どくとるマンボウ航海記』のあとがきに書いているが、これはどくとるマンボウ・シリーズ全てに一応は当てはまる。 |
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『どくとるマンボウ途中下車』 北 杜夫 著 中央公論社 1966年1月7日 初版発行 |
どくとるマンボウ宅の隣人、その頃はまだ中央公論社編集部に勤めていたM氏(鉄道紀行でお馴染みの宮脇俊三さん)が「あんたは『どくとるマンボウ途中下車』を書かなアカンから、まだ乗った事のない新幹線に乗って来い」と言う。 旅行好きと思われていたどくとるマンボウだけれど、実はそんなに旅行をしていない。 これじゃアカンと旅行に出かけた。 牡鹿半島から与那国島、はてはカラコルムの山まで。 ”旅行記”とは言い難いけれど・・・。 でも、持ち前の笑いのセンスで綴る”どくとるマンボウ・シリーズ”としての旅行記です。 |
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『へそのない本』 北 杜夫 著 新潮社 1967年11月30日 初版発行 |
おへそが無いってんだから、中心が無いって事でして・・・。 確かに、どくとるマンボウ物の紀行文、ユーモアと深い洞察によって描かれた随筆に、短い連作物が収められた、ごった煮本。 波間に漂い、昼寝をしながら口を開けて入ってくるクラゲを待っている、ナマケモノの魚。 それがマンボウだそうだけれど・・・・。 この本の作り方は、ナマケモノ作家そのものですな。 私も怠ける事に関しては、マンボウに負けないが・・・。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 姉妹本『あくびノオト』(新潮社刊)は何処に行ったのか見つからない。捜す気力がない。 |
![]() 9回目は、 ”どくとるマンボウ”シリーズ。 その二 です。 |
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