ほんなら・・・
ほんでも・・・


5回目 『エンジン(内燃機関)』 
・・・・・2004年 7月 4日・・・・・


 三十年ほども前の事ですが熱力学やら材料力学、機械力学、応用力学、はたまた空気力学だ、シグマだ、タウだ、流速だ、理論混合比だ、弾性係数だ、「燃焼における火炎伝播」がどうたらこうたらへったくれ、連結棒・気化器・点火栓だの用語が飛び交う講義を専門教科の必修科目で受けまして、せやけど、何せ、数字が嫌い、計算が大嫌い、記号なんて反吐が出る。
 意味の解らない御詠歌を教師が謡い、その声は空しく私の頭上を通り過ぎて行く。
 そんなもんを覚えなアカンと思うだけでジンマシンが出て来るもんですから「そんなもん識らんかっても、エンジンは掛かるし、自動車の運転も出来るし・・・」って事で、そのほとんどの教科は甲乙丙丁の丙の成績でした。
・・・・・余談ですが、卒業製図(エンジン設計)を1枚だけ出さなかったら丁。つまり留年。まぁその1枚に書く部品、確か、エキゾースト・バルブ、インテーク・バルブ、バルブ・スプリング、バルブ・ワッシャーとコッタだった。これがなければ物(ぶつ)の組立て出来んけどサァ〜。教授は私が製図室内を下駄で歩き回り、床が滑りやすいのでスケートもどきをしまくったりしていたのがよっぽど腹立ったのかねぇ?

 ”内燃機関”のお勉強は駄目でしたけれど、”エンジン”って言葉を聴くと、今でも何故か心が浮き浮き躍ります。

 外燃機関も好きですが、あまり身近ではないので、ここでのエンジンは4サイクル(行程)のエンジン(内燃機関)です。
 
シリンダー内をピストンが二往復する間に、吸入(吸う)・圧縮(押しつける)・膨張(膨らむ)・排気(出す)の四行程作業を行う内燃機関です。


L系型エンジン 
整備要領書


日産自動車
株式会社
サービス部 著

日産自動車
株式会社

1972年5月 発行
(非売品)
 今、日産の主力エンジンが何型が知らない。

 L型は、14・16・18が4気筒。20・24・26が6気筒。
こんな基本型を延ばしたり、拡げたりして数種のエンジンを持つ他のエンジンを私は知らない。

 個人的な感想ですが、14型から26型の6機ではL16型が一番バランスがとれていたように思う。
 逆はL14型。
サニー・エクセレントを転がしていると、排気量が200CCも少ないA12、・・・しかも、L型はOHC
(オーバー・ヘッド・カム)なのにOHV(オーバー・ヘッド・バルブ)ですぜ・・・のサニーに較べて、回らない、伸びない、力がないの三拍子そろったドン臭いエンジンだった。

 ひと頃、町のエンジンチューナ屋さんは、L20型を好んで
(トヨタさんの6発なんて、弱すぎて使い物にならなかったと聞く)使っていたのは数が出回っていると言う理由もあるが、ひとえに頑丈だったからだと思う。

 名機と呼ばれないエンジンだったけれど・・・。
平凡なエンジンだったけれど・・・。

 この本は、いつの日か、510のブルーバードSSS(L16の方)を探してきて乗り回してやろうと思っているので、その昔、某所からもらってきた。
(「パクってきた」の方が正しいかも
 でも、そんな日は来ないだろうなぁ〜。    


エンジンのロマン
・・・発想の展開と
育成の苦闘』

鈴木 孝 著

三樹書房

2002年4月15日 
初版発行

(1980年にプレジデント社から同本が出ていまして、購入してから売る為の本棚に並べて置いたら、10年ほど経った頃に売れまして、諦めていたら別の版元から発行されたので購入)
 1673年、ベルサイユ宮殿の水役人さんが広大な庭園の植木に散水する労力を容易に出来ないかと思案し、内燃機関の原型案を考案したところから、未来に完成されるかも知れない様々なエンジンの話まで、日野自動車のエンジン設計屋さんだった鈴木孝さんは情熱を込めて熱くエンジンを語る。

 何が何だか、理解不能の所が一杯ある。
例えば『エンジンにおけるエクセルギーとアネルギー』の所に、
『有効仕事をwとし、カルノー機関によって得られる仕事をW
maxとし、
大気の温度をT
1とすると次式が成り立つ。
W=Wmax-T
1△S
ここで△Sはエントロピーの変化で
△S=△S
+S2-S1≧0
ここで△Sは周囲のエントロピーの増加量 ・・・
(略す)・・・』
 まぁ、こんな所は全部抜いて読んでも充分すじは追えます。

 内燃機関の発達にともなう設計屋・技術者の心の物語。


エンジンの話

熊谷清一郎 著

岩波書店(新書)

1981年5月20日 
初版発行
 新書版だからって馬鹿にしてはいけない。
数式で言えば『エンジンのロマン』よりも多いぐらい載せている。
講談社新書とは違う、岩波新書ですぞ。

 大正生まれの熊谷教授は「言葉の問題」にもこだわる。
『エンジンといえば、身近なしたしみを感ずるが、内燃機関といえば、一般の人びとには関係のない別世界のように感ずるのは、こまったことではあるが、事実でもある。アパート(メント・ハウス)ならわかるが、西洋風長屋ではわからないというのでは、日本語はほろび、日本は言葉のうえから植民地と化してゆくであろう。もっとも、その症状はすでに相当に進行してはいる。』

『ピストンがもっとも上にくるピストンあるいはクランクの位置を上死点あるいは上部思案点と呼ぶ。・・・(略す)・・・クランクは左せんか右せんか、思案にくれるという面持である。こういう訳語をかんがえだせる明治の技術者や工学者に敬愛の念を禁じえない。』

 東京大学工学部名誉教授は、エライのです。


究極のエンジンを求めて

兼坂 弘 著

三栄書房 

1988年11月1日 
初版発行
 自動車雑誌『モーターファン』に連載中、本屋さんでただ読みしていた。
立ち読みで理解出来る代物ではない内容なので、仕方なく、座ってじっくり読んでいた。
 じっくり読むのは良い事だけれど、来店したお客さんが目の前に来て「これ、ください」と雑誌をカウンターに置かれるまで気づかなかった。
多分、万引きが多かったと思う。
 耽読も考えもんだ。

 蚤の金玉と象の金玉以上のレベル差があるのに
(もちろん、蚤が私です)いすゞ自動車でデーゼルエンジンを設計していたおっちゃんの技術に対する視方が「正しい」と思う点は、例えば『「ガソリン・エンジンのターボはグリコのオマケである」』と同じ視方をしていたからで、そうなるとエンジンに関しては私からすれば兼坂弘さんは神様に近い。
 この後、2冊続編が出たが買い忘れた。しごく残念。


エンジンのABC
・・・ガソリンエンジン、ジェット
エンジンから外燃機関まで』

檜垣和夫 著

講談社(ブルーバックス) 

1996年7月20日 
初版発行
 雑学として、初歩的な理解として”エンジン”を識るには、この本が一番だと思う。
 と言うのは、著者は元ヤマハ発動機の技術屋さん。
その後、独立し、自動車のメカニズムを主に著述しているそうで、その分、読み手が解りやすいように、良い意味での読者への迎合が・・・
 いや、もとい、絵や写真で工夫が・・・。
(表紙のエンジン写真はヤマハのF1エンジンではなくて、ホンダのVTEC)

 お値段
(本体価格1100円)もお手頃ですし、講談社の書店専用HPを見たところでは、まだ流通しているみたいです。
 お近くの本屋さんで注文される場合は書名・著者名・版元に加えて『ISBN:
4062571293』もついでに言うと本屋さんは少し助かります。


20世紀のエンジン史
・・・スリーブバルブと
航空ディーゼルの興亡』

鈴木 孝 著

三樹書房 

2001年12月10日 
初版発行
 スリーブバルブのエンジンが有るなんて知らなかった。
シリンダー壁面に吸気口・排気口の穴を開け、さらにシリンダー内部に合わさったスリーブにも同様に穴を開け、スリーブ
(筒)を上下に動かしてバルブ(弁)の役目をさせる。
 2サイクル・ガソリンエンジンのピストンバルブの場合で、ピストン側面に穴を開け・・これがスリーブ・・さらにピストンが入る?
機構的に精度的に技術的に全てに於いて段違いの複雑物じゃないですか!
 このスリーブバルブエンジン、実用化されはしたけれど、その後のエンジン開発技術
(周辺技術)より、結局は普通の茸弁の世界が有利に立った。

 熱効率からすればディーゼルエンジンはガソリンエンジンよりも効率的なんだけれど、何せ重い!
 出力あたりの質量はガソリンエンジンに負ける。
航空機エンジンが重いのは致命的。
 知らなかったのですが、航空機用ディーゼルエンジンはけっこう色々と作られていたらしく、なかでもユンカース・ユモ205型はガソリンエンジンと較べても負けていなかったらしい。
 でも、スリーブバルブ同様にエンジン史の中では、消えてゆく。

 それは何も技術の世界にとっては不幸な事ではない。
無駄な、無駄になった技術はそれ自体が資産だから・・・。   


 春ごろ、届いたメール。
アタシ・・(略す)・・2サイクルより4サイクルの方が好き

 こちらの返事を出して、返って来たメール。

今の今まで 2気筒イコール2サイクル・・と思ってたアタシです・・
でも「4サイクルのが好き」・・というのは間違いじゃなかったようでホッとしました
そそ。2サイクル・・。アタシは』『いや〜な思い出が・・。信号待ちで前にいたヤマハのYZR。青信号になったら パルルンパルルル〜〜〜〜〜と走ってったのはよいんだけど』『タシのメット・シールドも油だらけ。オイルをまきちらして去っていきました。』
(北陸で、今日もMTの四輪車で爆走しているメール差出人さんの了解を得て転載しています。)
  

 このメールが今回の『エンジン(内燃機関)』を載せようと思った直接のきっかけです。
 その意味では心から、ありがとうございます。
     
   ”VT250Fインテグラ”と”CBR250R”のご夫婦さんへ


ホンダ1300・クーペ9(後ろ)
6回目は、北陸と関係ある”日本の三大美人”です。


HONDA1300イクーペ9でに乗って・・・掲示板へ。
 この車に乗って往き、
”本”の事でも、
”わんこ”の事でも、
何でも書いて
(掲示板)おくんなはれ。


ホンダ1300クーペ9の郵便車。
「お手紙は、この”HONDA1300クーペ9”で運びます」


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